社員食堂やレシピ本でクローズアップされた大手計量機器メーカーのタニタと業務提携を行い、2012年1月 「 丸の内タニタ食堂 」をオープンし注目を集めるきちり。同社は現在、関西と関東に65店舗を多様な業態でチェーン展開している。同社が創業以来目指す 「 外食産業の新スタンダードの創造 」とは何か。平川昌紀社長に、その成長の経緯と戦略を語ってもらう。
創業以来目指す 「 外食業界における新たなスタンダードの創造 」 とは何か。そして、その実現のために同社が推進する 「 プラットフォーム戦略 」 とは。13期連続増収という同社の成長を支える、独自の戦略について、平川社長に語ってもらう。
外食産業は業態を開発し、店を作って、料理を売る産業ですが、当社がそれに加えて追求してきたのは、店の土台を成すシステムの構築です。時代にミスマッチな従来のシステムを作り替えて、今までにない新しい枠組みで外食ビジネスを展開していこう、というのが私の考える、「 新スタンダード構想 」 です。
それを具体的な形にするために、当社が独自に開発した新しいシステムが、「 プラットフォーム 」 なのです。プラットフォームとは大きく分けて、「 バックオフィス = 本部機能 」 と 「 バックヤード = 調達・一次加工・流通機能 」 と 「 バックアップ = 取引先・協力先企業 」 の3つの機能の集合体のことを指し示しています。当社は居酒屋業態で規模を拡大していくことによって、これらの機能を、時間をかけて整備し、収益性の高いシステムを生み出してきました。例えば、バックオフィスでは、業務管理のシステムを徹底的に効率化することで、本部スタッフの縮小や給与計算の仕組み、店舗の代理で予約を受けるコールセンターの設置などを整備したのですが、これが現在の収益性の元となりました。バックヤードでは、通常他社なら100~200店舗規模で行う自社物流を50店舗規模からスタートさせ、3年かけて収益化に成功しました。そして三つ目のバックアップでは、会社が大きくなってくるにつれて、取引先も協力先の企業も増えてきました。
今では、当社は、この3つの機能の全てにおいて、他社との競合優位性とスケールメリットを得ることができるようになりました。
そこで私は、このシステムを業界他社でも運用可能なプラットフォーム(=基本的なオペレーテイングシステム)にして利用していただけるようにし、それによって、利用される企業も競合優位性を得ていくというビジネスモデルを創ろうと考えたのです。その様な、新しい外食ビジネスを他社と一緒に展開していくことを目指すのが、私の考える「プラットフォーム戦略」なのです。
このプラットフォーム戦略につながる大きな転機は、FC展開から直営展開に舵をきったことでした。
私の考えるプラットフォーム戦略とは、当社とご利用になる企業とがFCの本部と加盟店のような繋がりをつくりながら、FCの仕組みよりももっと汎用性があり、自由度が高いビジネスモデルを作ることなのです。FCが本部と加盟店があらかじめ設定された業態でつながっているのに対して、このプラットフォーム戦略であれば、業態を特定することなく、外食チェーンを運営するインフラとして、自由に使えるようになるビジネスモデルだと考えています。
株式会社きちり
東京証券取引所市場第二部上場
(2013年3月)
東京本社:東京都渋谷区渋谷1-17-2 CRD Shibuya1st 12F
大阪本社:大阪市中央区安土町2-3-13 大阪国際ビルディング8F
設立年月日:1998年7月16日
代表取締役 平川昌紀氏
1969年 大阪府生まれ。甲南大学卒業後、リゾート開発会社に入社。
1997年 モスバーガーFCで飲食店の経営をスタート。
1998年 有限会社吉利を設立(2000年株式会社へ改組)。
2007年 大阪証券取引所ヘラクレス市場上場
2013年 東京証券取引所市場第二部上場