「サブウェイ編」小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する~日本サブウェイ・独自戦略を知る~

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知る

潜水艦型のパンにハムや野菜などを挟んだサブマリンサンドイッチは、アメリカでは昔から愛されてきた伝統的なメニューだ。SUBWAYという名前は、このサブマリンサンドの “ SUB ” に、あなたの好み通りに作りますという意味を示す “ WAY ” を組み合わせたもの。「サブマリンにいろいろなお好みを詰め込んで、あなただけのサンドイッチをお楽しみください」。会話しながらつくる対面式スタイル、そこから育まれるホスピタリティ精神などサブウェイ40年の歴史を踏まえながら、日本サブウェイが展開する独自戦略に注目していきたい。なお、今回は、代表取締役 伊藤彰氏のインタビューを交えてお届けする。

第4回 サブウェイの原点に立ち返る小規模パッケージ戦略

第4回 サブウェイの原点に立ち返る小規模パッケージ戦略

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知るサブウェイFCビジネスのパッケージは、97年頃から日本独自のスタイルを模索するようになり、伊藤社長も現場でさまざまな施策を実現してきた。そして、2003年の社長就任直後には、サブウェイの根幹と言えるオーダーメイドシステムを見直すような試行錯誤まで行ったそうだ。

【伊藤社長】 社長に就任すると、周囲がいろいろなアドバイスをしてくれるものなんですよね。“ スターバックスのようなコーヒーチェーンが流行りだが、そういう店は食べ物を持ってないから、そっちの方向に振ってみろ ” とか。要するに、コーヒーを強化してみるということです。ほかには、“ 通常のバーガーショップよりもテイクアウト率が高いので、テイクアウト主体の店を作ったらどうか ” “ オーダーが面倒くさいから誰も注文しないんだ ” と指摘されたこともありましたね(笑)。当時は、営業的に苦しい状況でもありましたので、作り置きもするテイクアウト専門店、注文されたらすぐに作るイージーオーダーの店、コーヒーに注力して内装にもこだわった喫茶店仕様とすべて実際にやってみました。

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知る結論から言えば、それぞれの良いところ、悪いところを学ぶことができました。コーヒーでお客様を呼ぼうとすると、確かに通りを歩いているお客さんが来てくれるようになり、若干顧客の入れ替わりがありました。しかし、サブウェイを目当てに来ているのではなく、利便性で来ている面が強かったのです。サブウェイは、サンドイッチの世界的チェーンであって、コーヒーのブランドを持っているわけではありません。客数は増えましたが、単価が下がり、結果的に売上が落ちたのです。テイクアウトの店は、最初はよく売れるのですが飽きが来るのが早い。イージーオーダーは、サブウェイのオーダーシステム自体がよく分かっていなければ、お客様の立場としてメリットは感じられないのです。結果的に客数増につながるわけではないのです。やはり、サブウェイのパッケージは、「 本来アメリカでやってきたサンドイッチ屋なんだ 」 と再確認するに至ったのです。

外食チェーン店は、自分たちの不得意な時間帯を埋めようとするものです。サブウェイも昼の時間帯で4~5割の売上があって、夕方にも山が来るという形で、アイドルタイムを狙いたくなるものですが、結局そこに特化するとロスが大きくなるのです。30~40坪の大きめの店舗にして喫茶需要を取ろうとしても、コーヒーの原価が他の喫茶チェーンのように下がらない。テイクアウトの店も見切りで作らなければいけないのでロスが出る。いずれにしても収益性に問題が出てくるわけです。やはりサンドイッチをもっと磨くしかなく、原点に軸足を置くように切り替えました。

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知る30~40坪店舗が中心だったものを15~20坪前後にしたのですが、これは、昔からのオーナーさんが運営している店舗で、成功している店舗の多くがこの規模だったからです。サブウェイでは、基本的に直火を使わないのでガス設備が必要なく、ダクトもいらないことが低コストにつながります。設備投資が低いだけでなく、ランニングコストも下がります。15~20坪であれば内装費も下がるので、いかに小規模パッケージにするかがポイントでした。それに、1店舗に5000万~6000万円の費用を掛けるのではなく、2~3店舗を持ってもらうことでリスクヘッジをしてほしいと考えています。人を多く育てなければいけないという問題はありますが、平日に強い店、週末に強い店と分けて持つことも良策だと思います。

成田空港第1ターミナル南ウイング店それから、97年にドリンクをインサーブのスタイルにしたことがありますが、これも撤回しました。アウトサーブがもともとのサブウェイの形で、サービス強化の一環で、他のファストフードのようにカウンター内から提供するようにしたのです。しかし、サンドイッチの間違いにつながる例が多いので、敢えてアウトサーブに戻したのです。サンドイッチの注文を2つ受けて、一方はピクルス、一方はタマネギを抜いてくれと言われ、さらに別々のドリンクオーダーを受けたら間違えてしまいますよね。それに、一度オーダーを取っていながら、「 ドリンクは何でしたっけ? 」 と再確認するのはお客様に失礼なだけで、サービスの向上にはなりません。それだったら、サンドイッチづくりに集中しようとアウトサーブに戻しわけです。ただ、コーヒーだけは日本市場ではこだわらなければいけませんので、ホットコーヒーのみインサーブのままにしています。

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知る売れる商品構成と効率性を噛み合わせて収益を出すこと、それを重点にパッケージを改良してきました。まだまだ改善する余地はありますが、05年から現在のパッケージを展開しています。2~3店舗目で新パッケージを導入して収益が上がったというオーナーさんが出てきて、サブウェイのFCビジネスが再スタートを切ったというのが現在までの流れです。今までは、年2回程度しかFCセミナーを開けなかったのですが、今年は毎月開催しています。中食の影響もあり、外食店を持ったら苦労するのは当たり前の時代ですが、そこで強みを発揮させることをFCビジネスの課題に挙げています。



日本サブウェイ株式会社

日本サブウェイ株式会社

http://www.subway.co.jp/

平成3年(1991年) サントリー株式会社を株主に設立、米国SUBWAY本部との間でマスターフランチャイズ契約を締結
平成4年(1992年) 赤坂に国内1号店を出店
※以降、FCにより積極的に出店、現在は24都府県・157店舗に達する。

本社:東京都港区赤坂3-8-8 赤坂フローラルプラザビル4F

日本サブウェイ株式会社 代表取締役社長 伊藤彰氏

同社代表取締役社長 伊藤彰氏

1958年12月3日・神奈川県出身
大学卒業後サントリー入社
千葉エリアで酒類営業を4年間担当後、社内募集に志願して国際部へ。
スペイン・マドリッドでレストラン支配人を務めるなど、10数年にわたり外食関連事業に従事。1998年に日本サブウェイ入社、2003年に社長就任。

文:貝田知明  写真(人物):トヨサキジュン
ページのトップへ戻る