昭和26年(1951年)に創業した ロイヤルグループ は、長い歴史のなかで変わることなく 「質の追求」 を事業活動の中心にしてきた。グループの基幹事業でもある「ロイヤルホスト」は、昭和46年(1971年)に福岡で誕生して以来、「多くのお客様に、美味しい食事をもっと気軽に楽しんでいただきたい」という思いから全国にネットワークを広げている。美味しさと料理の品質にこだわるというグループの一貫した姿勢は、高い調理力につながり、さまざまな食文化の提案へとつながっている。今も変わらぬ徹底した企業姿勢や移りゆく時代への適応力などロイヤルが持つ企業力について、執行役員・佐々木徳久氏へのインタビューを元に迫ってみたい。
― ロイヤルホスト、ひいてはロイヤルグループの基本理念とはどういうものなのでしょうか?
【 佐々木氏 】 「 ロイホの日 」 と称して、昨年から80年代のメニューを投票で選んでいただくというイベントを実施しています。今年は、ジャンバラヤ、ビーフドリア、タコス、プリンアラモードを復活させました。80年代のはじめ頃からファミレスは全盛期を迎えましたが、その当時のお客様の支持を得たものをオリジナルに近い形でリメイクして出しているのですが、30年経って人気メニューが一巡してきたような感じで、とても良い反響をいただいています。また、毎年6月から行っているカレーフェアは、今年で28年目を迎えました。いわゆるライスカレーのようなものしかなかった時代に、ロイヤルはカレーフェアを実施したのです。家庭で食べるようなライスカレー、ご飯にガバッとルーが乗ったようなスタイルのカレーばかりだった中で、レストランスタイルのカレーを出したり、当時ほとんどなかったインドやタイなどのカレーを出していました。何を申し上げたいかというと、ロイヤルは 「 食文化のひとつとして、美味しい料理を広めていきたい 」 という考え方があったのです。
また、同じ頃にイタリアンフェアも行っていました。30年近く前の日本にはアルデンテという食感はまだ認知されていませんでした。当時、大学生だった私はロイヤルでアルバイトをしていたのですが、イタリアンフェアでスパゲッティを出すと、「 おにいちゃん、これダメだよ。茹であがってないよ 」 とお客様からよく言われました。「 これで正しいのですが… 」 とお応えすると、「 こんなに固いのが正しいわけないだろう。店長を呼んでこい 」 と怒られるわけです。そういった指摘があまりに多いので、「 もっと茹でればいいんじゃないですか? 」 と店長に直訴したら、その時の店長が 「 イタリアの本物のスパゲッティを出すのが、このフェアの目的です。理解してもらえないかもしれないけれど、アルデンテを出し続けよう 」 と熱く語っていたことをよく覚えています。
ロイヤルホストでは今春から、健康面に配慮した 「 88(はちはち)サラダ 」 という100円を切った88円(税込92円)のメニューを出しています。また、今年3月から6月の間には、全国162店舗で 「 お好きなだけパンケーキ 」 という期間限定メニューも実施しました。制限時間内であれば何枚食べてもいいというものです。これらの施策は、ここ数年にわたり、ロイヤルホストが試行錯誤してきた結果のひとつです。低価格メニューが世に広まるなかで、自分たちはどういう立ち位置を目指せばいいのかを検討した結果が 「 88サラダ 」。また、料理の質や食文化を大切にしていくことを再確認するという意味で、看板商品であるパンケーキを粉や製法をすべて見直して、今までよりおいしいパンケーキとして今年3月に完成させました。それを少しでもたくさんの方々に召し上がっていただこうというのが 「 お好きなだけパンケーキ 」 の主旨です。単なる価格競争ではなく、質を上げて、さらに深堀をしていこうという戦略に最近は移行しています。
この他、2009年の9月から 「 国産黒黒ハンバーグ 」 を販売しているのですが、通算300万食を突破するヒット商品になっています。今までこれだけヒットした商品はロイヤルホストにはありませんでした。ファミレスの看板商品であるハンバーグをもう一度見直し、どこまで質を高められるのかということを追求したのです。基本的な美味しさというものを追求することが、現在のロイヤルホストの戦略の大きな流れになっています。
ロイヤルホールディングス株式会社
http://www.royal-holdings.co.jp/
【代表取締役社長】菊地 唯夫氏
【本社】福岡県福岡市博多区那珂3-28-5
【東京本部】東京都世田谷区桜新町1-34-6
昭和26年(1951年) 日本航空国内線の営業開始と同時に福岡空港において機内食搭載と喫茶営業を開始。福岡市堅粕で製菓・製パン業を開始。
昭和28年(1953年) 福岡市東中洲にレストラン「ロイヤル中洲本店(現花の木)」を開業、有限会社ロイヤルを設立
昭和29年(1954年) ロイヤル中洲本店にマリリン・モンロー、ジョー・ディマジオ夫妻来店
昭和31年(1956年) ロイヤル株式会社(資本金1,000千円)を福岡市東中洲に設立
昭和37年(1962年) セントラルキッチンシステム(集中調理方式)を採用、業務用冷凍料理の製造に着手
昭和45年(1970年) 大阪万国博覧会のアメリカゾーンに外国店扱いで出店
昭和46年(1971年) ロイヤルホスト1号店を北九州市の黒崎に出店
昭和53年(1978年) 福岡証券取引所に上場
昭和57年(1982年) 東京都世田谷区桜新町に東京本社(現東京本部)を設置
平成2年(1990年) 福岡市博多区那珂の本社・工場(ロイヤルセンター)再構築工事の竣工
平成17年(2005年) 持株会社制に移行し、会社名をロイヤルホールディングス株式会社に変更
事業統括本部 執行役員 佐々木徳久(ささき・のりひさ)氏
昭和37年東京生まれ。法政大学文学部に在学中からロイヤルホストでアルバイトスタッフとして働く。卒業後、ロイヤル株式会社(現ロイヤルホールディングス株式会社)入社 。ロイヤルホスト南東京地区長、業態開発室長、西日本事業部長を経て、平成17年にロイヤル九州(現ロイヤル西日本株式会社)代表取締役社長に。平成20年からロイヤルホールディングス株式会社執行役員となる。
取材協力:管理本部広報室PR担当リーダー 古城尚之氏