夏の特別講習編~挑戦と感謝の心を持って、“魅せる商売”に徹する!

夏の特別講習編 挑戦と感謝の心を持って、“魅せる商売”に徹する!

東京・神楽坂に居酒屋「MASUMASU(ますます)」、炉端焼きの「肴町五合」、しゃぶしゃぶ専門の「しゃぶ屋」と3店舗を構える志小田氏。18歳から外食産業に身を投じ、フレンチ、イタリアン、カフェレストラン等を渡り歩いてきた経験をいかんなく発揮して、3店とも神楽坂の人気店に育て上げています。
飲食店経営は、ただの商売人ではなく、“笑売人”であり、“Show売人”になるべきという志小田氏から、飲食店経営に必要な心構え、お客様との関係づくり、地域とのふれあいの秘訣を教えていただきました。
なお、今回のインタビューは、志小田氏も出店した地元商店街主催の「神楽坂まつり」会場で収録しました。

第4回 商売人から笑売人、そして、Show売人へ

商売人から笑売人、そして、Show売人へ

 

これから独立しようと考えている方は、あまり頭の中だけで物事を考えすぎず、まず行動することが大切だと思います。今できることから少しずつ確実に。あまり最初からハードルを上げすぎず、階段も、膝下ちょい上ぐらいから段を一段一段、積み重ねることが必要です。そして失敗を恐れずチャレンジし続ける事が大切です。

商売人から笑売人、そして、Show売人へ

私は、先輩から、商売人=笑売人であれ!自分の心念を持ちながら、いかに「馬鹿」になりきることができるかが大切だと教えられました。カウンターは俺達の舞台。どうお客様に楽しんでもらうかが大切だと・・・。そして、お帰りになるお客様から「美味しかったよ!!」ではなく「楽しかったよ!!」と言われたら最高です。(お笑い芸人を目指している訳でもないのですが(笑)。 )

それから日本人に限らず人は限定品や特別なものに喜びを感じます。たとえば食材などを切らしてしまって、どうしてもお出しできないときは、「こういう似たようなものだったら作れますから、何でもやらせてください」といえるのが商売人ではないかと思います。そこにチャンスがある。食べたいものを聞かれて、それを出してもらえたらお客様の記憶に残りますよね。特別感という得です。値が安いのにも得を感じますが、私のために何かしてくれたという特別感は絶対に残ります。そして、次に来店したときに、前回出せなかったメニューを覚えておき、「今日はありますよ」と出してあげるだけで、2回目にして常連さんになってもらえます。そんなやりとりをいかに作っていくかが飲食店だと思うのです。

又、これとこれを交ぜてほしいなど、お客様の要望から新しいメニューができることもあります。料理を出す飲食店は、店側が自分たちの主張を表現する場ですが、お客様につくってもらう要素も多くあるのです。楽しく商売する秘訣は、参加型の店にすることだと思っています。みんなが参加できるようなイベントを組んでみたり、料理に関してもお客様の目の前で交ぜたり、最後の仕上げを見せて”魅せて”あげる。そういう遊び心で変化をつけてあげると、働いている側も楽しいのです。さらに店の中だけじゃなく、周りの人々、商店街や街も含めてイベントを組み地域みんなで楽しむことも必要じゃないでしょうか。

ムーディーな「しゃぶ屋」の座席にて
ムーディーな「しゃぶ屋」の座席にて

私は、料理人=職人を目指して、いろいろな勉強をしてきました。「この料理は、こう作らなきゃいけない」と頑ななこともありましたが、商売人に目覚めてからは「お客様が気楽に、そして日常生活で毎日食べてもあきない料理。」「かしこまっているより、リラックスして楽しみながら食べられる料理。」を目指すようになりました。商売人と発音は同じですが、笑売人であったり、Show売人を目指していくことが大事だと思っています。これから独立を考える人も、“魅せる商売”を少しでも気に留めておいてほしいと思います。

それから、自分が店を持つために関係してもらった人はもちろん、その地にも感謝する気持ちを忘れないでほしい。自分たちが商売をやらせてもらっているという感謝の気持ちを持っていないと、すべてがおかしくなっていきます。さらに店に関係するすべての「人、場所」を活性化するような気持ちを持ってほしいですね。すべてに感謝し、すべてに恩返しをする、それがお店を持つために必要な心構えではないでしょうか。

 

商売人から笑売人、そして、Show売人へ講義は「神楽坂まつり」会場で収録させて頂きました。
ご協力ありがとうございました。



志小田 亨、

志小田 亨、

1967年生まれ。高校時代のアルバイト経験から飲食業を志し、フレンチやイタリアンをはじめ居酒屋などさまざまな飲食店で修業を重ねる。2001年に東京・神楽坂で「MASUMASU」をOPEN 、以降も神楽坂で業態を変えた系列店を次々と展開している。

ページのトップへ戻る