自分が興味を持って、深堀できることで勝負をする-「街を元気に!」を実践する 株式会社RETOWN 代表取締役 松本篤氏

自分が興味を持って、深堀できることで勝負をする 「街を元気に!」を実践する 株式会社RETOWN 代表取締役 松本篤氏

子供の時の夢を実現できる人はそう多くはない。「天下の台所」大阪をかかえる関西で生まれ育った一人の男がその夢を実現し、今繁盛店を育て上げた。一つの繁盛店を作ることにより、その街を元気にしたい。お客様に喜んでいただける料理で、その産地の人にも喜んでいただきたい。「炭火やきとりちんどん」をはじめに関西地区で積極的にチェーン展開を行っている株式会社RETOWNの松本篤社長に飲食業起業に対する熱い思いを語っていただいた。

第5回 「街を元気に!」「産地を元気に!」がブランド力

第5回 「街を元気に!」「産地を元気に!」がブランド力
 

事業コンセプト(株式会社RETOWN ホームページより)会社の事業コンセプトに掲げた 「 街を元気に!」 ということに対しては、「 お店 」 と 「 人 」 と 「 不動産 」 の3つを有機的に繋げて、一つの繁盛店を作ることで、微力ながらその街に活気を与えることができてきたと思うのですが、もう少し大きな影響を与えることができないかなと常々考えてきました。

飲食業界もどんどん価格競争が激しくなってきています。そうなると低価格は当たり前なのですが、逆にクオリティをあげた勝負をしていかなくてはならないと考えていました。品質が高く、新鮮で、美味しい食材をいかに低価格で仕入れるかを考えると、やはり流通の部分を見直さなければいけないとの結論に至りました。

自分が興味を持って、深堀できることで勝負をする-「街を元気に!」を実践する 株式会社RETOWN 代表取締役 松本篤氏一方、肉や魚などの生産者の方々は自分たちで物を作っていながらも、それに対する価格決定権がないのです。現状では、複雑な流通経路を通っているうちに高くなってしまいます。それならば我々のような飲食店が直接生産者の方々と取引をすればいいのではないかと考えました。そうすることによって生産者の方が自ら値段を決めることができるだけではなく、今まで捨てていたような端材などを有効活用できるようになります。飲食店側にとっても通常の流通ルートを通して買うよりも何割も安い値段で仕入れることができるといったようにお互いにメリットを享受できるようになります。

紀州勝浦生まぐろほんまや 天満本店具体的には、昨年の4月に南紀勝浦の漁業協同組合と出資して別会社を作りました。そして、一緒に天満にまぐろ居酒屋として、「 紀州勝浦生まぐろほんまや 」 天満本店 を出店しました。紀州勝浦漁港で水揚げされた新鮮で希少な活き〆生マグロを本当に安いお値段で召し上がっていただけるようになりました。お陰さまでお客様にもご支持をいただきまして、天満本店の他、天満橋、西中島と3店舗になりました。

もう一つは、岡山県新見市の哲多和牛牧場と専売契約を結びました。せりに出る前の牛を直接仕入れさせていただくもので、これによって、A4,A5といったご家庭ではなかなか口に入らないような高品質なお肉を3,000円程度で食べていただける焼肉業態を作ることができました。今年の1月に同じく天満に 「 黒毛牛焼肉犇屋 」 天満店 を出店しました。

黒毛牛焼肉犇屋 天満店こちらのお店もお陰さまで、お客様の高いご支持を頂いております。三田のリベンジを果たすことができたと思っています(笑)。この業態も増やして行きたいのですが、まだまだ原価が厳しい状況で、もう少しブラッシュアップが必要ですね。当初から厳しいことは覚悟していたのですが、「 とりあえず店を出してから細かいことは考えよう 」 でお店を出してしまいました(笑)。

ベトナムにお店を出したのも実は同じような考え方なのです。輸入鶏肉は今ではタイが有名ですが、ベトナムも鶏肉の一大産地なのです。焼鳥屋を極めていくためには、養鶏場を確保しなくてはなりません。そこで目をつけたのがベトナムの養鶏場だったのです。ベトナムで養鶏場をやっていくためには日本だけではなくベトナム内にも流通させなくてはなりません。その販路作りの一環としてベトナムの方にお店を出したのです。

このように生産者の方々が喜んでくださることによって、微力ながら産地にも活気を与えることができるのではないかと思っています。「 街を元気に!」 だけではなく 「 産地も元気に!」 というのがこれからの事業コンセプトです。

炭火焼鳥ちんどん 福島店炭火焼鳥ちんどん 長居店さて、飲食店を起業する時に、最初からチェーン展開をしていこうと考えていたことは既に述べました。ベンチャーリンク、「 ぢどり亭 」、「 焼味尽 」 の時代にチェーン店理論を勉強することができました。

一方、個人店にもいいお店がたくさんあります。材料の質、食材管理の質や調理技術などが素晴らしくお客様の満足度が高いお店がたくさんあります。私どもの目指すところは、このようなお客様の満足度が高い個人店の商品やサービスをチェーン店で出して行きたいということです。更にスケールメリットを活かして個人店に比べて原価を低く抑えることによってお客様に対して安い価格でご提供していきたいと考えております。

チェーン展開をするといっても店舗数に対するこだわりはあまりありません。それより、息の永いお店作りができればいいなと思っています。各業態が、1店1店が老舗と呼ばれる状態になっても活気があって、お客様に喜ばれる状態をキープできるお店作りができたらいいなと思っています。



株式会社RETOWN

松本篤

http://www.retown.co.jp/

株式会社RETOWN 代表取締役
1975年兵庫県・神戸市出身

2007年7月に有限会社RETOWN 創業
2007年8月より有限会社焼味尽(やみつき)のコンサルティング及びフランチャイズ代行業務開始
2004年12月に直営1号店及びFCパイロット店として「焼味尽本舗・北浜店」開店
2005年6月に自社ブランド1号店となる「ちんどん・大正店」開店
2005年7月に株式会社に転換
2010年5月時点で直営・FCで33店舗出店。屋号は、「炭火焼鳥ちんどん」「WINEBAR MELA」「鉄板居酒屋天乃屋」「紀州勝浦生まぐろほんまや」「黒毛牛焼肉犇(ひしめき)屋」「HEALTHY HOT POT Mus Mus」(ベトナム)など

文:齋藤栄紀(監修:貝田知明)
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