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ディップ、アルバイトの「つながらない権利」に関する調査_管理者編
約14,000名を対象にした「コミュニケーションにまつわるアルバイトのEXに関する調査」より
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ディップのディップ総合研究所とアイリッジは、15歳から49歳の男女約14,000名を対象に「コミュニケーションにまつわるアルバイトのEX(Employee Experience: 従業員が企業で働く中で得られる体験のこと)に関する調査」を実施した。
夏休みは、例年学生のアルバイト活動が盛んな時期となる。人手不足やスポットワークの台頭等を背景に、掛け持ちが増え、シフトのやり取りなどアルバイト関連のコミュニケーションが活発になる中で、「つながらない権利(勤務時間外や休日に仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利)」の深刻化が懸念される。特に、アルバイトが多く活躍する飲食業や販売業などでは個人的なSNSの業務連絡利用が常態化していることが多く、「プライベートな領域で、合意なくつながられている状況」も起きている。本調査ではこのような状況を踏まえ、つながらない権利の実態を調査した。アルバイト編に引き続き管理者編を掲載する。
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■管理者側への調査では個人SNSやり取りへの問題意識と実情が噛み合わない事態に
アルバイト従業員が多く活躍する7業種に勤める管理者側を対象とした調査では、「飲食業」(できるだけ分けるべき31.5%+好ましくないと思う24.4%・計55.9%)や「販売業」(計50.3%)など、概ね半数が個人SNSでのアルバイト従業員とのやり取りに問題意識を持っていることがわかった。一方で、現実には主にLINEを中心とした個人SNSでのやり取りが幅広く行われており、最も割合の多かった「飲食業」(LINE29.5%+Messenger3.9%+Instagram4.3%+カカオトーク3.1%+その他SNS7.9%・計48.7%)では、ほぼ半数が個人SNSを介してアルバイト従業員とやり取りしていると回答するなど、問題意識と実情が噛み合わない事態が判明した。
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■アルバイトコミュニケーションのEXが向上しない理由は「合意に関する認識のズレ」と「コスト」
アルバイト従業員とのコミュニケーションに個人SNSを利用する理由の上位は、様々なリスクを回避するビジネスチャットツール利用が促進されない理由が複数あげられた。その1位は「アルバイト全員から利用の合意を取ることが難しい」という合意の取得。反面、ノーと言えずに個人SNSを交換させられているアルバイトが3割もいることから、本来個人SNSだからこそ合意が必要であることについての認識のズレが感じられる。また、理由2位には「アルバイトの人数分のコストがかかるため」というコストの問題。ビジネスチャットツールは一人あたり数百円から2,000円弱程度の月額費用がかかるものが多く、利用頻度や期間も流動的なアルバイトに対し全員分契約するのはハードルが高いことが推察できる。
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なお、アルバイトコミュニケーションツールに求める機能は、1位が「シフト表も確認できること」(36.3%)、2位が「分かりやすく簡単に操作できること」(36.1%)だった。特に個人SNSでのやり取り割合の大きかった「飲食業」では、一度回収した後のシフトの調整や交代・ヘルプ要請など、シフト関連の需要が全体に比べても高かった。
ディップ総合研究所 専任研究員の森亜由葉氏は、『本調査では、働き方の多様化、物価高騰などを背景にアルバイトに励む人が増える中、3人に1人が意に反して個人SNSを業務ツールに取り込まれ、半数近くがプライベートな時間に業務連絡に煩わされるなど、「つながらない権利」を侵害されていることがわかりました。アルバイト従業員のメンタリティに配慮しつつ、できるだけプライベートな空間に立ち入らないよう、管理者と有期雇用労働者との対話を通して、どのようなやり取りが適切なのかを話し合う環境を作れると良いでしょう。人が集まり、定着する職場づくりのためには、使用するツールやサービスをはじめ、連絡する時間帯や休日対応など、双方の合意を基に検討を行うことが重要なのではないでしょうか。』とコメントした。
(外食.Biz)
2024年08月14日更新
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