これだけは知っておいてほしいワインの話 小久保尊

これだけは知っておいてほしいワインの話

「ワインって気取って飲むのも悪くないけど、もっとテキトーに楽しんじゃっていいものだと思うんですよ。」そう話すのは日本ソムリエ協会認定ソムリエの小久保尊(こくぼたける)さん。船橋にご自身が経営されているバーのオーナー兼シェフをされています。オシャレ風貌漂う小久保さんですが、実は生粋のアニメオタク。一見難しそうなワインの品種も、キャラクターに例えたら親しみやすいのではないかと出版した「図解 ワイン一年生」はたちまちベストセラーに。今回はそんな小久保さんに、「飲食店で働く人に知っていてほしいワインの基礎」を、全5回に分けて教えていただきたいと思います。

第5回 食事に合うワインをすすめる

vol5 食事に合うワインをすすめる

 

飲食店で働くみなさま、こんにちは。これまで、ワインの品種や特徴についてご説明させていただきましたが、最後は「料理に合うワインの選び方」について、お話ししたいと思います。

図解 ワイン一年生

ワインと料理の組み合わせのことを、世間では「マリアージュ(結婚)」なんていわれたりもしますが、料理とワインがぴったり合うと、相乗効果でおいしさが桁外れにパワーアップします。

ただ、どんなワインと料理が合うのかなんて急に言われても、普段ワインを取り扱っている人じゃなきゃピンときませんよね。実は料理とワインの組み合わせには法則があるので、一度感覚を掴んでしまえば、案外簡単なのですよ。

拙著『図解 ワイン一年生』から、一部を抜粋し紹介していきます。少しでも、皆様のヒントになれば幸いです。

お互いの魅力を引き立てる組み合わせ

まずひとつめの法則は、「色が似ているもの同士をあわせる」ことです。ワインと料理の「色」をあわせておけば、ほぼ間違いありません。

例えば、赤ワインなら、赤を連想させる肉とか、ソース。白ワインなら、白を連想させる、野菜とか魚などです。

ただ「肉だから赤」「魚だから白」という考えにとらわれず、同じ焼き鳥でもタレなら赤、塩なら白。魚のサバも、照り焼きだったら赤、塩焼きだったら白が合うかなと私はイメージしています。
こんな風に「なんとなくこの色が合いそう」と、一度自分なりのイメージをしてみてください。

シラー

二つめの法則は「味が似ているもの同士を合わせる」

たとえば、シラーという品種の味はコショウっぽさが強いので、コショウで味付けされたスパイシーな肉料理とよくあいます。

ソーヴィニヨン・ブラン

ソーヴィニヨン・ブランという品種はネギっぽく、ネギを使った繊細な味の京料理などを提供するときに、あわせてすすめてみてください。

 
食事に合うワインをすすめる

そして、三つ目の法則は「味が対極にあるもの同士を合わせる」です。
たとえば、乳臭くて塩気の多いブルーチーズは、フルーティーで極甘口のリースリングを使ったワインと対極の味わいになりますが、これはこれでけっこう合います。ブルーチーズを使ったピザにハチミツをかけることが多いですが、あれと似たようなことです。

ちなみに、エスニック料理によくある、「酸っぱい料理」と「辛い料理」は、基本的にワインにはなかなか合わないと思いますので、そこはこだわらずビールにいきましょう。

ワインを選ぶときは、なんとなく「似た色」「似た味」「反対の味」という3つの基準に従って選んでみてください。

きっと大きく外すことはないと思いますし、この感覚をつかむと「今飲んでるワインに合う料理」「今食べている料理に合うワイン」がなんとなくわかるようになります。

まずはご自宅で「これは合うかな」「これは合わないかな」と、料理とワインを合わせてみて、ご自身の感覚をつかんでみてください。これがわかれば、ワインを選ぶのがきっと楽しくなりますよ。



小久保尊氏

小久保 尊(Kokubo Takeru)

1983年、千葉県船橋市生まれ。
日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
「ワインと肉 COQ DINER」のオーナーソムリエ兼シェフ。大学在学中から船橋市内の某有名飲食店で経験を積んだのち、2011年9月に「ワインと肉 COQ DINER」を、翌年10月には2号店となる「立呑み 燻製COQ DINER離-HANARE-」を船橋にオープン。日本一の庶民派ソムリエとして語る、ワイン案内の“ハードルの低さ”に定評がある。

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