「がんこフードサービス編」「美味しくて安い、そして楽しい」-日本の文化を守り続ける 関西外食産業界の雄「がんこ」

外食企業物語 がんこフードサービス編 「美味しくて安い、そして楽しい」 日本の文化を守り続ける 関西外食産業界の雄「がんこ」

関西圏を中心に94店舗の和食店を展開する がんこフードサービス は、同志社大学出身の創業者小嶋淳司代表取締役会長が大阪の十三に開業した4坪半の寿司店が始まりである。「 美味しくて安い、そして楽しい 」、このコンセプトには、本当に美味しい料理をリーズナブルに提供するだけではなく、食事の “ 場 ” や “ ひと時 ” を大事にしていきたいという気持ちが込められている。食文化を通じて、和の心や和の伝統を大切に守りながら事業展開をはかる 「 がんこ 」 の現状について、代表取締役社長の志賀茂氏にお話をうかがった。

第4回 がんここだわり倶楽部

第4回 がんここだわり倶楽部

- 寿司、炉端焼き、そして日本料理の次の業態開発についてお教え下さい。

外食企業物語 がんこフードサービス編 「美味しくて安い、そして楽しい」 日本の文化を守り続ける 関西外食産業界の雄「がんこ」とんかつ業態 になります。とんかつも和食ですから(笑)。とんかつの良いところは、魚と違って標準化をはかりやすいところです。魚は流線型ですが、豚肉はきっちりとカットされた物を入れれば、店では同じ形にしやすいですよね。そして、素材にこだわれば差別化がしやすいですし、他店さんとの違いも出しやすい。更に調理技術としては “ 揚げる ” ということに特化すれば良い。それにとんかつはご馳走とみなされます。こういったことから当社の事業にぴったり来ると判断しました。

とんかつ業態を展開するにあたっても 「 がんこ 」 のこだわりを持たせました。豚肉、キャベツ、ソースやドレッシング、パン粉など全てがんこオリジナルなのです。

がんここだわり倶楽部 がんこ豚紹介ページ豚肉はオーストラリアの大自然の中でつくっていますが、農場からパッカーまで全て当社と契約を結ばせていただいたところでつくられています。農場ではポリフェノールやハーブを多く配合した餌を使っています。そして通常より長めの飼育日数をとっています。これによって甘味のある脂とジューシーで柔らかな肉質になります。パッカーでは機械ではなく人力によるカットをしています。通常肉をカットする際には機械を使って切るのですが、当社用にはブッチャー(食肉解体処理作業員)によってカットされた肉を入れてもらっています。これによって脂の厚さがミリ単位で均一になります。

キャベツは、阿蘇山にある契約農家の物を使っています。阿蘇山の良いところは高低差を利用できることです。夏は山頂に近い高原地帯で採れ、冬は逆に麓に近い場所で採れます。こだわりの食材に自家製のソースやドレッシングを使った 「 美味しくて安い 」 とんかつをお出ししております。

がんこ紀州便紹介ページがんこ農園野菜紹介ページ- 食材のお話が出ましたので、御社のこだわりについてもう少しお聞かせ下さい。

まさに食材に関しては 「 がんここだわり倶楽部 」 ということで非常にこだわっています(笑)。

まず、野菜ですが、大阪の泉州、兵庫の三田(さんだ)や淡路島など7ヶ所で 「 がんこ農園 」 として契約農家でつくられています。当社のメイン料理の一つの豆腐の材料となる黒大豆はコウノトリで有名な豊岡のものを使っています。コウノトリの里でつくられるということは、化学肥料を使っていないということです。でなければ、コウノトリとの共存ができませんから。このように安全で美味しい野菜を使っています。

魚は、紀州和歌山の漁港から入れています。がんこ名物の鯖寿司の鯖もそうですし、鰹などもそうです。これらは市場を通さずに直接買い付けています。

外食企業物語 がんこフードサービス編 「美味しくて安い、そして楽しい」 日本の文化を守り続ける 関西外食産業界の雄「がんこ」美味しいものというのは、育てられ方もありますが、採れたて、獲れたて、つまり口に入るまでの時間経過が短いことも重要なファクターなのです。「 農家の方が食べている野菜の味、漁師さんが食べている魚の味 」 をお客様にお届けしたい。その実現のために、当社では1日2回の物流体制を構築しました。朝採れたものは朝便でランチタイムに使う、昼獲れたものは昼便でディナータイムに使う。これによって安全で美味しい食材を使った料理を 「 美味しくて安く 」 ご提供できることになります。もちろんこれは当社だけの力ではなくて、当社の考えに共鳴、共感していただける産地の方、農漁業の方、そして物流の方ときちっと手を組むことによって可能になっているのです。ですから、そういった方々は単に仕入先ではなく、当社にとっては重要なパートナーであるわけです。



がんこフードサービス株式会社

がんこフードサービス株式会社

http://www.gankofood.co.jp/

大阪市淀川区

代表取締役社長 志賀茂 氏

1962年 小嶋淳司氏(現会長)、同志社大学経済学部卒後寿司店で修行
1963年 小嶋氏、大阪十三にて4坪半の寿司店個人創業
1969年 小嶋商事株式会社設立
1980年 がんこフードサービス株式会社に改称

志賀茂氏
志賀茂氏

志賀茂 氏
1946年 現京都府福知山市出身
1972年 同志社大学経済学部卒業 小嶋商事株式会社入社
1983年 取締役 営業部長 その後、常務取締役、専務取締役、副社長を歴任
2005年 代表取締役社長就任 現在に至る
関西経済同友会・幹事などの公職に就く

文: 齋藤栄紀
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