「WDI編」 ダイニング・カルチャーで世界をつなぐ -世界を舞台にマルチブランドで食文化を結ぶ

外食企業物語 ?WDI編? ダイニング・カルチャーで世界をつなぐ -世界を舞台にマルチブランドで食文化を結ぶ

「 トニーローマ 」 「 ハードロックカフェ 」 「 パパ・ガンプ・シュリンプ 」などの世界的なブランドと共に 「 カプリチョーザ 」 をナショナルブランドに育て上げることにより国内外に200店近くのレストランを展開する WDI 。同社の強みであるマルチブランド、海外展開力などを中心に、今後の展開について同社代表取締役 清水謙氏に話を伺った。

第1回 世界の食文化を届ける~原点は海外ブランドのフランチャイジーから

第1回 世界の食文化を届ける~原点は海外ブランドのフランチャイジーから

大阪万国博覧会1954年4月、清水謙社長の父である現会長の洋二氏が同社を設立。飲食業参入の契機となったのは、洋二氏が多くの商売を手掛ける中、旅行代理店業務を手掛けていた時代のこと。海外旅行が徐々に普及し始めた1965年後半に、アテンド先のアメリカで、飲食店が家族経営の形態ではなく、企業の運営によるビジネスとして成立していることに着目。そして1970年の大阪万博で、日本に初めてケンタッキーフライドチキン(以下KFC)とマクドナルドが紹介されたことから 「 食 」 のビジネスへの可能性を直観し、参入を決意した。

そして、1972年にKFCのフランチャイジーとして 「 ケンタッキーフライドチキン六本木店 」 を開店し、外食事業への第一歩を歩み始める。KFCのライセンス取得で得たFCパッケージシステムにより外食事業のノウハウが蓄積され、その後の手作り感の強いカジュアルダイニング業態をFC展開する基礎が築かれた。現在の幹部にはKFC出身者も多いが、FCシステムの強みとリスクの両方を知り尽くした彼らがテーブルダイニング事業の中核を担ってきたことが同社の強みに繋がった。

トニーローマ1979年には、バーベキューリブレストラン 「 トニーローマ 」のライセンスを取得し、「 トニーローマ三番町店 」 を開店した。翌1980年には、早くも海外第1号店となる 「 トニーローマ ハワイ店(現ワイキキ店) 」 をワイキキに開店し、海外での営業展開へ踏み出した。同業態は、現在、国内外に15の直営・FC店を持つまでに成長した。1983年には 「 ハードロックカフェ 東京 」 をオープン。現在、国内に6つの直営店を展開している。

カプリチョーザカジュアルイタリアンレストランの 「 カプリチョーザ 」 は、1985年に展開権を取得して下北沢に1号店をオープンしたのを皮切りに、現在国内外に約140店舗の直営・FC店を持ち、同社の中核ブランドに育った。

海外ブランドのライセンス取得からスタートしたWDIの外食事業は、その後オリジナルの業態の開発や、既存の繁盛店の発掘を手掛け、これらをFCの手法により多面的に展開してきた。そして今や、21のブランド・業態に200店舗近くの直営・FC店を持つマルチブランド企業となった。

こうしたFC展開を可能にしたのは、同社が元々フランチャイジーの立場からスタートしたことによるところが大きいという。フランチャイジーの立場を理解するバランス感覚と決して押しつけや強権に陥ることのないコミュニケーション力を武器に多くのFCとビジネスを構築してきた。これが、同社が長年に渡り多くのフランチャイジーに支えられて今に至ることができた要因であろう。社名は 「 WORLD DINING INSPIRATION 」 の頭文字からなる。WDIは、今後も世界の食文化を夢と喜びとともに多くのお客様にお届けする企業として、発展していくに違いない。



清水謙氏

株式会社WDI

http://www.wdi.co.jp/

代表者:代表取締役 清水謙氏
設立:1954年4月
所在地:東京都港区六本木5-5-1 ロアビル8・9階
事業内容:レストラン経営及び運営委託、ブライダル企画・運営

代表取締役 清水謙氏プロフィール
1968年 東京出身
1992年 慶応大学法学部卒業、さくら銀行(現・三井住友銀行)入行
1998年 WDI入社
2003年 代表取締役社長に就任

文:齋藤栄紀 人物写真:酒美保夫
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