「すべては飲食店の盛業のため」 飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術

消費者動向を精緻に分析したマーケティングで、昨今ヒット商品を立て続けにリリースしているサントリーグループ。商品力だけではなく、おいしい作り方など効果的な情報発信で、角ハイボールの大きなムーヴメントも創出している。おいしさや品質を正しく伝えて顧客の琴線に触れるという手法は、業務用製品や飲食店向けの運営サポート業務にも反映されている。今回は、2010年のヒット商品であるノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」や「トリスハイボール」を例に、業務用製品での取り組みや飲食店サポートの実態をレポートするとともに、飲食店向けソリューションの活用方法を探っていく。

第3回 ハイボールになるために誕生した新しいトリスウィスキー

第3回 ハイボールになるために誕生した新しいトリスウィスキー

トリスハイボールスターターキット申込み  ホームページへ「 トリス〈エクストラ〉 」 は、業務用向けの4リットル大型サイズが2010年8月に発売され、追いかけるようにして9月に家庭用ボトルが登場した。飲食店においてトリスハイボールとの接点をつくりながら認知を広めるという販売戦略を行った。トリスハイボールを取り扱う飲食店は、発売から約3ヶ月ですでに全国で数万店規模に達している。角ハイボールの人気がベースにあるとはいえ驚異的なスピードである。酒販店を介した展開や営業部門の努力、さらには、「 サントリーご繁盛店サポートサイト 」 でトリスハイボールのスターターキットを無償提供したり、トリスハイボールのおいしい作り方などの豊富なコンテンツを発信したことで、飲食店への認知が早まったのである。

おいしいトリスハイボールのつくり方ホームページへ角ハイボールがブームになった要因はいろいろあるが、サントリーがウイスキーをもっと知ってもらうためにハイボールという飲み方を改めて提案したことが大きく影響している。「 初めてハイボールを飲む人にも、“ おいしい ” と思ってもらえるように味を研究しました 」 とサントリービア&スピリッツ株式会社 営業推進第1部部長 武藤多賀志氏。角とソーダの割合が1:4(アルコール度数8%)で、380mlジョッキに入れる氷の個数まで計算してモデルを作り上げたそうだ。昔のハイボールはかなりアルコールが濃く、12%~15%もの度数だった。それを8%に下げて飲みやすくし、プラスαにカットレモンを加えてさわやかさを強調、ウイスキーを飲んだことが無い人が口にしてもおいしいと感じてもらえるようにしたのである。なお、角のハイボールとトリスのハイボールでは、そのおいしい作り方に違いがある。違いを知りたいという方は、こちらのサイト を参照してほしい。

角が創出したハイボール市場をさらに伸張させるため、サントリーは、角とは異なるゾーンのハイボールを提案して、さらに細かな消費者ニーズに対応しようとした。それがトリスハイボールであり、ハイボールにした時に一番おいしい 「 トリス〈エクストラ〉 」 という商品につながったのである。製造段階から角とは明確な棲み分けが行われ、すっきり感や爽快感を強調したものになっている。そのため、トリスハイボールは比較的にトライアル向けの飲み物であり、20代・30代をメインターゲットにしているのである。

料理との相性だけじゃない!飲食店におけるトリスハイボール活用法

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術トリスハイボールは、若い世代に向けた商品であるが、安い値段を売りにするのではなく、あくまで味わいが売り。「 提供品質が低下しないように、店舗のスタッフがおいしくつくって提供するという付加価値 」(武藤氏)を重視している。現在のブームを見ていると、ハイボールが酎ハイにとって変わるという可能性も感じるが、サントリーによればまだまだそのレベルではないという。消費者にとってはボトルとソーダを頼めれば安くて満足かもしれないが、提供品質・飲用時品質が高くなければ、これ以上の普及はないという考え。味の上での顧客満足度を重視しているのである。さまざまな味へのニーズに応えるために、サントリーはトリスハイボールをベースにしたさまざまなメニューも提供している(詳細は次回以降に紹介)。

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術爽快感の強いトリスハイボールの味に合う料理とはどのようなものだろうか。「 料理と酒の組み合わせには、大きく分けて2つのパターンがある 」 と武藤氏。ひとつは、ワインや日本酒のように酒の味が料理にプラスαを加えるパターン。もうひとつは、料理を味わった後で口の中をさっと洗い流してリフレッシュさせるというビールのようなパターン。ハイボールは後者であるため、比較的に濃い味付けの料理を食べる時に最適で、口の中がさわやかになって、飽きずに料理を食べられるという効果が得られる。具体的なメニューとしては、唐揚げや串かつなどの揚物が合う他、居酒屋メニューであれば幅広く対応できるだろう。

繁盛店サポートサイト ホームページへまた、「 トリス〈エクストラ〉 」 が、一部に杉材を使った樽で寝かせた原酒を使っていることも料理との組み合わせに奥行を与えている。その 「 トリス〈エクストラ〉 」 で作ったトリスハイボールは和食にも合うそうだ。刺身やカルパッチョなどさっぱり系の料理にも合うオールマイティーなドリンクとして使い勝手がいいのである。

飲食店側の使い勝手という意味では、原価率も原価額も比較的安いというメリットがある。トリスハイボールを核となる飲み物にできれば、厳しい経営状況のなかでも効率化が図れるだろう。単なる流行の飲み物というだけではなく、原価コントロールも踏まえた戦略的なドリンクメニューとしてトリスハイボールを捉えてみることもできそうだ。

 

トリスハイボールスターターキットキャンペーン



サントリーグループ
武藤多賀志氏

サントリーグループ

http://www.suntory.co.jp/

1899年(明治32年)に鳥井信治郎氏が、葡萄酒の製造販売のために鳥井商店を開設して創業。
1921年(大正10年)に株式会社寿屋を設立。
1929年(昭和4年)に、日本最初の本格ウイスキー「サントリーウイスキー白札」発売。
1963年(昭和38年)にサントリー株式会社に商号変更。
1967年(昭和42年)、「サントリービール〈純生〉」発売。
以降は、清涼飲料・健康食品・外食事業もスタート、いずれも実績を残している。
2009年(平成21年)に持株会社制へ移行、新たなサントリーグループを形成している。

代表者 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長 佐治信忠

取材協力 サントリービア&スピリッツ株式会社 営業推進第1部部長 武藤多賀志氏

文: 貝田知明

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