「三光マーケティングフーズ編」価値ある食文化を提案し続ける 新たな価値を追い求め、チャレンジすることで道は拓ける

外食企業物語 三光マーケティングフーズ編 価値ある食文化を提案し続ける 新たな価値を追い求め、チャレンジすることで道は拓ける

既成概念を破る “ 焼き ” 牛丼を看板メニューに掲げた 「 東京チカラめし 」 を破竹の勢いで全国展開する 三光マーケティングフーズ 。「 東方見聞録 」 「 月の雫 」 「 金の蔵Jr. 」 を始めとする居酒屋業態での成功を糧に、寡占化の進んだ牛丼業界に乗り込み、急成長を遂げたその秘密とは。そしてライバル他社も注目の同社が目指す未来とは。業界の風雲児・平林実社長に熱く語っていただいた。

第3回 お客様の無限の欲望・要望の中にチャンスあり~不況と逆境の中で深化する居酒屋業態

第3回 お客様の無限の欲望・要望の中にチャンスあり~不況と逆境の中で深化する居酒屋業態

「月の雫」の個室三光マーケティングフーズの原点は平林社長が26歳で創業した牛丼店と言えるが、当時は、先行していた 「 吉野家 」 のようなチェーン展開までには至らなかった。次に目を付けたのが、現在、同社の事業の柱のひとつとなっている 「 東方見聞録 」 「 月の雫 」 「 金の蔵Jr. 」 などの個室居酒屋であった。新規出店当時は、バブル崩壊後、経済もデフレに入り、外食全体も下降トレンドにあった。当然、居酒屋業界も冬の時代に突入していた。そんな状況下で新規出店を果たし、その後売り上げを大きく伸ばしていったその理由とは?そのヒントは平林社長のお話にあった。

お客様目線で我々の役回りを考えていくと、お客様の望み・欲望は無限であって、これでいいというものはないんですね。私は、そこを軸に突き詰めて考えてこそ新たな価値を生み出すことができると常に思っています。かつて流行っていた既存の居酒屋が、バブルがはじけ、お客様が満足をしていた時代が過ぎ去ってしまった。そんな時に価値ある提案をしていかなければ我々の存在意義はないと考えたのです。

外食企業物語 三光マーケティングフーズ編 価値ある食文化を提案し続ける 新たな価値を追い求め、チャレンジすることで道は拓けるそこで現場に出てみると、ワイワイガヤガヤ大勢で楽しんでいらっしゃるお客様の隣に、素敵なカップルが来店されると、「 静かに二人で過ごせる個室があったらいいなあ 」 と思われているのが伝わってくるんですね。もともと現場経験が長かったので、日々お客様と接しているうちに「もっといい席に案内してほしい」といったお客様の無言のメッセージを感じられるようになるんです。そうしたお客様の要望・ニーズがあれば、そこを満たして差し上げることが価値ある提案なのではないでしょうか。そこで、今までそうした文化の提案がなかった時代だからこそ我々にチャンスがあると考え、「 居酒屋に個室を 」 という発想が生まれたのです。これまで 「個室 」 といえば高級料亭にでも行かなければなかった時代です。それを街中の居酒屋で、隣席の騒音に煩わされることなく、しかもリーズナブルな価格帯で料亭気分を味わえるなど、こんな非日常的空間はなかったですよね。来店されたお客様に 「 良かった。ありがとう 」 と言っていただき、またご来店いただければ、そこに新たなドラマが生まれる。そこがまさに我々の仕事の醍醐味だと思っています。

三光マーケティングフーズが業界に先駆けて 「 居酒屋を個室に区切る 」 というコンセプトを打ち出した当時は、建築コストや席数減による売り上げへの影響を躊躇して、なかなか踏み切る企業は無かったという。その中で同社は、初期投資をかけても席数・客数を減らさずに売り上げ増を可能にするということを圧倒的な出店スピードで次々に実証してみせた。そうして、「 個室居酒屋 」 業態は追随する他社との競合を経ながら、成熟したマーケットとして今日の成長を遂げていったのだ。

お客様の無限の欲望・要望の中にチャンスあり~不況と逆境の中で深化する居酒屋業態

不況や逆境の真っただ中であろうと、時代の変化に先手を打って、新たな価値を生み出し続ける同社。その進化の理由は、平林社長の下積み時代に培われた経験に裏打ちされた緻密な戦略と、変化に対する溢れるほどの情熱、「 お客様の求めるものを追及し続ける 」 というたゆまぬ努力の姿勢にあるのだろう。

代表的な個室居酒屋業態ブランド

東方見聞録 プライベート・ダイニングという居酒屋スタイルを確立した主力ブランド。「 都会の隠れ家 」 をコンセプトにビジネスマンやOLを意識した店づくり。厳選素材の炭火串焼きをメインに和食、イタリアン、点心までこだわりの味を堪能できる。現在全国に16店舗を展開。

月の雫 「 和のこだわり美味と癒しの食空間 」 をコンセプトにOLなどの女性層と熟年層を意識したブランド。自家製手作り豆富と湯葉をメインにしたヘルシーな創作和食は素材・器・演出までこだわった料亭レベルを実現。現在20店舗を展開。

金の蔵Jr. 食材・人件費の徹底的なコスト管理で実現した低価格居酒屋。「 気軽に楽しくおいしくて、価格も安い 」 をコンセプトに会社帰りのビジネスマンが仲間と立ち寄るチョイ飲み酒場をイメージ。フードもドリンクも豊富なメニューを取り揃えている。現在84店舗を展開。



平林実氏

株式会社三光マーケティングフーズ

http://www.sankofoods.com/

代表者:代表取締役社長 平林実氏
設立:1977年(昭和52年)4月
所在地:東京都豊島区南池袋3-9-5 サトミビル1F
事業内容:飲食店の経営(居酒屋・牛丼・うどん・イタリアンパスタなど)

代表取締役 平林実氏プロフィール
1949(昭和24)年 東京都大田区生まれ。法政大学経営学部卒業後、レストランを経て、1975(昭和50)年に 「 三光亭 」 を創業。

文:齋藤栄紀 人物写真:酒美保夫
写真協力:月刊飲食店経営

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