「ワインって気取って飲むのも悪くないけど、もっとテキトーに楽しんじゃっていいものだと思うんですよ。」そう話すのは日本ソムリエ協会認定ソムリエの小久保尊(こくぼたける)さん。船橋にご自身が経営されているバーのオーナー兼シェフをされています。オシャレ風貌漂う小久保さんですが、実は生粋のアニメオタク。一見難しそうなワインの品種も、キャラクターに例えたら親しみやすいのではないかと出版した「図解 ワイン一年生」はたちまちベストセラーに。今回はそんな小久保さんに、「飲食店で働く人に知っていてほしいワインの基礎」を、全5回に分けて教えていただきたいと思います。
飲食店で働くみなさま、こんにちは。これまでワインの味について説明をさせていただきましたが今回はちょっと番外編。ワインアイテムについてご紹介したいと思います。
ワインの世界にも、様々なアイテムがあります。たとえば、「コルクを抜くのが面倒くさい」なら回すだけでコルクが簡単に抜ける”スクリュープル”「きれいにフォイルを切れない」なら”きれいにカットしてくれるフォイルカッター”を。「開けてしまったワインの劣化を遅らせたい」のなら酸化を防いでくれる“ワインキーパー”などがあります。ワインって意外と手間とられるので、これらがあるととっても便利ですよ。
ただ、ワイングラスだけは1つでいいので、ご自分で選んだ良いやつを持っていてください。ワインはグラスが違うだけで、味がぐんとグレードアップしてくれます。グラスをかえるだけでワインにあまり興味がない人でも「やばい。ワインっておいしいかも…!」と考えを改める人がたくさんいます。
もちろん、百均で買ったやつとかがダメというわけではないのですが、グラスがちゃんとしているだけで、通常の価値よりプラス千円、二千円のワインの味に変わってくれるのです。
今回は、ワイングラスの選び方を拙著『図解 ワイン一年生』から一部を抜粋し、紹介していきたいと思います。ワインを、自信をもってお客様にすすめしていけるために、少しでも皆様のヒントになれば幸いです。
ワインを飲むときは鼻がすっぽり入るグラスを選ぶ
ワイングラスもマニアックにつっこんでいけば、ボルドー用、ブルゴーニュ用、シャンパン用など専用のグラスが色々あり、それぞれの特性を活かしてくれる形状になっています。こちら多少値は張りますが、リーデル社や、ツヴィーゼル社などの有名ブランドのグラスを揃えれば、まず間違いない品質です。
ただ、いいワイングラスはか弱いものが多いので、洗っているときなどにちょこっとぶつけただけでも割れちゃったりします。せっかく高級ワイングラスを買ったのに、割ってしまったらもったいない。なのでポイントとしては「でかい」そして「うすはり」のグラスを選んでみてください。もっとざっくり言えば、鼻の根っこまで、グラスの内側にすっぽり入るくらいのサイズがあれば、そのワインを堪能できます。
そういうデカグラスに赤や白の液体をちょろっと注ぐと、おしゃれな雰囲気もでますし、口当たりも心地よくなりますし、なんといっても香りが集まり、ふわっと鼻をくるんでくれます。コップグラスと違いを比べてみると、その味と香りは結構強烈です。一度比べてみてもいいかもしれませんね。
ワイングラスで鼻をすっぽり包み込みながら目を閉じて、それぞれの品種の個性を心の目で観察してみてください。きっと新しい発見がありますよ。
いかがでしたか?
次回は「料理に合うワイン」をご紹介していきたいと思います。
小久保 尊(Kokubo Takeru)
1983年、千葉県船橋市生まれ。
日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
「ワインと肉 COQ DINER」のオーナーソムリエ兼シェフ。大学在学中から船橋市内の某有名飲食店で経験を積んだのち、2011年9月に「ワインと肉 COQ DINER」を、翌年10月には2号店となる「立呑み 燻製COQ DINER離-HANARE-」を船橋にオープン。日本一の庶民派ソムリエとして語る、ワイン案内の“ハードルの低さ”に定評がある。