外食産業の厨房をコーディネート~Switch! Station Pro.有明の電化厨房ソリューション~

外食産業の厨房をコーディネート Switch! Station Pro.有明の電化厨房ソリューション

東京電力が2007年9月に開設した業務用電化厨房総合体験施設「Switch! Station Pro. 有明」は、学校や病院、福祉施設、そして外食産業を対象に電化厨房機器を体験させることで、電化厨房のさらなる普及を目指すという施設である。電化厨房は、衛生的な厨房環境がつくれる、ランニングコストが軽減できるなど、多くのメリットがある一方で、イニシャルコストが高いといったイメージで捉えられている傾向もある。食の安全・安心や環境問題に対する消費者心理の高まり、さらには、省エネ法の改正など外食産業界を取り巻く環境は厳しいものに変わりつつある。そのような状況下では、厨房の電化によって解決できる問題もあるだろう。今回は、「Switch! Station Pro. 有明」の施設紹介とともに、最新の厨房機器や導入メリットなど電化厨房の“今”を同施設の館長・津川透子氏に聞いた。

第4回 空調・給湯など施設全体で省エネ・CO2削減に貢献する電化厨房

第4回 空調・給湯など施設全体で省エネ・CO2削減に貢献する電化厨房

外食産業の厨房をコーディネート~Switch! Station Pro.有明の電化厨房ソリューション--- 熱効率の良さでCO2を削減できるということでしたが、電化厨房による効果を具体的に教えてください。

【 津川館長 】 調理の現場に炎がないので、従来の燃焼式厨房では発生するCO2が、電化厨房の場合は発生しないというのが、まずポイントです。また、発電レベルまでさかのぼって考えても、ガスに比べてCO2の排出を抑えることができます。電化厨房では、空調や換気、給湯など厨房に関わるエネルギーすべてを含めて、3~4割のCO2を削減する効果があるといわれています。厨房というところは、まず、加熱調理でエネルギーを使います。さらに、給湯も使うし、排熱を処理する空調も使うので、非常にエネルギー多消費な分野なのです。

業種別エネルギー消費原単位(クリックで拡大)--- 今後は外食産業も環境問題に積極的に取り組まなければいけませんが、どのような行動が求められるのでしょうか。

【 津川館長 】 今はあまり問題視されていませんが、これから業務用分野での省エネルギー・省CO2を突き詰めて考えるようになると、厨房のエネルギー多消費は必ず議論に上がってくると思います。環境省と省エネルギーセンターの調査資料で、業態別に面積あたりで1年間にどれくらいのエネルギーを消費しているか(エネルギー消費原単位)を表すデータを見ると、ファミリーレストランやファーストフード店が非常にたくさんのエネルギーを使っていることがわかります。飲食店は、施設面積が小さいのであまりエネルギーを消費しているイメージがありませんが、面積単位ではものすごくエネルギーを使っているのが飲食という業態なのです。ただ、逆に言えば、省エネ化をする余地がまだまだあるとも言えるので、効果を上げやすい業態なのです。

外食産業の厨房をコーディネート~Switch! Station Pro.有明の電化厨房ソリューションすでに、電化厨房を採用しているところでも、工夫次第でさらに省エネ化を図ることはできると思います。電化によって排熱を少なくして、空調のエネルギーやコストを下げたり、加熱調理で発生するエネルギー消費を効率よくするのが第一段階です。それに加え、空調をつけっぱなしにするのではなく、作業をしているときとしていないときで細かに制御して、より効率的に消費することができるのです。こういったことは、機器側の制御でもできるのですが、人による運用でも省エネ効果を大きくできるのです。電化をしている複数の店舗でエネルギー計測をしてみると、なぜこんなに差が出るのかと驚くことがあります。ハード的には原因が見当たらないのですが、店長さんの方針やお店の中をよく調べてみると、省エネ意識をもってきめ細かく取り組んでいることが違いになっていると分かります。

外食産業の厨房をコーディネート~Switch! Station Pro.有明の電化厨房ソリューション本当に細かいところですが、お客さんがいなくなったら照明を消すとか、客席の空調を落とすとか気をつけているかどうかで大きく変わってくるのです。それから、食洗機にある程度の量を溜めてから洗うところと、少量でも次々に洗うところでは、給湯のエネルギーロスも変わってきます。私どもが申し上げたいのは、電化厨房機器を入れると、人件費が削減できて合理化を図れるという短絡的なメリットではありません。そうではなく、省エネルギーや衛生管理、サービスの向上など、人でなければできない部分を手厚くすることができるというポイントです。電化厨房というと、人員が減らせるという話になりがちですが、人でなければできない部分に人材を充てられることに意義があるのです。

Switch! Station Pro.有明 ホームページ--- 人によるオペレーションで、環境問題や省エネ化もやりようがあるということですね。こうやればエネルギー消費量はさげられるといったオペレーションの提案も行っているのですか?

【 津川館長 】 そうですね。空調の制御云々というところまで細かな提案はしておりませんが、こちらにある厨房機器をより合理的に使って、美味しいお料理をつくっていただくためのコンサルティングはさせていただいています。20年以上にわたりホテルで経験を積んだ料理長や管理栄養士が常勤しておりますので、調理に関する悩み事なども可能な範囲でご指導をさせていただいています。



電化厨房体験施設「Switch! Station Pro. 有明」

電化厨房体験施設
「Switch! Station Pro. 有明」

http://www.tepco-switch.com/biz/ssp/

所在地 東京都江東区有明3-5-7 TOC有明イーストタワー20階
事業主体 東京電力株式会社
施設内容 セミナー・プレゼンテーションルーム、モデル厨房ゾーン、テストコーナー
受付時間 9:00~17:00(完全予約制)
休館日 土・日・祝日
連絡先 03-3527-5911

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