1919年、ベルギーのブリュセルで設立されたピュラトス。数多くの高品質なベーカリー、コンフェクショナリー関連製品を市場投入してきた同社は、今では世界100カ国以上に及ぶネットワークを構築している。
この8月に行われた2度の講習会の模様を通じてピュラトスの知られざる魅力を探って行きたい。
5日に引き続いて、翌週の12日(水)には、Viva Italiaと題された講習会が開催された。ちょうどお盆の週の中日にもかかわらず、5日よりも多い20人を超す受講者が参加していた。やはり、まだまだイタリア料理に対する注目度は高いのだろうか。
講習会の前段として、消費者購買動向調査の結果が発表された。それによるとイタリアパンの代名詞でもあるフォカッチャは9%の方がよく買われ、ハード系のパンになると30%の方がよく買われるそうである。この購買層の65%は女性で、デパート/ホテルやベーカリーショップなど比較的単価が高いところで購入するとのことである。そして、フォカッチャで35%、ハード系のパンに至っては実に60%の方が200円/1個以上で購入されるとのことである。これが何を意味するかというと、ヨーロッパ系のパンは利益率が高いといえるのではないだろうか。
1個が200円以上と単価を高めに設定するには、ディスプレイが重要であるとの説明があった。
日本のベーカリーショップは世界でも有数の品数を誇っているが、それゆえ色々なパンが所狭しと並べられている感があるそうである。
それに対し、フォカッチャ、チャバタなどイタリア系のパンなど客単価を高めに設定できるものは、フォカッチャコーナー、チャバタコーナーなどコーナーを分けることによって差別化をはかる必要がある。また、期間限定で店内を実際にイタリアの店のような雰囲気にして、あたかもお客様がイタリアへの旅行気分を味わっていただくのも一つの販促手段ではないであろうか。
参考までに、当日配布されたテキストの中からピュラトスジャパンが提案するディスプレイアイディアのいくつかを紹介させていただく。
その後、イタリアのパンの中で最もポピュラーなフォカッチャとチャバタを中心とした実演がおこなわれたが、進め方は前回のAmerican Magicとほぼ同じであったので、ここでは省略させていただく。またレシピに関しては、直接ピュラトスジャパンに問い合わせていただきたいと思う。
今回の講習会のもう一つのカテゴリーはイタリアの発酵菓子であった。
「 大きなパン 」 という意味を持つパネトーネはもともとミラノで生まれたクリスマスデザートだが、今ではイタリアを代表する発酵菓子として世界的に知られ、クリスマスシーズン以外にも食されるようになった。
「 雌の鳩 」 という意味を持つコロンバは、イタリア北部のパヴィーアで生まれた復活祭の時に食される発酵菓子である。
「 黄金のパン 」 という意味を持つパンドーロは、やはりイタリア北部にある街、ヴェローナで生まれたクリスマスデザートである。
今回イタリアの発酵菓子の紹介があったのは、その製造の簡便さに比べ、デザートの一種としてお客様に提供できるため、2000円~3000円とパン以上に単価が高く設定できる、いわば利益を生める商品となるからである。飾り付けやディスプレイ方法によっては更に利益を生めるのではないだろうか。
ピュラトスジャパンの講習会の模様を3回に渡ってご紹介してきた。同社は、飲食業などに関わる方々が、良い商品を的確な価格で販売して、利益を生めるためにどの様にしたらよいかを講習会を通じて提案し続けている。
講習会は14時から17時までの3時間、その後試食会も兼ねた懇親会が1時間と非常に中身の濃いものであった。参加費も1000円とお手軽であるので、商品の一つとしてパン類を考えられていたり、現在提供している商品を更にブラッシュアップしたいと考えられている飲食店の皆様は、是非一度ピュラトスの講習会に参加してみてはいかがであろう。
ピュラトスジャパン株式会社
会社概要 ベルギーに本社を持つピュラトスが親会社 。
世界のベーカリー、コンフェクショナリー、チョコレートのプロフェッショナルに原材料を提供するリーディングカンパニー。
社歴 1985年8月 ピュラトスジャパン設立
1998年3月 本社所在地を東京・蒲田より北青山に移転 同時にイノベーションセンターを併設
2002年5月 事務所のみを現事務所所在地に移
本社所在地 東京都港区北青山2-11-9 イノベーションセンター内
代表者 代表取締役社長 ジャン・ピエール ベルナルディノ
文: 斎藤栄紀