「 大阪王将 」 を中心に、「 よってこや 」 「 太陽のトマト麺 」 などの業態で多店舗展開をはかる イートアンド株式会社 。現在では、外食事業の他にも、市販冷凍餃子で全国2位のシェアの食料品販売事業も展開、さらにはデパ地下など中食へも展開するなど、総合フードサービス企業として顧客のニーズに応えるべくボーダレスな展開を行っている。コーポレートスローガンに 『 おなかいっぱいの幸せを 』 を掲げ、生活食文化の向上に貢献するために、様々な 「 食の価値 」 の提供を追い求める同社の取り組みについて考察する。
- 外食事業の各業態のコンセプトや特徴などをお教え下さい。
「 大阪王将 」 は、当社の原点でありメインの業態です。昨年末に300店舗を達成し、順調な伸びを維持しています。看板商品の元祖餃子を中心とした 「 大衆中華 」 という独自のポジションを確立したことと、「 大阪王将 」 というブランドをお馴染みの存在として定着できたことに加えて、職人技による質感の高い料理とサービスの提供が、景気に左右されない理由だと考えています。
実は、店舗デザインやグランドメニューは年々進化していて、時代のニーズやライフスタイルの変化に合わせてその形を変えています。日常的な存在でありながら陳腐化しない 「 進化する老舗 」 といえるのが大阪王将なのです。
かつて京都に、濃厚な鶏がらとんこつスープの人気ラーメン店がありました。とても綺麗とは言いにくい屋台ですが、真に旨いラーメンを出していました。ただし当時の女性にとっては、とても入りにくい店構えです。 そこで、女性でも気軽に楽しめる明るい空間、濃厚な鶏がらとんこつスープのラーメンをコンセプトに開発された業態が 「 よってこや 」 です。一線級のデザイナーによるおしゃれなデザイン、そこで屋台の美味しいラーメンを食べていただくという価値の提供を目指しました。1店舗1店舗が違うデザインで、担当するデザイナーも様々。さながら一線級のデザイナーによる展覧会のようです。「 旨いラーメン 」 を軸に西洋東洋関係なくいろいろな価値が融合した業態になっています。現在では、海外を含めて33店舗※ 展開しています。
※2012年3月末日時点。「つけ麺工房浅草製麺所」 「俺たち越後や!」「ホルモン拉麺 炎のモツ魂」を含む。海外は中国3店舗、米国ハワイ1店舗。
まず、東京の錦糸町に 「 よりみち屋 」 という鶏白湯ラーメンのお店を出しました。ここで、夏場の暑い時期に、夏野菜を使った季節限定メニューを出そうということでつくり上げたのが “ トマト麺 ” です。常連さんのアドバイスをいただきながらブラッシュアップさせていったところ、女性のお客様を中心に大ヒットしました。みるみるうちに、鶏白湯ラーメンよりもトマト麺の方がメインになり、そこでトマト麺の業態 「 太陽のトマト麺 」 に転換したのが始まりです。
太陽のトマト麺は、トマトが3個分入っており、ラーメンでありながら健康的です。柔らかな食感で、日常的に飽きずに食べていただけるのが強みです。また、女性の方でも気軽にご利用いただけるように、木質で明るいデザインにしています。商品開発においては、美容や健康というキーワードにも注力し、例えばラーメンには、低脂肪の鶏がらスープに豆乳入りの極細麺を使用したり、ご飯には玄米を使用したりしています。現在は、関東を中心に17店舗展開しています。
少し珍しい 「 ヌーベルシノワ 」 のお店です。彩り豊かなフレンチと中華をフュージョン(融合)させたコース料理を、ちょっと贅沢な雰囲気の中で味わうスタイルです。例えば、『 カサゴの黒にんにく、カロチーノオイルを使用した “ 健康チリソース ” 』 などの創作メニューから、『 北京ダック 』 のような伝統的な本格中華まで、リーズナブルな値段で、心ゆくまでお楽しみいただけます。スイーツの食べ放題も楽しめることもあり、1997年のオープン以来、長年ご好評を得ています。この業態はまさに、イートアンドが目指す 「 新しい食シーンの創造 」 を具体的にカタチにしたものの一つです。今年はシノワーズ厨花ブランドでの惣菜業態にも挑戦し、この世界観を中食にも水平展開する予定です。
イートアンド株式会社
代表者:代表取締役 文野 直樹氏
本社所在地:大阪府大阪市中央区南久宝寺町2丁目1番5号
1969年9月 創業
1977年8月 大阪王将食品株式会社設立
1996年8月 株式会社大阪王将に社名変更
2002年10月 イートアンド株式会社へ社名変更
2011年12月 大阪王将300店舗達成
取材協力:マーケティング部 ゼネラルマネジャー松本吉浩氏