失敗を学びに変える飲食店経営学 どん底を経験したから今がある ~プロレスラーを経験した経営者 株式会社ワールド・ワン 河野圭一氏

失敗を学びに変える飲食店経営学 どん底を経験したから今がある プロレスラーを経験した経営者 株式会社ワールド・ワン 河野圭一氏

『失敗は成功のもと』という言葉があるが、まさにその言葉を実体験した経営者が株式会社ワールド・ワンの河野圭一社長である。飲食店で起業するも数年で儚くも撤退、その後プロレスラーという異色の経歴を経て、再度飲食店の経営に乗り出し、いまでは神戸三宮地区に11店舗(内1店舗は大阪・京橋)を構えるまでになった。今回は河野社長に失敗から学ぶ飲食店経営についてお話をお伺いした。

第3回 沖縄の郷土料理店を三宮駅前に

第3回 沖縄の郷土料理店を三宮駅前に

modern食堂?金魚?本店- 沖縄の郷土料理店を出された経緯をお聞かせ下さい。

プロレスラー時代は怪我との戦いで、非常にきつい日々でしたが、遠征で全国各地を訪れて、各地の郷土料理に触れることができたことは本当に良い経験になりました。

高知のウツボ料理など、心に残る郷土料理を数え出したらきりがないのですが、その中でも遠征やトレーニングだけではなくプライベートでよく行っていた沖縄の料理に惹かれました。料理だけではなく、沖縄の文化、風土、人などにも強く惹かれましたので、郷土料理の店をやるなら沖縄料理店にしたいと考えたのです。当時の沖縄料理はまだブームが来る前で、神戸にも何店舗かありましたが、全て個人店で多店舗化しているところは無かった記憶があります。それと沖縄料理に対するイメージというと、沖縄そば=ただ伸びただけの麺、ゴーヤチャンプル=ただ苦いだけの炒め物、みたいに沖縄料理=まずいみたいなイメージを持たれていました。現に友人からは 「 沖縄料理なんて流行らないからやめておき 」 とか銀行の人からは 「 神戸に沖縄料理の店が無いのは何故だかわかりますか?それは料理が不味いからやで 」 などと言われました(笑)。でも僕はそう言われると逆に燃えるタイプなんで(笑)、「 そうか、なるほど、ならちゃんとやればできるんちゃうか 」 と考えたわけです。

確かにこちらで食べるゴーヤチャンプルはあまり美味しくなかったですし、現地では500円位で食べられるのに1200円位とられてしまう。ラフテーやミミガー、じーまみ豆腐やアーサーなど美味しい物がたくさんあるのになかなか食べることができない。それならばちゃんとした沖縄料理を適正なお値段でお出しできればやっていけるのではないか。それに正しく伝わっていない沖縄料理をちゃんと伝えて行きたいとの想いから “ modern食堂 金魚 本店 ” を三宮の駅前にオープンしました。

失敗を学びに変える飲食店経営学 どん底を経験したから今がある ~プロレスラーを経験した経営者 株式会社ワールド・ワン 河野圭一氏オープン前は苦労しました。お金がなかったですから(笑)。内装は若い人たちも来れるような居心地の良い空間にしたいと考えていました。内装屋さんや工務店さんに頼むお金がなかったもので、自分たちで材料を調達しました。スタッフと一緒にトラックに乗って、石屋さんの工場に行っては、「 これちょっと頂戴 」 とタイルなどの端材を分けてもらったり、材木屋さんの倉庫に潜りこんでは 「 これちょっと貰ろうてもいいですか 」 と転がっている木を貰ってトラックに積み込んで持ち帰って来ました。そしてペンキ屋さんに一日だけ来てもらって 「 こことそこを塗って 」 と日当1万円で塗ってもらったり、大工さんは2人ほど来ていただいたのですが、スタッフの胸ポケットにあるだけのお金を入れて 「 大工さんが来たらこれを日当で渡しておいて 」 と全部日当でやっていただいて完成した次第でした。

ゴーヤちゃんぷる最初は大変でしたね。まだ沖縄料理のブームが来る前でニッチな世界でしたから、なかなか沖縄料理の良さをご理解いただけなくて 「 沖縄料理ってなんや 」 とか 「 ゴーヤチャンプルってなんや 」 という感じで、お客様もなかなかお越しいただけませんでした。当初は高校時代の友人に手伝ってもらったり、学生アルバイトだったりとホンマ素人集団の集まりでした。でも良いメンバーに恵まれまして一致団結して頑張って行きました。例えばお客様にアンケートを書いていただく習慣を創りあげて、アンケート用紙と伝票を付け合して夜中まで検討したり、お客様に知っていただくには自分たちがよく知らなくてはと物凄くみんなで勉強したり、少しずつですが結果が出てくるようになりました。

創作料理店の時は、自分の想いだけで進めてしまったのですが、金魚ではメンバーの力を併せて一つになってやっていくことで段々うまくいくようになって、2号店、3号店と順調にお店を増やすことができるようになりました。会社組織というよりもホンマ同士の集まりと言った方が正しいですね。毎日毎日 「 どうしよう、こうしよう 」 と朝まで語り合ったものでした。



河野圭一氏

株式会社ワールド・ワン

http://www.world-one-group.co.jp/

みんなが世界に向けて一つになって、世界でたった一つの、そして世界で一番のチームをつくりたいとの想いから名付けられた。

代表取締役 社長 河野圭一氏
1971年 兵庫県神戸市出身
1996年 株式会社ワールド・ワン設立
自動車整備士、プロレスラーという異色の経歴を持ちながらも2002年神戸三宮に沖縄郷土料理店「modern食堂 金魚 本店」を出店。その後ほぼ年間1店舗の出店を重ね現在三宮に10店、京橋に1店の計11店舗を展開中。

文:齋藤栄紀
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