「WDI編」ダイニング･カルチャーで世界をつなぐ -世界を舞台にマルチブランドで食文化を結ぶ

｢トニーローマ｣｢ハードロックカフェ｣｢パパ･ガンプ･シュリンプ｣などの世界的なブランドと共に｢カプリチョーザ｣をナショナルブランドに育て上げることにより国内外に200店近くのレストランを展開する WDI 。同社の強みであるマルチブランド、海外展開力などを中心に、今後の展開について同社代表取締役清水謙氏に話を伺った。

第5回王道と個性・本物志向で勝負する～「食の安全」と「出店」への取り組み

この回では、WDIの飲食事業に対する様々な取り組みやベースとなっている考えを社長の清水氏にお伺いした。

外食企業物語 WDI編ダイニング･カルチャーで世界をつなぐ -世界を舞台にマルチブランドで食文化を結ぶ－食の安心･安全についてのお考えは？

飲食業界にいるものとして食の安心･安全に注力しているのは当然のことです。何もスペシャルなことではなく王道のことをやっています。食の安心･安全に関しては、決して奇をてらうようなことはなく、王道とされていることを地道に継続的にやり続けることに尽きるのではないでしょうか。

－業態やオペレーション作りについてのお考えは？

清水謙氏 10人のお客様が10人とも満足する業態作りやオペレーション作りはWDIらしくないと考えています。極端な話、3～4人の方には罵倒されたとしても、3～4人の方には｢これを待っていたよ｣、｢これは面白いね｣、｢毎日でも来たいよ｣と支持されるような業態やオペレーション作りをやって行きたいと考えています。つまり、個性を明確にすることだと思っています。ここでいう個性とは、ブランドもその一部ですし、業態自体も、そこで働く人材も、メニュー内容も、いわゆるトータルな部分を指しています。

レストランの業態は、瞬間風速はいいかもしれませんが、半年が勝負だと思っています。でも、個性が明確でちょっと強すぎるくらいの業態は、瞬間風速も無く、半年くらいは苦労するかもしれませんが、軌道に乗ったら強いと思います。実際、「カプリチョーザ」はそんな業態の一つだと思っています。味付けについてもインパクトは追及していますが、この点は時代やお客様に迎合するようなことはしていません。

－出店についてのお考えは？

上場会社になって強く思うことは、出店計画ありきの出店はよくないということ。やはり、人作り・業態作りが明確にできてからの出店が重要だと思います。立地についても、すごくいい立地や条件の物件に巡り合えた時、そこに人材と業態の開発が間に合っていれば出店します。一店舗一店舗の勝負だと思います。決して計画ありきの出店をしないというのが当社の良いところだと思っています。

昨今、外食企業で、市街地立地で戦ってきた店が、商業立地や商業施設に入るようになって来ましたが、これは、時代の流れだと思います。10～15年前は、｢エキナカでなんか商売できない｣と言っていた企業でさえ、今ではエキナカ立地に出店したがっているとか、｢高速道路のSAやPAなんて･･･｣と言っていた企業がこぞって出店するようになるといったことは全て時代の流れではないでしょうか。

そんな中で、マルチブランド戦略を明確に描いて、他社との差別化を図り、本物志向を貫くことによって、商業施設やSAや駅の方々に、｢ WDIに店舗運営をやってもらいたい｣と言ってもらえるかが勝負だと思っています。正直、こちらから｢やりたい、やらせてください｣となれば、賃料等コスト負担が大きくなりますが、先方さんからやってくれないかと言われることによりコスト交渉力を持てるようになるわけです。その様な勝負ができる人材・業態開発をやっていくことが重要だと思っています。

もちろん過去においてすべて成功しているわけではなく、多くの出店の一方で撤退もしてきました。スクラップ＆ビルドを当然のごとく行ってきたわけです。チャレンジもあれば撤退もある。我々が大手ではなく中堅の企業だからこそできる果敢なチャレンジを、やり続けていくことが大切だと考えています。今後も立地や業態にこだわった出店をしていくつもりです。