東京タワーの完成、日清食品が世界初のインスタントラーメンを発売、そして野球界では巨人軍の長島茂雄が華々しくデビューした年である昭和33年(1958年)、「飲み、食べ、会話を楽しみ、憩う場所」の提供を通じて、より豊かな生活の実現に貢献したいという願いのもとに、大手酒造会社であるサントリー株式会社の関係会社として株式会社新宿東京会館(現株式会社ダイナック)は誕生した。
以来、日本で初めての「飲」と「食」を融合した「パブレストラン」業態の開発など、その優れた業態開発力を活かし、数々の業態を世に生み出してきた。
そして、来年、平成20年(2008年)3月11日には、人間に例えれば人生の節目の年となる、創業50周年を迎えることになる。
今回は、多業態外食企業の雄として確固たる地位を築いたダイナックに焦点をあわせて行きたいと思う。
昨年(2007年)の12月21日に高原洋氏の退任に伴い、若杉和正氏が代表取締役社長に就任した。
若杉氏は、昭和52年(1977年)3月に大阪大学・法学部を卒業後、サントリー株式会社に入社、営業推進本部長、東海・北陸営業本部長、外食事業部長などを歴任後、平成18年(2006年)1月21日にサントリー㈱の店頭マーケティング子会社である サンリーブ株式会社 の代表取締役社長に就任。平成19年(2007年)9月よりダイナックの顧問に就任していた。
若杉氏は、代表取締役就任に際し、『 ダイナック社は、ここ数年、数多くの不採算店舗の閉店を実施してきた。又、一昨年前、東証二部に上場をはたし、今年3月で創業50周年を迎える。成長の基盤はできあがりつつあり、いろいろな意味で節目の年でもある。今年も含め、中期的には企業として飛躍的に成長していく計画としている。その中で特に強化すべきは、「 人材 」 の育成。いうまでもなく我々の事業は 「 人間業 」 。全社でお客様の感動・満足の実現に向き合いながら、外食事業さらには弊社で働くことを喜びとし、誇りに思ってくれる 「 人材 」 を何人育てられるかが重要な課題と考える。 』 と同社の経営課題について述べている。
いうまでもなく、飲食業にとっての最大の武器は、商品力とサービス力である。 若杉新社長が指摘するように、 多業態を展開する外食企業にとっては、一つ一つの業態のオペレーションが異なることから、単一業態をチェーン展開する外食企業に比べて人材育成が最重要課題といえるであろう。その前に、少子高齢化社会の進む日本においては、人材の確保も大きな問題点といえる。今回は、ダイナックの人的、商品的戦略についてみていきたい。
今後、ダイナックでは出店を加速させていくという。その中で適切な人材確保のために、採用エリアやセミナーの拡大、高齢者雇用促進・パートの社員登用等の人材確保策をとる。また、確保するだけではなく即戦力化に向け、人材開発部を中心とした店長・調理長候補者に対する研修店舗を定め、OJTに取り組んでいく。
人材育成の面では、サービス力、ひいては店舗オペレーション力を強固にすることが重要であるとの考えから人材育成体制を構築している。全店長・店長代理、調理長・調理長代理を対象にした階層別の店舗運営・調理技術講習等数々の研修カリキュラムによりダイナックイズムを全社員に浸透させ、お客様をおもてなしする心、楽しい食を提供する姿勢の徹底を行うことにより、店舗オペレーション力の強化につなげている。
一方、商品力の強化という点では、平成18年(2006年)10月1日に商品技術開発部を本部に昇格するとともに、各営業本部にあった調理技術者をその組織化に置き、商品技術力の強化、原価・人件費と原材料在庫管理の徹底に取り組んでいる。
購買面では、仕入先・食材集約化をより一層進めるための 「 食材コード化 」、季節的価格の高騰を抑えるために期間契約により 「 青果類の仕入れ価格標準化 」 及び品質の向上も狙った 「 産地直送化 」 に取り組み購入価格の引き下げを図っている。
また、近頃話題に事欠かない食の安全に対しては、本社、支社に衛生検査室を設け、仕入れ食材の検査・店舗衛生管理のチェック・従業員への教育・指導を行い品質管理、衛生管理の徹底をおこなっている。
例えば、牛肉に関しては、店舗納入時にトレーサビリティの確認を実施し、更に購買本部で月次で再確認を行うダブルチェック体制をとっている。鶏肉に関しては、四半期を基準に産地を確認し、青果は毎月産地を確認するなどの徹底ぶりである。
店舗においては、現在店舗における社員の半数以上が調理スタッフとして従事している。この調理スタッフは、旬の素材と熟練の調理技術により手作り感あふれるおいしい料理でおもてなしするよう日々努力を行っている。
また、ただ与えられたメニューを作るだけではなく、新店舗の企画に携わったり、一人ひとりが常に変化する顧客の嗜好、ニーズを的確に把握した上で、食のトレンドリーダーとしてメニュー開発を行なったりと、よりクリエイティブな仕事に従事する事になる。株式会社ダイナック
新しい食文化の創造
私たちダイナックは、多業態企業として常に飲食トレンドをリードし、「食の楽しさをダイナミックにクリエイトする」をスローガンとして、新しい食文化の創造に大きく貢献していきます。
関東・関西を中心に約280店舗の多彩な食空間を展開
年商 40,323百万(2007年9月期)
東証二部上場
【事業内容】
■バー・レストラン事業:仏料理・伊料理・和洋各種レストラン、バー、居酒屋まで幅広く運営。
■コントラクト事業:サービスエリア等における業務受託運営。
■ゴルフクラブ&リゾートレストラン事業:全国の有名コース、リゾート施設におけるレストラン業務受託運営。
■パーティー事業:各種イベント、パーティーの企画、運営。