“Mr.” や “Mrs.” は尊敬の念が込められた単語である。「 ミスタードーナツ 」 の “ミスター” にも 「 ドーナツをつくる人を尊敬する 」という意味が込められている。創業者ハリー・ウィノカー氏の人を大切にする心とダスキン創業者の鈴木清一氏の人を大切にする心がふれあい、日本にミスタードーナツが誕生した。外食産業創生期の1971年に誕生し、今なお成長を続けるミスタードーナツの歴史を紐解く。
ミスタードーナツといえば、第1号店である箕面ショップからファミリー層をターゲットとしてきた。現状では1300店舗の半数以上をショッピングセンター内、その他も住宅街、駅前、ロードサイドなどを中心に出店している。
【 広報担当 】 今後はターゲット層を広げて行きたいと考えています。OLや学生、社会人とまだまだ未着手の層がありますから、その方々がご来店しやすい立地に出店していくことを考えねばならないと思っています。実は、山手線内にはミスタードーナツは非常に少ないのです。今後は都心、繁華街やエキナカなどへの出店も考えていくことになります。ターゲット層を広げるとなると立地戦略だけではなく商品戦略にも影響が及びます。例えばOLや若い女性は健康のことを気にされていますので、おやつ代わりに野菜や果物などを使った ” 焼きド ” などはまさにその一環なのです。
戦略上、ミスタードーナツでは提供できなかった商品やサービスを提供するために他ブランドの展開を行ってきた。2007年に1号店がオープンした 「 カフェ アンドナンド 」。このブランドは、大人のドーナツカフェを標榜し、「 ビジネスパーソンにとっての都会のオアシスとして、洗練された居心地のいい空間でこだわりのコーヒーと上質感のあるおいしいドーナツを提供する 」 をコンセプトとする。現在4店舗であるが、直営店を数店出店し、検証したのち、フランチャイズ化を目指している。2010年に広島にオープンした 「 MOSDO 」。2008年に結んだ資本・業務提携の一環としてオープンしたミスタードーナツとモスバーガーの2ブランドコラボレーションショップである。これもテスト検証を重ねたのち将来的にはフランチャイズ化を目指す。そして2011年に心斎橋にオープンした 「 和っ花 」。ドーナツの形状である 「 輪っか 」 と和を連想させる字体を組み合わせた同店は、日本の四季の恵みを五感で感じることのできる、新感覚のスイーツショップをコンセプトにしたドーナツ店である。
【 広報担当 】 ようやくドーナツが日本のおやつとして根付いてきたと思います。でもまだまだドーナツを食べられていない方もたくさんいらっしゃいます。そのような方々に食べていただくために私たちの方から近づいて行く、その方々に好まれるドーナツを開発して行くことが今後は必要だと考えています。極端な話ですが、お年を召された方が多くお住まいの街であれば和風のドーナツがずらっと並んでいて、コーヒーの代わりにお茶が出てくるようなお店があってもいいんじゃないかと思います。
これからは色々な方々にもご利用いただきやすいショップを出店して行く必要があります。そのためにも 「 ミスタードーナツ 」 だけでなく新ブランドの開発を通じて出店していくことが必要となりますし、「 焼きド 」 のような新カテゴリーの商品にも注力して行きたいと考えています。また、季節に応じた商品開発も重要になってくるでしょう。例えば夏場には冷たい商品とか清涼感のある商品を出すとかです。店舗も色々と工夫を行い、1店1店がもっとそれぞれの地域にあったショップであってほしいと考えます。今まで出店できていないエキナカや、小さな商圏にも出して行きたいですね。そして現在の1300店舗を再来年の3月に1655店舗まで増やすことを目指したいと考えています。
取材日:2011年6月10日
株式会社ダスキン
大阪府吹田市
現 代表取締役社長 山村輝治氏
ミスタードーナツ
1970年 ダスキンと米国ミスタードーナツが事業提携契約調印
1971年 1号店箕面ショップオープン
1974年 100号店八代ショップオープン
1987年 500号店小野原ショップオープン
1997年 1000号店大阪ドームシティショップオープン
2001年 1500号店枚方長尾ショップオープン
2010年 創業40周年
取材協力:株式会社ダスキン ミスタードーナツ事業本部 広報室 室長 喜多晃氏