東京タワーの完成、日清食品が世界初のインスタントラーメンを発売、そして野球界では巨人軍の長島茂雄が華々しくデビューした年である昭和33年(1958年)、「飲み、食べ、会話を楽しみ、憩う場所」の提供を通じて、より豊かな生活の実現に貢献したいという願いのもとに、大手酒造会社であるサントリー株式会社の関係会社として株式会社新宿東京会館(現株式会社ダイナック)は誕生した。
以来、日本で初めての「飲」と「食」を融合した「パブレストラン」業態の開発など、その優れた業態開発力を活かし、数々の業態を世に生み出してきた。
そして、来年、平成20年(2008年)3月11日には、人間に例えれば人生の節目の年となる、創業50周年を迎えることになる。
今回は、多業態外食企業の雄として確固たる地位を築いたダイナックに焦点をあわせて行きたいと思う。
日本経済は、企業収益の改善による設備投資の増加や雇用の改善により、景気は企業主導で緩やかながら拡大の基調にある。しかし個人消費は、賃金の伸び悩み傾向より回復に至っていない状況である。
外食業界も全体的に回復基調が見えるものの、業態間でのばらつきが大きく、特にパブレストラン・居酒屋業態は、既存店売上高の前年割れが続いているといった厳しい状況が続いている。
平成19年(2007年)9月度決算において、売上高、経常利益とも前年度比でプラスになったものの、ダイナックにとっても厳しい状況であると言わざるを得ない。その様な中で、今まで通り様々な新しい業態を開発して店舗展開を図っていくのは難しいことであろう。
新年度を迎えたダイナックであるが、数値目標としては、売上高・415億円(前年比103%)、経常利益・14億円(同104%)、20店舗の新規出店※ を目指す。そして、中期経営計画に掲げた 「 ブランド力の強化 」 「 収益力の強化 」 について、今後も積極的に取り組んでいく。
※響(3店舗)・鳥どり(4店舗)・パパミラノ(4店舗)・ローズ&クラウン(4店舗)・八かく庵(1店舗)・ゴルフレストラン(4店舗)
ブランド力の強化に関しては、一昨年11月に立ち上げた 『 プロジェクト50 』 にのっとり、「 響 」 「 燦 」、「 鳥どり 」、「 パパミラノ 」、「 ローズ&クラウン 」 の4業態の中心の展開を継続的に推し進め、事業の柱として育成していく。
(「響」「燦」の業態では、昨年9月期に売上50億円を達成)
また、上記戦略出店4業態の持つ強みをベースに、競争力のある商品開発、人・資金の効率的投資に向けた、オペレーション・内装設備の見直し等を図りブランド強化に取り組んでいく。
収益力の強化に関しては、前述とダブるところもあるが、購買面では、 仕入先・食材集約化を一層進めるための 「 食材コード化 」 や季節的価格の高騰を抑えるべく期間契約により 「 青果類の仕入価格標準化 」 及び品質の向上をも狙った 「 産地直送化 」 に取り組み、コストの引き下げを図っていく。
さらに、第4回:ダイナックの戦略 No.3~多業態企業における商品・サービス戦略~ でも述べたが、一昨年10月1日に商品技術本部を本部に昇格、各営業本部にあった調理技術者を組織下に置き、商品技術力の強化、原価・人件費と原材料在庫管理の徹底に取り組み着実な成果を挙げている。更に、昨年10月1日に組織改定を行い、営業革新部を新設するとともに人事部を人材開発部に改組した。その狙いは、営業革新部においては、店舗における営業・人事・情報システムの全ての側面から抽出した課題の解決推進とともに、マーケティングと連携し覆面調査ミステリー・ショッパーズをレストラン・バーの全店に展開することにより、顧客目線でのサービス改善活動を強化することである。また、人材開発部においては、採用、研修、配置をより効果的に行うことにより強い人集団つくりを進めていくことである。
若杉新社長は、ダイナックの目指す方向として、『 我々は、お客様から 「 ありがとう 」 「 また来るよ 」 「 美味しかったよ 」 と言っていただけることに、無常のやりがいを感じる集合体であるべし。 』 とし、「 我社は、常にお客様に感動満足を提供する外食企業を目指します。 」 と示した。
今年の3月11日、ダイナックは創業50周年を迎える。50年という長きに渡って支持いただいた顧客に対し、恩返しの意味も含め、昨年12月1日から今年12月末までの1年間に渡り 謝恩記念キャンペーンを実施する。もちろんこれには 「 収益拡大 」 による 「 継続的成長 」 の実現に向けた取り組みの一環でもある。
第一弾は、すでに終了しているが、今年の4月からは、第2弾として、ご来店いただいたお客様に小冊子を(カタログ・クーポン付)を配布する予定であると言う。更にその後も今は 「 まだ公表できる段階ではないが、様々なことを計画している。 」 と言う。
4月1日リニュアル・オープンを目指して、「 Tiki Tiki 横浜店 」 の3ヶ月間にも渡る長期リニュアル工事が始まった。話を伺う限り、日本には無い最先端ハワイアンダイニングが出来上がるのではないかと期待が膨らむ。ホテルのオープンなフロントを抜けると目の前にはプライベートビーチの砂浜が広がり、その先には青々とした大海原がある。そんなハワイの雰囲気を醸し出す店舗が出来上がるのではないだろうかと期待せずにはいられない。
『 「 食の楽しさをダイナミックにクリエイトする 」 それが私たちの仕事です。 』 という経営理念に明文化されているように、「 飲み 」 と 「 食べ 」 の両者を楽しめる場所として、楽しい雰囲気に浸ることができる場所として、既存店舗はいうまでもなく、新しい業態、新しい店舗の創造を今後もダイナックには期待していきたい。
株式会社ダイナック
新しい食文化の創造
私たちダイナックは、多業態企業として常に飲食トレンドをリードし、「食の楽しさをダイナミックにクリエイトする」をスローガンとして、新しい食文化の創造に大きく貢献していきます。
関東・関西を中心に約280店舗の多彩な食空間を展開
年商 40,323百万(2007年9月期)
東証二部上場
【事業内容】
■バー・レストラン事業:仏料理・伊料理・和洋各種レストラン、バー、居酒屋まで幅広く運営。
■コントラクト事業:サービスエリア等における業務受託運営。
■ゴルフクラブ&リゾートレストラン事業:全国の有名コース、リゾート施設におけるレストラン業務受託運営。
■パーティー事業:各種イベント、パーティーの企画、運営。