「サブウェイ編」小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する~日本サブウェイ・独自戦略を知る~

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知る

潜水艦型のパンにハムや野菜などを挟んだサブマリンサンドイッチは、アメリカでは昔から愛されてきた伝統的なメニューだ。SUBWAYという名前は、このサブマリンサンドの “ SUB ” に、あなたの好み通りに作りますという意味を示す “ WAY ” を組み合わせたもの。「サブマリンにいろいろなお好みを詰め込んで、あなただけのサンドイッチをお楽しみください」。会話しながらつくる対面式スタイル、そこから育まれるホスピタリティ精神などサブウェイ40年の歴史を踏まえながら、日本サブウェイが展開する独自戦略に注目していきたい。なお、今回は、代表取締役 伊藤彰氏のインタビューを交えてお届けする。

第2回 サブウェイスタイルは、顧客の声を活かすことから誕生する

第2回 サブウェイスタイルは、顧客の声を活かすことから誕生する

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知る

サブウェイ独自のスタイルであるオーダーメイドシステムは、店の狭さや人手不足といった制約から生まれた財産ともいえる。調理スタッフと接客スタッフが分かれている方が効率はいいが、それができない以上は、“ 作りながら売る ” という方法しかないのだ。アメリカでは当初、客に背中を向けてサンドイッチを作っていたが、注文内容の間違いが減る、来店者にすぐに気付けるといったメリットがあるため対面式に変わっていったのである。顧客と向き合い、フレンドリーな会話をかわしながらサンドイッチを作っているうちに、細かな注文にも柔軟に対応できるようになって、オーダーメイドシステムは支持を得ていったのである。客の側からすれば、目の前で注文を取りながら作ってくれるのだから新鮮に感じられる。それが評判として広がっていったのである。

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知るもうひとつのサブウェイの特長である自家製の 「 焼たてパン 」 は、1980年代に誕生した。1982年当時はコネチカット州以外のFC希望者も増え、261の店舗数に上っていたが、エリアが拡大することによる新たな問題も生じていた。そのひとつがパンの品質で、ノースカロライナ州のあるFCオーナーから 「 出入り業者のパンは、新鮮味に欠けている 」 という相談も寄せられていた。焼きたて自家製パンが差別化の大きな武器になると考えていた創業者のフレッド・デルーカは、この相談を期に 「 毎日、店でパンを焼く 」 という大胆な改革を実践することになる。スペースの問題やオーブンのコスト、何よりも大切なパンの質を心配した反対意見も多かったが、狭い店内にも置けるスリムなオーブンやオリジナルパン生地を作り出し、フレッシュな焼きたてパンという新たな魅力を誕生させたのである。

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知るアメリカで好評を博していたサブウェイが日本に上陸したのは1992年のことで、東京・赤坂見附に1号店が開店した。サンドイッチといえば三角サンドのイメージしかなかった時代かもしれないが、味やボリューム、運営スタイルなどを含めて日本ではどのような反応があったのだろうか。ここからは、日本サブウェイ・代表取締役 伊藤彰氏のお話しをもとにお伝えしていこう。

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知る【伊藤社長】 1号店ができた頃、私はグループ会社で海外の外食事業を担当していたので、現場を目の当たりにしたわけではないのですが、FC加盟の電話が鳴りっ放しだったようですね。マクドナルドさんに差別化できるチェーンとして、鳴り物入りで来日したので、FC加盟を希望される方がたくさん集まりました。もちろんお客様にもたくさん来ていただきました。今はほとんど15センチのレギュラーサイズがメインですが、当時は大きなサイズのフットロング(30cm)を試しに買って、持ち帰るという方が多かったのです。それを帰宅して開けてみると、ドレッシングが染み出して全体がべちゃべちゃだったという声が多かった。持ち帰りにすると商品力が落ちてしまうのは大きな問題です。そのため、パッケージを改良して中に給水紙を入れているのですが、これは日本だけのアイデアです。

小さなスペースから美味しさと健康・環境までの満足を提供する 日本サブウェイ・独自戦略を知る味やボリュームに関しては、当時は、アメリカのメニューをそのまま使っていたので馴染まなかった点もあると思います。私も海外から一時帰国した時に1号店に入ってみましたが、「 これは日本では無理じゃないか? 」 と感じたことがあります。サンドイッチの命とも言えるパンが、日本人の口にはパサつく感じがするのです。ましてや大きいサンドイッチですから、余計に食べにくい。調べてみると、分泌される唾液の量が日本人と欧米人では大きく違っているのが原因でした。欧米人は唾液がたくさん出るので、パサパサのパンでもドリンクなしで食べられるのです。対して日本人の唾液の量は1/3程度。メジャーリーグを見ていると、よく唾を吐くシーンがありますが、口の中で余ってるんじゃないですかね(笑)。

そういったことを踏まえ、アメリカのサイズやメニューをそのまま提供するのではなく、日本人の嗜好にアレンジしていくことも積極的に行うようになりました。これは、我々が本国とマスターフランチャイズ契約を結んでいるからできることです。マーケティングも含めて日本サブウェイの主導で事業を行えるようになっており、オブザーバーという位置付けで本部の協力をあおいでいます。



日本サブウェイ株式会社

日本サブウェイ株式会社

http://www.subway.co.jp/

平成3年(1991年) サントリー株式会社を株主に設立、米国SUBWAY本部との間でマスターフランチャイズ契約を締結
平成4年(1992年) 赤坂に国内1号店を出店
※以降、FCにより積極的に出店、現在は24都府県・157店舗に達する。

本社:東京都港区赤坂3-8-8 赤坂フローラルプラザビル4F

日本サブウェイ株式会社 代表取締役社長 伊藤彰氏

同社代表取締役社長 伊藤彰氏

1958年12月3日・神奈川県出身
大学卒業後サントリー入社
千葉エリアで酒類営業を4年間担当後、社内募集に志願して国際部へ。
スペイン・マドリッドでレストラン支配人を務めるなど、10数年にわたり外食関連事業に従事。1998年に日本サブウェイ入社、2003年に社長就任。

文:貝田知明  写真(人物):トヨサキジュン
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