飲食店を営む皆さんは、「 店頭集客 」 をどのように意識されているだろうか。店名を掲げてメニューを貼り出し、食品サンプルやポスターでアピールするのが一般的である。しかし、その店頭づくりの中に、「 集客や販売を促進する仕掛けの余地がたくさんある 」 という持論を掲げるのが、「 愛顧客理論 」 を確立し、数々の人気店の運営に携わっているなにわの集客Producer川野秀哉氏である。特別企画 「 店頭集客de繁盛 」 は、川野氏の店頭集客理論とともに、自ら運営する豚料理専門店での成果を交えながら、その発想と手法をお伝えする。 |
私、川野の店頭集客理論は、3つの店頭アイテムが欠かせません。まずは、いかに遠くを歩いている人に 「 自分の店に気付いてもらうか?」 という興味喚起のためのアイテムです。私が、大阪ミナミで運営している 「 豚公司 銀呈 」 は、100m以上離れている人に気付いてもらうために、店頭の柱に赤いネオン管を設置しています。照明でも何でもいいから “ 何かあるな? ” と思わせることがアプローチの第一歩です。調べてみたら、500mほど離れた周防町筋から見えたことがありました。立地条件で店頭づくりも制約があるでしょうが、少なくとも20m離れたところから、「 あそこに何か店があるぞ! 」 ということをアピールできるアイテムを設けてほしいです。赤いネオン管1本なんて、コストにしたら安いもんですよ。 |
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それで、赤い光に引き付けられて、お客さんが店頭の5~10m手前に来てくれたら、次は 「 何屋さんであるか? 」 を分かってもらうことが大切です。これが2つめのアイテムです。「 豚公司 」 の場合は、豚料理専門店と書いてありますし、屋号やイメージイラスト等もあるから、少なくとも 「 豚料理の何か? 」 ということが分かってもらえるようになっています。
そして、5~10m離れている人を、入口のところまで足を運ばせるには、さらに詳しいお店の情報が必要になるんです。または、「 これカワイイ 」とか、「 これオモロイ 」 といったアイテムで興味を抱かせる。要は、最後の5mを縮めるために仕掛けないとならないのです。50m、20m先からは分からなくても、5m~10m先から見えるもの。一番手っ取り早くて効果的なのは、店頭にメニューが置いてあることと、ショップカードが置いてあることだと思います。興味があって詳しい情報を知りたがるので、お客さんは近寄ってくるわけです。その時に何かしらの情報アイテムが置いてあって、しかも5~10m手前からでも認識できるほどの存在感を持ってないとアカンのです。最初は店内に入らなくても、ショップカードさえ持って帰ってくれれば、また来てくれる可能性は十分にありますよね。
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いきなり店頭づくりの方法を紹介しましたが、「ホンマに店頭だけで集客できるんかいな?」と疑われる経営者さんも多いでしょう。そういう方のために、ある利用者アンケート調査の結果をお話ししたいと思います。私が運営に携わったある地方都市の200席規模の居酒屋さんの事例ですが、「当店を何でお知りになりましたか?」という質問に対して面白い回答が出てきました。
サイトや雑誌を合計した数字と 「 看板を見て 」 というのが同数だったのです。「 人から聞いた 」 「 その他 」 といった回答を別にして、店舗側が実践した集客促進策の成果ということだけを考えたら、その半分は店頭POPが握っていると見ることもできるわけです。ネットや雑誌と同等に意識してもいいはずです。実際には、その他のタウン誌やチラシなども打っているかもしれませんが、それらを含めても30%は店頭にあると考えるべきです。最大で50%、最低でも30%です。だとすれば、店頭づくりをちゃんとしてないと、もったいないでしょう。
しかも、このアンケートは、何の意識も戦略性もなく、ただ店頭にポスターを出していた時の数字です。そんな状態でも、店頭でこれだけの集客があると数字に出ているわけです。皆さんも利用者アンケート調査で、「 当店を何でお知りになりましたか? 」 という質問をされていると思いますが、「 店頭の看板を見て 」 という選択肢が抜け落ちてはいないでしょうか。それが入れてあれば、どこの店でも店頭がこれくらいの数字を持っていると思います。
販促の30%と冒頭で謳いましたが、もっと厳密には、「 店舗側が能動的に動いた集客・販売促進策に関して、最大50%・最低30%は店頭にある 」 と言い切れると思っています。そんな大事な場所をないがしろにしていては、絶対にお客さんは集まりません。多大なコストをかけて宣伝すれば効果があるのは当然です。しかし、わずかな投資と創意工夫を店頭につぎ込めば、同程度の効果も期待できるのです。店頭集客de繁盛は、必ず実践できます!
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