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「執念」と「覚悟」がなければ、“愛”のある飲食店はつくれない!-ナニワの繁盛指南役が語る、愛される店づくり理論-株式会社リンク代表、店舗プロデューサー 川野秀哉氏

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第4回 繁盛店のベースとなるのは、店を持つ人の「執念」

第4回 繁盛店のベースとなるのは、店を持つ人の「執念」

【 味噌漬骨付きロースのスペアリブ 】割烹で働いていた和の職人やったら、料理を習うことができると思たんで、すぐに本格的に来てもらうことにしました。どうせやるなら1店舗だけじゃなく、自分のモデル店舗として 「 豚公司 」 を多店舗したかったんで改めて話をしました。「 あなたが完全なプロ料理人であることは認めるし、僕も一応プロデューサーとしてプロなんや。4ヶ月間の雇用は保証するけど、それまでに店のメドが立たんかったら辞めよう 」 と言いました。プロを自負する2人が集まって、小さい店一軒、よう流行らさんやったら辞めたほうがええに決まってます。そこから一生懸命に働いたら、思いのほか成果が上がっていました。普通の飲食店だったら3年は掛かるようなコンセプト変更やメニュー変更をして、4ヶ月後には13.5坪でトイレの無いお店が、月300万円強を売りよったんです。メニューに関しては、料理長の技を使った和食にしてくれへんかとお願いしました。スペアリブひとつにしても、1週間エイジングをしたのち、関西の割烹でよく使う味噌を使って味噌漬けにするなど、さまざまな工夫をして豚の和食を作ってくれはったんです。

豚公司 黒呈こういう流れで店を持つようになったんで、自分でやりたくて独立したとは言えない部分があるんですね。関わった以上は責任払いでやるしかなかった。ただ、飲食店のコンサルをして、本も出して、応援もしてるのに、自分の飲食店が流行らへんかったら、飯喰われへんでしょ。必死ですわ(笑)。こっちから声をかけたわけでもないのに、日経レストランさんはじめいろんな取材依頼が来ました。理由を聞いたら、昼間にとんかつ屋として繁盛している店が、夜は鍋をメインとする別業態になり、客単価も変わって繁盛もしているからだと言うてました。飲食店のプロデューサーが絶対にやらへんという “ 二毛作 ” ですからね。二毛作はコンセプトがブレるんですよ。昼はトンカツで客単価1000円、夜は豆乳しゃぶしゃぶで3800円。プロやねんから何とかやりきろうとしただけですね。「 豚公司 」 は、黒亭、銀呈、堀江の、現在3店舗営業しています。

豚公司 堀江その時に一緒に働いてくれた職人が、いま総料理長を担当してもらっている村上稔です。いい人に巡り会ったとしか言いようがないですね。気取ったこと言う気はないんやけど、食べ物屋さんがどないしたら成功するか?といったら 「 執念 」 ではないかと思うんです。料理長と僕は、「 何としても流行らさなあかん 」 と必死になって知恵を絞りました。村上なんて、雑誌が取り上げるような有名割烹のオーナーシェフやったんですよ。それが諸事情で店を手放すことになり、52才で初めて豚の肉の塊、腿のブロックをさばいた。彼が恰好よかったんは、「 社長、おもろいですわ 」 って言いよったことです。いくら生活のためとはいえ、オッサンが全然知らん世界で新しいことにはまっていく姿は恰好良かったですよ。僕も幸せでしたよ。村上にしてみたら、「 どうしても川野に恥をかかされへん 」 という気概でいてくれたから。その思いに支えられました。やっぱり腹くくって仕事するかどうかが、流行る飲食店のベースにあると思います。サラリーマン根性でやってたら無理でしょう。

【 三種盛りコース 】豚料理専門店豚公司ホームページより今は、村上のもとで料理を覚えたいとたくさんの若者が来はります。うちは、デザートのシャーベットにしても、タレにしても、何一つとして出来合いのものを使ってません。すべての料理が手づくりなので、うちに来たら料理を覚えられると思われているんです。ある有名な居酒屋にいたという料理人が来たので、「 ダシをひいてみぃ 」 といったら、手を止めよったんです。どこもレトルトを使っているせいかできなかったんです。大きなことを言うようで嫌ですが、「 豚公司銀呈 」 は、Puroducer川野のショールームです。メニューも接客も至らんところがようさんあるんやけれど、僕の今の姿そのままやと思ってます。料理を考えているのも僕ですから、少なくとも料理に関しては嘘のないようにしたい。一から全部つくって、料理人達が覚えていくのが一番美しい飲食店の姿ではないのかなと思ってます。



会社名

株式会社リンク

http://www.linkweb.co.jp/

代表取締役(店舗プロデューサー) 川野秀哉氏
1959年大阪府出身

1987年にコンピュータソフト会社リンク創業、通販ソフトおよび通販事業の立上げ指導を業務としていた。その後、飲食店をはじめ各種店舗のアドバイスも手がけるようになり、繁盛店には必ず愛顧客(来店の度に新しいお客を連れてくるお客)がいることに注目して「愛顧客理論」を確立。

日経レストラン誌には、02年から2年間「愛顧客育成講座」「愛社長養成塾」を毎月4頁執筆。幅広い読者層の支持を集めて、連載終了後はナニワの繁盛指南士として活躍、「愛される店の理由」も上梓する。05年には自ら「豚料理専門店豚公司(とんこんす)」を開店、愛顧客育成の実践などノウハウのショールーム的な位置付けで人気店に育てている。

文:貝田知明
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