既成概念を破る “ 焼き ” 牛丼を看板メニューに掲げた 「 東京チカラめし 」 を破竹の勢いで全国展開する 三光マーケティングフーズ 。「 東方見聞録 」 「 月の雫 」 「 金の蔵Jr. 」 を始めとする居酒屋業態での成功を糧に、寡占化の進んだ牛丼業界に乗り込み、急成長を遂げたその秘密とは。そしてライバル他社も注目の同社が目指す未来とは。業界の風雲児・平林実社長に熱く語っていただいた。
ここからは、同社代表取締役社長平林実氏に話を伺っていく。
企業理念は、「 価値ある食文化の提案 」 です。当社の 「 戦略 」、「 想い 」、「 ビジョン 」 は全てこの理念を源泉に生まれています。これは単なるありきたりな食文化の提案ではありません。接客・料理・立地・空間作り等々、その一つ一つの何にこだわり、どう表現し、どう実現するか。どうすればお客様が幸せになれるか。これら全てをお客様目線、マーケット目線と感謝の気持ちを持って考え続け、こだわり続けて、「 飲食にいかに付加価値を盛り込めるか 」 に全身全霊を注いでいます。これだけ多様な時代になってくれば、企業は常に変化・進化・提案をし続けていかなければ生き残っていけません。その中で、当社はお客様にとっての最良の価値を常に追求していくことを心の原点に、これからも使命感を持って多角的に提案し続けていきたいと思っています。これは、“言うは易く、行うは難し” ではありますが・・・。
- 飲食企業を経営する上で重視していることは?
食に携わる私たちにとって、「 お客様の健康・安心・安全 」 は最も留意しなければいけないことです。この点においても常に社会目線を持って、関係官庁とも規律ある関係の中でコンプライアンスを果たしてきました。そしてさらに、従業員教育のみならず対外的なお取引先に対しても、コンプライアンスに則った明確なルールを作り、文書化して、実行していくことを当然として、その取り組みを徹底させています。常にお客様目線・社会目線で考えていくと、こうした行動や取り組みは必然であると考えています。かつて、老舗の料亭が、食材の使い回しなどを行っていた一件などありましたが、そういうところに悪しき風習が残っていたりするのではないでしょうか。業界の中には現実的にまだまだこうした歪が存在していることは事実なようですが、われわれは上場も果たした責任ある企業として、近代的な思考で企業としての使命を果たしていきたいと考えています。
- 飲食の店舗を運営する上で大切なことは?
店舗運営については、お客様にいかに快適に過ごしていただくかは、QSC (=Quality・Service・Cleanliness) が原理原則であると考えています。いきなり100点満点を頂くことは無理だとしても、常に原理原則を尽くして、業態を良くしていこうと努力しています。
- そのための人材教育は?
店舗スタッフの教育は定着率から見てもとても重要です。“ 人財 ” は避けては通れぬ永遠のテーマと言っても過言ではないでしょう。しかし私は、<教育はシナリオ通りに上手くいくものではないと思っています。「 良くなってほしい 」 とか 「 伝えたい 」 という思いを、理屈ではなく心から発信し続けていきたいといつも思っています。さらに日々能動的に人とのふれあいを欲することこそが自分の良心であると信じています。そのために私は、社員研修や月1度の店長会議のみならず、時に個人的にスタッフと飲みに行って世間話などしながらコミュニケ―ションを取るひとときも大切にしているのです。
株式会社三光マーケティングフーズ
代表者:代表取締役社長 平林実氏
設立:1977年(昭和52年)4月
所在地:東京都豊島区南池袋3-9-5 サトミビル1F
事業内容:飲食店の経営(居酒屋・牛丼・うどん・イタリアンパスタなど)
代表取締役 平林実氏プロフィール
1949(昭和24)年 東京都大田区生まれ。法政大学経営学部卒業後、レストランを経て、1975(昭和50)年に 「 三光亭 」 を創業。
文:齋藤栄紀 人物写真:酒美保夫
写真協力:月刊飲食店経営