「がんこフードサービス編」「美味しくて安い、そして楽しい」-日本の文化を守り続ける 関西外食産業界の雄「がんこ」

外食企業物語 がんこフードサービス編 「美味しくて安い、そして楽しい」 日本の文化を守り続ける 関西外食産業界の雄「がんこ」

関西圏を中心に94店舗の和食店を展開する がんこフードサービス は、同志社大学出身の創業者小嶋淳司代表取締役会長が大阪の十三に開業した4坪半の寿司店が始まりである。「 美味しくて安い、そして楽しい 」、このコンセプトには、本当に美味しい料理をリーズナブルに提供するだけではなく、食事の “ 場 ” や “ ひと時 ” を大事にしていきたいという気持ちが込められている。食文化を通じて、和の心や和の伝統を大切に守りながら事業展開をはかる 「 がんこ 」 の現状について、代表取締役社長の志賀茂氏にお話をうかがった。

第6回 商品開発に力をいれ、店とのシナジーで通販事業の拡大を

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外食企業物語 がんこフードサービス編 「美味しくて安い、そして楽しい」 日本の文化を守り続ける 関西外食産業界の雄「がんこ」- 店舗の運営で特に力を入れられていることをお教え下さい。

当社は、7月が期の終わりで、ちょうど新しい期に向けての取り組みをやっているところです。その中で店舗運営に関しては、「 味わい 」 を最重要視していこうと考えております。味づくりに関しては、商品部を中心に調理部門と一体となって、お客様にご満足いただける商品を提供していくことになります。「 味わい 」 の中には接遇も含まれます。料理は食べれば美味しいか不味いかはわかりますが、「 味わい 」 と言うのは舌で味わうだけではなく、耳で味わう、目で味わう、匂いで味わう、触って味わうと五感で味わっていただくことです。そのために、どのような背景でつくられている野菜なのか、どのように調理されている商品なのかなどをきちんと説明したり、先の屋敷などまさにそうなのですが、「 おっ、これが昔の生活スタイルなのか 」 と雰囲気をつくり出したりすることが肝要であると考えております。お迎えからお見送りまでのお客様との接点にどれだけ集中できるか。料理の説明、お勧めの説明、確認など顧客接点のところに力を入れて行きたいと考えています。これが付加価値となって他社さんとの差別化になると思います。

外食企業物語 がんこフードサービス編 「美味しくて安い、そして楽しい」 日本の文化を守り続ける 関西外食産業界の雄「がんこ」ただし、こればっかりに力を入れますと人件費だけがかかることになります。そうなると料亭価格をいただかないといけなくなります(笑)。私どもが目指す、普通の方の手が届く価格にするためにはどうしたらいいのかということも考えていかねばなりません。そこで、合理化を推し進めていきます。例えば料理の提供スピードアップをはかるなどです。スピードアップによって浮いた時間を料理の説明などのサービスにまわせば人件費は変りませんから。そのために運びやすいワゴンなどの道具をそろえたり、調理場とホール、ホール間、そして調理場間などできちんと決めごとをつくったりしていきます。熱い物は熱々で、冷たい物は冷たいままお客様のところに持っていくことで、スピードだけではなく、お客様の満足度も向上します。これは私どもが展開する大型の店舗では本当に難しいことなのですが、何とか実現させたいと考えております。

これらを補助するものがITです。例えばオーダーエントリーシステム(OES)。これはホールの動線短縮だけではなく、調理場の作業管理にも活用できます。オーダから何分も経っているのにまだできていなかったら、いわば ” イエローカード ” ” レッドカード ” で注意を促すことができます。また、従業員のスキルアップということでは、お客様から一番評価をいただいているメンバーの行動特性を、ビデオ撮影などを駆使して普遍化しています。例えば、同じ時間でAさんは6皿ご注文いただいているけれどBさんは3皿だけだ、なるほどAさんはこの様な行動をしている、ではBさんやCさんにもできるようにするために接客訓練に使おう、などとスキルアップのためにもITを活用しています。

岸和田五風荘- 最後に今後の取り組み、目標についてお教え下さい。

今後の目標となると、年間の出店数を期待されていると思います(笑)。残念ながら当社は年に30店、50店と出店できる標準化された業態ではございません。極めて人の要素が強く、お客様に合わせていただくのではなく、私どもがお客様の要求をくみ上げていくという面からすると極めて適応型の業態です。そうなりますと基本的に人材育成や育ち具合によって出店することになります。この様なことから 「 今年は何店舗出します 」 と申したことは無いのです。でもそれでは回答になりませんから、強いて言えば年に3店舗から5店舗が私どものメルクマールになります。

がんこ通信販売今後の取り組みという面では、「 豆乳ばーむくーへん 」 が今年のモンドセレクションの金賞をいただきました。モンドセレクションというのは味だけではなく、原材料、衛生面、成分表示の妥当性などと客観的なトータルの完成度で受賞が決まります。過去には懐石料理に使っている 「 豆腐の味噌漬け 」 も銀賞をいただきました。この様に当社の商品は客観的にも高品質であることが認められています。この開発の背景にはお店で出させていただいている豆腐の派生商品だということです。この他にも 「 豆乳最中 」 「 とうふショコラ 」 「 黒豆煎餅 」 などつくっています。こういった商品はお店での物販だけではなく、通信販売でも取り扱いができます。この他にも 「 豆乳うどん 」 「 とんかつ 」 「 紀州の梅干 」 「 泉州の水茄子 」 などこだわりの商品もございますので、通販事業と物販事業にも力を入れて行きたいと考えております。



がんこフードサービス株式会社

がんこフードサービス株式会社

http://www.gankofood.co.jp/

大阪市淀川区

代表取締役社長 志賀茂 氏

1962年 小嶋淳司氏(現会長)、同志社大学経済学部卒後寿司店で修行
1963年 小嶋氏、大阪十三にて4坪半の寿司店個人創業
1969年 小嶋商事株式会社設立
1980年 がんこフードサービス株式会社に改称

志賀茂氏
志賀茂氏

志賀茂 氏
1946年 現京都府福知山市出身
1972年 同志社大学経済学部卒業 小嶋商事株式会社入社
1983年 取締役 営業部長 その後、常務取締役、専務取締役、副社長を歴任
2005年 代表取締役社長就任 現在に至る
関西経済同友会・幹事などの公職に就く

文: 齋藤栄紀
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