昭和61年(1986年)11月、宮城県仙台市に1軒のピザ宅配の店舗が開店した。「ストロベリーコーンズ荒町通店」である。日本初の宅配ピザであるドミノピザが開店したのはその前年である。つまり、ストロベリーコーンズは日本における宅配ピザの草分けなのである。
ストロベリーコーンズの発展には、創業社長である宮下雅光氏の強力なリーダーシップとアイデア力を抜きには語れない。今回は、宮下社長の談話を交えて、同社の発展の歴史を紐解いていきたい。
- FC方式のチェーン店ビジネスを展開していく上で大切にしていることは何ですか?
【宮下社長】 加盟店希望のオーナーさんから最初に良く聞かれるのが、「 いくら儲かりますか? 」 と言うことです。それに対して、私は 「 儲かるなんて言えないですよ 」 と答えています。いや本当に儲からないと言う訳ではないですよ(笑)。
まず、このビジネスをやる上で何が一番大切な事なのかをわかって頂きたいのです。それは、儲けることよりも、お客様に喜んでいただくことなのです。それが、当社の理念ですし、それにご賛同して頂けないと一緒にやっていくことが難しいと考えています。それに儲けるのは自分たちの努力ですからね(笑)。
でも、当社の理念にご賛同いただける方には、「 損をしない方法は伝授します 」 と言っています。良い見本がここにいるじゃないですか(笑)。自己破産目前で、天国も目前だった経験がある(笑)。
それと、損をさせないことが我々の責任ですから、そのために地図情報とかカメラ連動とか ITテクノロジーを駆使してシステムを開発しているのです。
【宮下社長】 そうですね。うちは加盟店さんのサポーターなんだ、損をさせない仕組みを作って、それを使って加盟店さんをサポートするのだという考えですね。ですから、通常の一般的な外食チェーンとは全く違うと思っています。
- そういう考えになったきっかけはあるのですか?
【宮下社長】 前にお話したイチゴ狩りの時ですね。その時にホスピタリティ精神が芽生えた。自分が儲けると言うよりも、まずはお客様に食べて頂いて、「 美味しかったよ 」 「 また食べるよ 」 と満足して頂きたいと思えるような。そこから今度は、それを指導して、コンピューターテクノロジーでサポートして行きたいと考えるようになったのです。要するにフランチャイズ方式のチェーン展開ですね。だからフランチャイズの勉強を一生懸命しましたよ(笑)。アメリカのゴールドラッシュが崩壊して、失業者が増えた時にフランチャイズシステムが、アメリカの経営哲学として生まれたらしいです。勉強しているでしょ(笑)。
そう、ホスピタリティ精神。これだけでやっていますよ。ホスピタリティ精神が、宮下という事業家として今も生き残らせてくれているんじゃないかな。それがわかったのがイチゴ狩りの時ですよ。
- その他、ビジネスをやっていく上で特に大切にしていることは何ですか?
【宮下社長】 人の真似をすることだけは嫌ですね。常にパイオニアであり続けたいと思っています。 例えば、うちにフォーシーズンズという4種類の違う味を1枚のピザで楽しめる商品があります。いまや各社とも同じような商品を扱っているのですが、日本の宅配ピザで最初にやったのはうちなんですよ。イタリアにクアトロフォルマッジオという4種類のチーズを使ったピザはありますけれど、4種類の違う味を実現したのはうちが初めてなんです。
ただ宅配ピザ業態だけは違いますけれどもね(笑)。パイオニアは、ドミノピザのトーマス・モノハンというアメリカ人です。彼が、学生時代にローラースケートでピザを届けたのが宅配ピザの初めと言われています。彼の友人の比嘉さんが日本に持って来たのが日本での宅配ピザの初めです。だから、私は比嘉さんを尊敬するのです。「 比嘉さんありがとうっ 」 ってね(笑)。彼も凄いパイオニア精神をもたれていますよね。凄いですよ、本当に。
次回は、今大きな社会問題となっている食の安全・安心に対するストロベリーコーンズの取り組みや考え方についてお届けしたいと思う。
株式会社いちごホールディングス
昭和58年(1983年)日本シンク株式会社として設立
昭和61年(1986年)株式会社ストロベリーコーンズに商号変更
平成15年(2003年)株式会社いちごホールディングスに商号変更
本社:宮城県仙台市青葉区本町2丁目2番3号
事業内容:グループ会社の調達・物流業務及び持株会社としてグループ経営戦略の策定・管理
株式会社ストロベリーコーンズ
http://www.strawberrycones.com/
設立:平成15年(2003年)
本社:東京都港区浜松町2丁目7番16号 第3小森谷ビル6階
事業内容:フランチャイズチェーン本部事業 /ピザ等宅配事業/レストラン事業
同社代表取締役社長 宮下雅光氏
1950年8月19日生まれ
北海道出身、 日本電子工学院 (現・日本工学院専門学校)卒業
社団法人日本フードサービス協会 副会長 兼 情報システム委員会 委員長
社団法人日本フランチャイズチェーン協会 常任理事
全日本デリバリー業安全運転協議会 副理事長