「ワンダーテーブル編」目指すべき姿を可視化して、本物の強さを持った店をつくる~ワンダーテーブルの店舗・人材育成哲学を学ぶ~

目指すべき姿を可視化して、本物の強さを持った店をつくる ワンダーテーブルの店舗・人材育成哲学を学ぶ

食べ放題、和食、イタリアンなどさまざまな業態のオリジナルブランドに加え、「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」や「ユニオンスクエア」などの海外優良ブランドを誘致、多彩な展開を首都圏中心に繰り広げているのがワンダーテーブルだ。“ 感動と満足を体感できる飲食店 ” を多彩なブランドと業態で作り出している同社の独創的な戦略について、取締役・秋元巳智雄氏のインタビューを交えてお届けする。

第3回 ワンダーテーブルの企業哲学(1)~本当の意味で自分を大事にすれば、ホスピタリティも生まれてくる

第3回 ワンダーテーブルの企業哲学(1)~本当の意味で自分を大事にすれば、ホスピタリティも生まれてくる~

目指すべき姿を可視化して、本物の強さを持った店をつくる~ワンダーテーブルの店舗・人材育成哲学を学ぶ~積極的かつ的確な店舗開発と並び、ワンダーテーブルを特徴づけているのが人材教育・開発である。「 お客さまに感動を与える 」 という理想的な CS を実現するために、明確なフィロソフィー(企業哲学)を掲げて、全社員へ浸透を図る取り組みを強化しつづけている。顧客満足度向上に取り組む外食企業を対象とした表彰制度 「 外食クオリティサービス大賞(ミステリーショッピングリサーチ主催) 」 でグランプリを受賞するなど、実績として現れはじめている。ワンダーテーブルが考えるホスピタリティとは何か、それを店舗やスタッフの実力へと結びつけるために必要なものについて、取締役の秋元巳智雄氏に伺った。

【秋元氏】 ワンダーテーブルのフィロソフィーは、「 ミッション 」 「 ビジョン 」 「 バリューズ 」 という3つから構成されています。

目指すべき姿を可視化して、本物の強さを持った店をつくる~ワンダーテーブルの店舗・人材育成哲学を学ぶ~「 ミッション 」 は、“ ホスピタリティビジネスを通じ、社会にプラスの価値を創造する。” というもの。どちらかというと事業領域を示している言葉ですが、最も重要なのはホスピタリティという言葉です。それをビジネスとして展開していき価値を作り出していくのです。

「 ビジョン 」 は、“ 優れた商品・サービスとホスピタリティでお客様を魅了し、必ずリピートして頂く ” という言葉で、スタッフが今やらなければいけないことを示してます。店舗にとっては、売上や利益よりも今日働いている現場の人が何を考えて行動すればいいのかがもっと大事なことです。その答えとなる言葉として、徹底的に伝えています。

「 バリューズ 」 は、働く上での社員の価値観で、これに基づいて行動するという指針です。 4つの言葉があり、それぞれ3項目あるので計12項目となります。

自分を大事にする
(1)健康に心掛ける  (2)高い目標を持って自分を磨く  (3)家族に感謝する

仲間を大事にする
(4)相手の話を聴く  (5)仲間を理解し尊重する  (6)率先して協力する

お客さまを大事にする
(7)笑顔と心で接する  (8)お客様の声を聴く  (9)お客様の立場に立って考える

社会を大事にする
(10)安全・衛生管理を徹底する (11)法・ルール・社会規範を守る (12)環境に配慮する

目指すべき姿を可視化して、本物の強さを持った店をつくる~ワンダーテーブルの店舗・人材育成哲学を学ぶ~自分を大事にするといっても、ただ守るのではなく、心と体をきちんとケアして、高い志を持つことが必要です。我々の仕事は、労働時間が長い上に普通の人が休む時に働くビジネスですから、家族の協力なくしては成り立ちません。ですから、自分とともに家族を大事にすることを謳っているのです。

【秋元氏】 本社や店舗では、12項目の中からテーマを決めてディスカッションや勉強をする 「 バリューズトーク 」 というものを行っています。今週のテーマが 「 家族に感謝する 」 であれば、朝礼で自分の実体験を話すのです。たとえば、ある人が “ 半年も親に会ってない ” と話したら、別の人は “ バリューズを考えるようになって、母親の誕生日に一本の電話を入れたらすごく喜んでくれた ” と話してくれるわけです。そんな議論があれば、自分も電話をして喜んでもらおうと実践しますよね。大事なのは、「 バリューズ 」 の項目を覚えることではなく、どれだけ内容を理解して行動に移せるかという真の価値観なのです。

目指すべき姿を可視化して、本物の強さを持った店をつくる~ワンダーテーブルの店舗・人材育成哲学を学ぶ~極論かもしれませんが、真の意味で自分を大事にできれば、残りの 9項目はいらないとも思っています。自分を大事にできれば、仲間も大事にできるはずです。順番を付けているわけではないですが、お客さまを大事にすること、社会を大事にすることもその延長上にあると思うのです。経営者側としては、“ CS の前に ES がある ” という考えを重視しているのです。



株式会社ワンダーテーブル

株式会社ワンダーテーブル

http://www.wondertable.com/

代表取締役社長:林 祥隆氏
本社:東京都新宿区富久町13-19

昭和21年(1946年)三井船舶株式会社の水産部門として発足、後に海運業へ転進
昭和24年(1949年)東京証券取引所市場第二部に上場
昭和28年(1953年)富士汽船株式会社に社名変更・平成 3年(1991年) ヒューマックスグループの系列会社となり、定款を変更して飲食等新規事業を開始
平成6年(1994年)飲食部門1号店 「 モーモーパラダイス 」 を東京都目黒区にオープン
平成12年(2000年)ワンダーテーブルに社名変更、海運事業より撤退

※首都圏・地方都市を中心に、20ブランド60店舗以上の飲食店を展開する

株式会社ワンダーテーブル

取材協力:株式会社ワンダーテーブル 取締役/Executive Managing Director 秋元巳智雄氏

文:貝田知明  写真(人物):トヨサキジュン
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