「 トニーローマ 」 「 ハードロックカフェ 」 「 パパ・ガンプ・シュリンプ 」などの世界的なブランドと共に 「 カプリチョーザ 」 をナショナルブランドに育て上げることにより国内外に200店近くのレストランを展開する WDI 。同社の強みであるマルチブランド、海外展開力などを中心に、今後の展開について同社代表取締役 清水謙氏に話を伺った。
最終回となる今回は、WDIの現状と課題、今後の方向性について社長の清水氏に語っていただいた。
一つ目は、我々は、今までテーブルダイニングに特化した会社としてやってきましたが、今後は 「 食 」 というカテゴリーの中であらゆる可能性を追及していきたいと考えています。最近手掛けたSA事業もその一つですが、今後はもしかすると、給食であったり、ファーストフードであったり、お惣菜いわゆる中食、ケータリング、農業に至るまで、様々な選択肢を持って活動していきたいと思っています。「 食 」 に関わることであれば事業領域は限りなく広げていくことができるのではないかと考えています。
二つ目は、現在の海外比率25%を、早く50%にもっていくことが私の使命だと思っています。急激なグローバル化は、歪を生み、社員に負担をかけ、コスト的に大きくなる可能性があるかもしれません。しかし、中長期的にみると、やはりどこかで舵を切らないと10年後には間違いなく後悔する時が来ると思っています。ですから、グローバル戦略は喫緊の重要課題として取り組んでいきたいと考えています。現在10か国に展開していますが、来年の頭には間違いなく14か国に進出することになると思います。私のビジョンでは、3~5年後には世界中で20か国への進出を計画しています。
現在検討中の国は、カリブ諸島のバハマ、フレンチポリネシアのタヒチや中東のUAEなどです。
さらに、注目している国には、南米のベネズエラやブラジル、南アフリカ、欧州のポーランドやトルコ等があります。
巨大マーケットである中国・インドなどのASEANでは、10~20年後には、中流階級の人々がものすごいボリュームとなるでしょうから、彼らの胃袋をどう取り込んで行くかが今後、非常に大きな戦略となっていくと思います。現在は、ASEANを中心にフランチャイズビジネスを進めていますが、フランチャイズでずっとやっていくべきか、直営に踏み切るべきかは、状況を見ながら検討していきたいと思います。
グループの中核は 「 カプリチョーザ 」 ですが、海外展開の中核も 「 カプリチョーザ 」 なのか、という点はまだわかりません。場所と国に合わせた業態を展開していくことが重要だからです。ちなみに、インドもUAEも和の業態ですし、バハマとタヒチはアメリカンの業態です。バハマについては、年間300万人の旅行者のうち約9割がアメリカ東海岸の富裕層と言われています。タヒチについては、年間の旅行者数はそれほど多くはないのですが、平均滞在日数が約2週間と長いのです。にもかかわらず、レストランが少なく食べる場所に困るお客様が多いのです。現在マクドナルドが1軒あるのですが、年間10億円も稼ぐと言われています(笑)。
こうした視点で我々は海外展開していますが、もちろん当社だけでできることではなく、現地のパートナーとうまく組めるかどうかがカギとなってきます。幸い、当社のように多くのブランドを展開していますと、例えば 「 トニーローマ 」 や 「 ハードロックカフェ 」 といったワールドカンパニーのいろいろなフランチャイジーさん達と情報交換する中で、いろいろな海外の情報を得ることができます。こうした出会いから多くのご縁が生まれ、チャンスが広がってきます。
最後になりますが、当社は今後もスクラップ&ビルドを繰り返す中でも、多くのマルチブランドを増やしていきたいと考えています。そして、大阪証券取引所JASDAQへの上場を果たした今、さらに東証1部上場を目指して今後も事業を拡大していきたいと考えています。
株式会社WDI
代表者:代表取締役 清水謙氏
設立:1954年4月
所在地:東京都港区六本木5-5-1 ロアビル8・9階
事業内容:レストラン経営及び運営委託、ブライダル企画・運営
代表取締役 清水謙氏プロフィール
1968年 東京出身
1992年 慶応大学法学部卒業、さくら銀行(現・三井住友銀行)入行
1998年 WDI入社
2003年 代表取締役社長に就任