【企画特集】飲食業における環境問題を考える
近年、脱プラスチックの動きが加速している。今年4月には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環法)が制定され、事業者に対してプラスチックの資源循環を進めていくことが求められるようになった。これは、飲食業に携わる人々にも無縁なことではない。しかも大手企業だけではなく、従業員が5名以上の事業者にも求められているのである。そこで外食ドットビズでは、食関連企業に対し、プラスチック製品を供給している グンゼ株式会社 の協力のもと、脱プラに対し、どのようなことが必要なのか考察していきたいと思う。
今回協力を得ることになったグンゼ株式会社がプラスチックメーカーと聞いて、本当?と思われた方は少なくないのでは。特に、昭和や平成の初期生まれの人にはインナーウェアメーカーとしての方がしっくりとくるかもしれない。
同社は、1896(明治29)年に創業者の波多野鶴吉氏によって現在の京都府綾部市にて郡是(ぐんぜ)製絲株式会社として設立された。もともとは製糸・紡績業を生業としていたが、太平洋戦争終戦後にメリヤスの肌着の生産を開始してから、<グンゼ>はインナーウェアのリーディングカンパニーの一社として認知されるようになったのだ。
そのようなグンゼがプラスチック事業に参入したのは、割と古く、今から約60年前の1960年代から、ストッキングのパッケージを内製化したことから始まる。そこからプラスチック事業も多角化を進め、飲料ボトル、食料品、トイレタリー用品などの生活必需品の包装用の「プラスチックフィルム分野」、複写機やプリンタなどのOA機器や産業分野の製造工程で使われる「エンジニアリングプラスチック分野」、PCや車載機器、FAに至るまで、さまざまな分野で使われるタッチパネルや機能性を高めた各種フィルムなどの「電子部品分野」や医療関連の「メディカル分野」と幅広く展開している。
その中で、食産業に大きくかかわっているのが「プラスチックフィルム分野」で、大きく分けて4つの製品群を有している。一つ目が主に野菜やお菓子の包装フィルムとして使われる複合OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム。特に、スーパーマーケットに陳列してある“もやし”のパッケージは、約8割が同社のフィルムが使われているそうだ。二つ目がペットボトルのラベルなどに使われているシュリンク(収縮)フィルム。これも国内では半分ほどのシェアを占めている。三つ目がハムやソーセージ、液体調味料の包装フィルムに使われている複合ナイロンフィルム。耐ピンホール性(穴が開きにくい)のみならず、ガスバリア性(酸素などを通しにくい)を有しているため、食品の包装用として重宝されている。四つ目が包装以外に使われている軟質多層シート。主に工業材料やビルの壁紙に使われているが、これも、耐ピンホール、ガスバリア性やシールができる特性を有しているため、テーマパークで販売されている、ヘリウムガスで浮かせ、耳や口などのパーツがついたキャラクターのバルーンなどにも使われている。
今回紹介するのが、5つ目となる、食産業界のプラスチック削減やフードロス削減といった環境問題に貢献できる極薄強靭チューブだ。「ピュアラップ® FS35Nタイプ」「ピュアラップ® FS40Nタイプ」という商品名で今年の1月に販売を開始した。
次回は、飲食業界においてプラスチック資源循環法がどのように関わり、この極薄強靭チューブが飲食業界のプラスチック削減やフードロス削減といった環境問題にどのように貢献できるかをみていきたい。
グンゼ株式会社(GUNZE LIMITED)
創立 1896年(明治29年)8月10日
代表者 代表取締役社長 佐口敏康氏
大阪本社 大阪府大阪市北区梅田2-5-25 ハービスOSAKAオフィスタワー
プラスチックカンパニー https://www.gunze.co.jp/plastic/