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リクルート、Z世代(26歳以下)の就業意識や転職動向
どこでも通用するスキルを求め、ゼネラリストとしてのキャリア構築を求める傾向
リクルートは、Z世代(26歳以下)の就業意識や転職動向に関する調査をまとめた。なお、ここでは、主に2022年度の調査データを活用しており、26歳以下の学生、社会人をZ世代としている。
■Z世代の転職が増加している!5年で約2倍に
Z世代の転職は、コロナ禍の影響による一時的な落ち込みを除くと、右肩上がりで増えている。2020年度まで全体との差分は一定の範囲内にとどまっていたが、2020年度以降、全体との差がじわじわと広がりを見せている。今後も若年層の転職は増えていくと見込まれる。
■Z世代はどの会社でも通用する能力を求め、ゼネラリストとしてのキャリアを求める傾向
大学生を対象とした調査結果では、「その会社に属していてこそ役に立つ、企業独自の特殊な能力」よりも「どこの会社に行ってもある程度通用するような汎用的な能力」を重視する学生が増えている。「入社直後の給与は低いが、長く働き続けることで後々高い給与をもらえるようになる」という制度に魅力を感じる学生が減っている。ここからは、終身雇用型組織の特徴を希望する若者が徐々に減少している実情が浮かび上がった。
現在すでに社会人として働いているZ世代を対象とした就業意識に対する調査では、「現在在籍する会社でどれだけ働き続けたいか」という質問に対し、「定年・引退まで働き続けたい」(20.8%)と回答した人は約2割にとどまった。「20年」が5.4%、「10年」が13.7%、「5年」が15.6%と、短期になるほど割合が増加。「2・3年」と回答した人は3割近く(28.3%)に達した。「すぐにでも退職したい」という回答も16.2%見られた。全体の7割強(73.8%)が「現在の会社で働くのは10年以下の期間」と認識しているよう。
転職活動者を対象とした人材マネジメントに対する調査では、新たな職場に希望する人材マネジメントの考え方・組織風土について聞いたところ、「プロフェッショナルとしてのキャリア形成」よりも「ゼネラリストとしてのキャリア形成」を重視する割合が、他世代よりも高い傾向が見られた。このキャリアデザインに対する考え方は、従来の考え方とは趣が異なると同時に、一つの職種に限定するジョブ型人事の企業動向と逆の動きをたどっていると捉えることもできるかもしれない。
■Z世代が描く理想は「新しいことへのチャレンジ」「プライベートも重視できる環境」
「理想とするキャリア」に関する質問でも、他世代とは異なるZ世代の特徴が浮き彫りとなった。転職活動をしている人を対象に、理想とするキャリアに近いタイプについて、まず「特に理想に近いもの3つまで」、次に「最も理想に近いもの1つだけ」を聞いた。「回答1つ」では、「安定した環境で働く」という回答割合は他世代と同様に高い一方、「チャレンジできる環境」を求める人の割合はZ世代が突出している。また、「プライベートも重視できる環境」「自分のペースやスタイルを貫く」を理想とする人の割合が、他世代より高いことが分かった。
次に、「特に理想に近いもの3つまで」の回答を見ると、さらに他世代との差が明らかになった。「プライベートも重視できる環境」を選んだ割合は、「回答1つ」では他世代との差が1.6ポイントだったのに対し、ここでは7.0ポイントもの差がついている。つまり、理想とするキャリアについて、「プライベート重視」を2つ目・3つ目に選んでいることがうかがえる。また、「将来の独立や起業を見据えて働く」も、他世代との差が大きかった項目だ。Z世代には、「チャレンジ」と「プライベート重視」の志向が共存していると言えそう。
同社HR統括編集長の藤井薫氏は、『昨今、「転職」は若年層にとって一般的なものになっています。Z世代の転職は、5年前の約2倍と右肩上がりで増加。2020年以降、全体との差が広がり、この動きは「終身雇用」のキャリア観とは異なる様相を見せています。求人市場においても、若年層を対象に、特定の業務経験を積んでいなくても、ポテンシャルを重視して採用する企業が増えています。若者にとっては、早い段階から自分らしいキャリアを選択していけるチャンスが広がっていく一方、企業側は、多様化する選択肢の中で、変容する若者のキャリア観に向き合わなければ、離職につながってしまうリスクが高まっています。今回の調査では、Z世代のキャリア観や働くニーズから、企業が多様な人材を引きつけるためのヒントを探りました。中でも注目したいのは、Z世代の「どの会社でも通用する能力を求め」、(スペシャリストではなく)「ゼネラリストとしてのキャリアを求める」といった、一見、相矛盾するキャリア志向です。終身雇用を前提としないエンプロイアビリティー(雇用される能力)が身につく「新しいチャレンジ」の機会を求めるZ世代の「ゼネラリスト志向」。そこには「スペシャリスト経験を複数持ちたい」「変化のスピードが速い社会に対応したい」という、高次のキャリア志向が見え隠れするようにも感じます。今注目の「ジョブ型人事制度」が、狭いキャリアパスとして、誤解・忌避されるリスクもあるかもしれません。若手人材の活躍・定着を目指す企業は、新世代の「ゼネラリスト志向」を持つ、彼ら彼女らの声に耳を傾けて職場づくりを行う必要があるのではないでしょうか。』と解説した。
(外食.Biz)
2023年09月13日更新
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