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食の安全と安心について ~生産者と消費者の視点~公立学校法人宮城大学 食産業学部 老川信也准教授

「 ホスピタリティ精神とアメニティ感覚に溢れ、高度な専門性と実践的能力を身につけた、地域の発展をリードし、世界に貢献できる人材を育成するとともに、学術・文化の向上と豊かで活力のある地域社会の形成に寄与する 」 を建学の理念とする 宮城大学 。飲食業に繋がる理念を有する同大学は同時にフードビジネス学科というまさに飲食業にかかわる学科を持つ。今回は同学科准教授の老川信也先生が食の安全・安心についての論文の要約を外食ドットビズに寄稿していただいた。

第1回 食の世界に標準化は必要か


一般の消費者にとって、「 標準化 」 と言われても曖昧な回答となってしまうのではないだろうか。ましてや、技術的用語のような 「 標準化 」 という言葉が、食の世界と結びつくことなど想像もできないかもしれない。

 

食の安全と安心について ~生産者と消費者の視点~学校法人宮城大学 食産業学部 老川信也准教授最初に、「 標準化 」 について確認してから進めていこう。標準化は、利便性や意思疎通を目的として、統一、単純化、秩序化などして規格を定めることである。一般生活の中では、長さはkm(キロメートル)、重さはkg(キログラム)に統一されていることもそうである。また、乾電池の大きさ、電話機のボタンの並びなど、規格統一されているものは、非常に多い。

 

では、何故 「 標準化 」 されるのだろうか。まず、消費者側の場合から考えてみる。海外旅行経験者も多い昨今、持参したデジタルカメラや携帯電話、或いはパソコンを利用しブログなどを通して旅行先の思い出の写真を掲載したりアルバムとして保存したり、様々な利用形態がある。海外のコンセントの形状には7種類ほどあり、電圧を変換する変圧器も必要になる。日本と同一のA型のみ使用しているのは、アメリカ、カナダ、メキシコだけ。変換アダプタなる物が市販されているものの、持ち歩くことを考えれば、やはり統一されていた方が便利である。

 

食の安全と安心について ~生産者と消費者の視点~学校法人宮城大学 食産業学部 老川信也准教授一方、企業側の立場で考えてみる。コンセントの形状が7種類ある状況が国内で発生した場合を考えると、電気製品を提供する企業は最大7種類の電源ケーブル、または対応するアダプタを用意する必要がある。コスト的に無駄が生じるのは明らかである。冷蔵庫などのように、ほぼ固定された場所で使用するのであれば、最初に使用するコンセント形状だけに対応するようにすれば良いが、移動して使用される物ではそうはいかない。購入の際に企業側が用意はしても、最終的にその無駄なコストは価格(消費者)に跳ね返ってくるのである。

 

技術的要素が絡んでくると、簡単にはいかない。南アフリカW杯を見るために高画像テレビが売れ、また録画するためにBR(ブルーレイディスク)レコーダーが売れている。このBRにしても、先のDVD、CDにしても、複数の規格があり統一されるまでしばし時間を要した。技術を提供する企業側にとっては、発展か撤退かの瀬戸際になりかねないのだ。そのため、標準化が進まないことも事実である。また、自社製品を購入してもらう(囲い込み)ために標準化しない戦略をとることもある。ゲーム機などがよい例であろう。

 

食の安全と安心について ~生産者と消費者の視点~学校法人宮城大学 食産業学部 老川信也准教授「 標準化 」 は、性能、品質、寸法、表示など様々な規格化がされる。いわゆる規格品にあたるので、それなりの需要がある。消費者側からすれば、「 標準化 」 されたものは他社製品との比較が容易となる。商品・製品に対する基本的な要素(できること)が満たされていることが 「 標準化 」 で示されれば、要求する要素(したいこと)がどのように提供されているかを確認すれば良いのである。

 

企業側にとっては、基本的な要素(できること)だけに機能を絞り低価格戦略で行くのか、基本的な要素は他社製品と同等でも、どのように実現するか(便利さ、快適さ)の付加価値を付けて提供するのか、新機能満載の高性能・高価格路線で行くのかなど、どのように特徴を出すかに注力できるのである。

 

さて、ここでやっと 「 食 」 について考えてみる。

例えば、生産農家に対し、「 標準化 」 に取り組みなさいと言って実現できるだろうか。自然、生き物を相手に 「 標準化 」 などできるわけがない。そこまで規格化する必要はないだろう。私自身も生産物というものに対し規格化(市場では規格外品があるが)を強要する必要性は無いと思う。しかし、生産する過程においては可能と考えるし 「 標準化 」 すべきだと思う。

 

食の安全と安心について ~生産者と消費者の視点~学校法人宮城大学 食産業学部 老川信也准教授農業生産工程管理(GAP:Good Agricultural Practice)をご存じだろうか。関係法令等の点検項目に沿って実施、記録、点検及び評価を行うことで、食品の安全性向上、環境の保全などを管理する手法(プロセスチェック方式)である。「 標準化 」 の指針が示されているのである。産地、品種、周辺環境など個別要因が異なるので、生産者ごと或いは生産地ごとの 「 標準化 」 である。

 

今まで実施していなかったことに新たに取り組むことは、なかなか出来ないものである。しかし、今までの状況から何らかの変化を望むなら、「 標準化 」 を選択しとして検討してはどうだろうか。製造業などでは取り組まれている 「 標準化 」 は成果をあげている。視点を変えることにより、様々な 「 標準化 」 ができるはずである。  

 

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学校法人宮城大学 食産業学部 老川信也准教授

老川信也(おいかわしんや)
http://www.myu.ac.jp/

公立学校法人宮城大学食産業学部
フードビジネス学科 准教授

1959年 岩手県出身
1982年 日本大学工学部機械工学科卒業
      同年日本電信電話公社(現NTT)入社
1988年 (株)NTT-SOFT 交換通信事業部
1994年 日本電信電話(株) 仙台研修センタ

2001年 (株)NTT-ME東北 ソリューション営業部SE
2005年 (株)NTT東日本-宮城 法人営業部SE
2009年 同社退社後、公立大学法人宮城大学 准教授就任
      専攻は食産業情報学


文: 公立学校法人宮城大学 食産業学部 准教授 老川信也氏

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