少子高齢化時代を迎え、国内市場が縮小する中、新たな市場を求めて海外に進出する飲食企業は増加傾向にある。しかし、海外進出にあたっては多くの課題が存在する。今回はその中で「日本式のサービス」を体現するため必要不可欠な現地スタッフの採用・育成に関する人材面にスポットを当て、その課題と対策について、人材採用や育成に実績を持つ株式会社リクルートキャリア の協力のもと考察していく。
当社は、多くのクライアントの採用支援を手掛ける中で、昨今のアジア市場における日本企業、中でもとりわけ、飲食企業の活躍ぶりに着目しています。特に、「日本式のサービス」・「おもてなし」は、現地においてもそのレベルの高さがもはやブランドとして捉えられていると言っても過言ではありません。日本式サービスは高単価の価値をうむ源泉であり、接客サービスが日本でいう「おもてなし」のレベルにあることが既に期待されているとみています。
一方、海外出店に伴う現地スタッフの受け入れは今後益々増加していきますが、「日本式のサービス」を海外で展開するには難しい人的課題が存在していると考えます。
多くの外食企業が出店を目指す上海・北京・深?近郊といった中国沿岸部などは賃金上昇率が非常に高く労働力確保が容易ではありません。類似例では香港・シンガポールなども同様の状況です。その上で、サービスに対する考え方や就労に対して異なる価値観を持った現地スタッフに、高品質なサービスレベルを求めながら日本式のやり方を教えることは、各社にとって至難の業となっています。例えば、できるだけ長く勤めることを前提とする日本人に対して、次つぎに転職して昇給やキャリアアップを目指すことを当然とする諸外国では、そもそも就労観が全く異なります。こうした価値観や就労観の異なりは、現地スタッフとのコミュニケーションギャップをうみ、相まって定着率の低迷に直結する一つの要因となっていると推察しています。
当社では、これらの価値観や就労観の異なりを踏まえながら、「日本式のサービス」をより効果的に実現する為、採用~人材活用面で日系飲食業の皆様を支援していきたいと考えています。
そこで当社が着手したのは、すでに日本国内で約 40 年にわたり提供している「総合適性検査 SPI 3」という採用ツールを応用した新サービスの開発です。 SPI 3とは、求職者本人の面接だけでは捉えられない持ち味(性格適性・能力適性)を、テストという形で捉えるツールで、日本では新卒・中途採用など様々な場面で活用されています。現在、国内で約 11.000 社の企業の利用があり、当社の主力商品となります。
SPI 3で培った技術を応用する形で、海外にて店舗展開する飲食サービス業向けに開発したのが「グローバル GSPI for Hospitality Staff (以下、 GSPI-HS )」です。これは、現地スタッフの日本式サービス体現ポテンシャルを測るために開発された適性テストです。就労観や価値観が異なる現地スタッフに、より効果的に日本式サービスを習得・体現してもらうためには、現地スタッフひとりひとりの持ち味をしっかりと理解することが重要となります。GSPI-HS はその一助となれるよう開発されたツールであり、サービス企業向けに特化した適性検査となります。
株式会社リクルートキャリア
http://www.recruitcareer.co.jp/
代表者 代表取締役社長 水谷智之氏
設立 1977年11月28日
本社所在地 東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー
主な事業内容 社員募集領域における人材採用広告事業/斡旋事業/選考支援事業
取材協力 新卒事業本部 領域企画統括部 インフローソリューション部 部長 櫻井徹氏