「ダイナック編」食の楽しさをダイナミックにクリエイトする ~創業50周年を迎えるダイナック、その多業態戦略の歴史を探る~

外食企業物語 ダイナック編 食の楽しさをダイナミックにクリエイトする 創業50周年を迎えるダイナック、その多業態戦略の歴史を探る

東京タワーの完成、日清食品が世界初のインスタントラーメンを発売、そして野球界では巨人軍の長島茂雄が華々しくデビューした年である昭和33年(1958年)、「飲み、食べ、会話を楽しみ、憩う場所」の提供を通じて、より豊かな生活の実現に貢献したいという願いのもとに、大手酒造会社であるサントリー株式会社の関係会社として株式会社新宿東京会館(現株式会社ダイナック)は誕生した。

以来、日本で初めての「飲」と「食」を融合した「パブレストラン」業態の開発など、その優れた業態開発力を活かし、数々の業態を世に生み出してきた。
そして、来年、平成20年(2008年)3月11日には、人間に例えれば人生の節目の年となる、創業50周年を迎えることになる。

今回は、多業態外食企業の雄として確固たる地位を築いたダイナックに焦点をあわせて行きたいと思う。

第3回 ダイナックの戦略No.2 ~多業態企業における業態開発戦略~

第3回:ダイナックの戦略 No.2 ~多業態企業における業態開発戦略~

閑話休題 、前回は、時節柄ダイナックのクリスマスイベントについて述べた。今回は話が前後してしまうが、ダイナックが開発してきた特長的な業態・店舗について述べて行きたいと思う。

DINING-BAR 膳丸 大手町店昭和 60年(1986年)7月に東京の銀座に個性的な店舗が出店した。” 料理にもドリンクメニューにも 「 和洋のバランスのよい融合 」 ” をコンセプトにした 『 DINING-BAR 膳丸 』 の1号店である。自由な発想でアレンジされたヘルシーな創作料理と品質管理を徹底した生ビールやワイン、フレッシュフルーツ使用のカクテルなどきめ細やかな配慮で顧客の本格志向に応える ” 食を愉しみ、酒を嗜む大人のダイニングバー ” として店舗展開を進めてきた。

膳丸のサラダとロゼワイン現在、『 膳丸 』 は、” 「 野菜とロゼのマリアージュ 」 新感覚ダイニングバー ” とコンセプトのもと、「 旬の野菜をロゼワインと一緒にお食べになりませんか 」 と提案している。もちろん、「 海老とポテトのスパイシーマヨネーズ 」 「 まぐろとアボカドのチーズカナッペ 」 などの創作料理は健在であるし、ワインだけではなくオリジナルカクテル等酒類も豊富に取り揃えている。

全てのロゼワイン、赤ワイン、白ワインを同一価格 (ボトル:2,480円/デキャンタ:1,380円/グラス:480円)で提供する 「 ワンプライスワイン 」 は顧客本位の特長的なサービスと言えるのではないだろうか。『 膳丸 』 は、東京を中心に11店舗展開している。

平成 10年(1998年)は、その後ダイナックのメインとなる業態が立て続けに誕生した年であった。

鳥どり 1号店 新宿三丁目店 まず、同年2月に東京の新宿に美味しい焼き鳥を女性同士でも気兼ねなくお洒落に愉しめる 「 串焼きと鶏料理 鳥どり 」 の1号店を出店した。当時では、女性同志で気軽に入れる焼き鳥屋はまだまだ珍しく、女性を意識した変わり串焼きや、フレッシュフルーツを使用したオリジナルサワー、また掘りこみ席でゆっくり寛げる店内環境等が支持され1号店からヒット業態となった。

鳥どりの代表的なメニュー同店は当初、日本酒だけでなくワインを片口で提供する試みや、クレープ皮で焼き鳥をくるみ、パルメザンチーズで味付けするなどの変わり串打ち焼き商品、女性を意識した器と小ポーション盛り付けのオリジナル鶏料理メニュー等、新しい提案をつぎつぎとメニュー化、焼き鳥屋のイメージをよりカジュアルにより女性的に進化させた。

現在の鳥どりの目玉メニューは、厳選された銘柄鶏に ミネラル豊富な沖縄の塩をふり備長炭で焼き上げた 「 串打ち焼き 」 である。鳥どりは、東京・大阪を中心に27店舗展開している。

響 1号店 新宿店そして、同年7月にメニューや店内の雰囲気など全てにおいてワンクラス上のステイタス性を求めて誕生した 「 ダイナミックキッチン&バー」 の1号店が同じく新宿にオープンした。

日本の美をモダンな感覚でアレンジした洗練の内装。最大の気配りと最小のコミュニケーションによるスタッフのサービス。こだわりの調理人が 「 安全美味 」 を信条に 「 新和食 」 の数々を創造し、美酒とともに味わう楽しみを拡げている。『 響 』 は、樫樽のなかでじっくりと熟成したサントリーウイスキーの最高級ブランドの一つである 「 響 」 を冠し、その味わいにも似た格調の高さを誇り、大切な接待の場にも利用できる、成熟した大人のための飲食空間に仕上がっている。

里山のような庭と 3つの趣の異なった空間を持つ 「 風庭 赤坂店 」 、地上200mから臨海新都心の夜景を楽しめる 「 カレッタ汐留店 」 など個性的な店を都内に11店舗、京都に1店舗展開している。

THE ROSE & CROWN 1号店 新橋店平成11年(1999年)1月には、東京の新橋に “ 「 クラシックなのに新しい 」-伝統の国イギリスからやってきた本格ヴィクトリアンパブ ” と銘打った 『 VICTRIAN PUB THE ROSE & CROWN 』 の1号店がオープンした。

英国のヴィクトリア朝から市民の社交場として親しまれてきたパブの雰囲気を活かした店舗には、英国の伝統や職人の技をそのまま持ち込んだ家具や装飾、食器などをはじめ、スタンディングゾーンとテーブル席といった本場のパブを再現した店舗作りをしている。特製ハウスビール 「 THE ROSE BEER 」 (オリジナル上面発酵ビール)などの豊富な酒類とともに、英国伝統の 「 フィッシュ&チップス 」 、ロースとビーフなどといったフードメニューを充実させることによりダイナックの目指す 「 飲み、食べ、会話を楽しみ、憩う場所 」 の提供とパブの醍醐味である 「 飲んで食べて語り合って陽気にすごす 」 という物を上手く融合させている。『 THE ROSE & CROWN 』 も東京、大阪に11店舗展開している。

創菜ダイニング 卯乃家 E-MA店ダイナックは、その他にも、“ 大切な方とのひととき・・・ その瞬間々々の空間を提供し続けていきたい・・・。全国各地の旬の味、郷土料理の数々、四季折々で魅せる店内装飾へのこだわり、おもてなし・・・ ” とこだわりの空間と料理を提供する 『 ダイナミックキッチン&バー』、こだわるけれど、かたくなじゃない。美味と和みの創菜ダイニング 『 創菜ダイニング 卯乃家 』、味な肴と酒に舌つづみ。掘りこたつ席もある寛ぎの和食居酒屋 『 和食居酒屋 咲くら 』、京都の名水から作る豆腐をはじめ、京湯葉、生麩、などの食の彩り。伝統が生きづく豆腐料理専門店 『 とうふ料理 八かく庵 』、「 イタリア食文化を楽しく おいしく 」 と客様に伝えたい カジュアル&スペシャリティなイタリアンレストラン 『 TRATTORIA Papa Miilano 』 など個性的な業態が並ぶ。

新国立劇場 レストラン マエストロまた、GALA湯沢スキー場内レストラン5店舗、全国のゴルフ場におけるクラブ内レストランの受託運営73店舗、「 東京ドイツ村 」 等のレジャー施設内レストラン、「 新国立劇場 レストラン マエストロ 」 「 ミューザ川崎シンフォニーホール ドリンクコーナー 」 といった文化施設、関西の名門私大、関関同立の一角の 「 関西学院会館 レストラン ポプラ 」 といった教育施設など興味深い出店を行っている。

現在ダイナックは、約70業態、271店舗(平成19年9月30日現在)を有し、多業態展開を行う外食企業のなかでも有数のトップ企業となった。



株式会社ダイナック

株式会社ダイナック

http://www.dynac.co.jp/

新しい食文化の創造
WE PRESENT VARIOUS DYNAC STYLES

私たちダイナックは、多業態企業として常に飲食トレンドをリードし、「食の楽しさをダイナミックにクリエイトする」をスローガンとして、新しい食文化の創造に大きく貢献していきます。

関東・関西を中心に約280店舗の多彩な食空間を展開
年商 40,323百万(2007年9月期)
東証二部上場

【事業内容】
■バー・レストラン事業:仏料理・伊料理・和洋各種レストラン、バー、居酒屋まで幅広く運営。
■コントラクト事業:サービスエリア等における業務受託運営。
■ゴルフクラブ&リゾートレストラン事業:全国の有名コース、リゾート施設におけるレストラン業務受託運営。
■パーティー事業:各種イベント、パーティーの企画、運営。

文:齋藤栄紀
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