素敵なお店にはお客様が来ていただける。素敵なお店になれば従業員のモチベーションも上がりサービスアップにもつながる。そのためには、内装・家具・置物・絵画等々気を使わなくてはならないことが山ほどある。今回は「浮世絵」がお客様の心をつかんだ実例を挙げる。
スポルディング・セレクションの制作・販売会社である芸術新聞社は、1951年、小針代助によって杉並に開業した中村屋が芸術新報社、芸術新聞社と改称した会社である。
年鑑誌の「美術名典」、隔月誌の「墨」の他、画集、入門書など絵画や書道に関わる書物を刊行している。
今回、 『歌麿ベストセレクション1-ボストン美術館蔵 スポルディング・コレクション-』の発売の経緯などについて同社代表取締役社長の相澤正夫氏(以下、敬称略)にお伺いした。
- 歌麿ベストセレクションを販売されるようになったきっかけをお教えください。
【相澤】 当社が刊行していた美術雑誌「アート・トップ」で以前スポルディング・コレクションを巻頭特集で取上げたことがあり、その際にNHKプロモーションの方と出会い良い関係を続けさせて頂きました。
今回は、私どもの方で、高精細で高品質の複製美術品を取り扱いたいと企画をたて、スポルディング・コレクションを全て電子データとして保存されているNHKプロモーションに打診したところ、快くご協力をいただけるということで始めたのが最初です。
- 数ある美術品の中から、なぜスポルディング・コレクションを選ばれたのですか?
【相澤】 まず、文化的な側面から申しますと、スポルディング・コレクションと言うのは、ボストン美術館からの持ち出しと公開を禁じると言う非常に厳しい条件で寄贈された作品群なのです。スポルディング兄弟が亡くなられた現在においても、その遺言が固く守られています。制作時から作品の劣化がほとんど無いこの素晴しい作品群を皆様にお見せするのが、私どもの使命ではないかと考えました。
ビジネス的側面からは、今後も一般公開されることが無いでしょうから作品として、非常に希少価値の高いものです。それに NHKの高い技術で撮影されたものですから、原画の素晴しさを再現でき、複製美術品として高付加価値の商品をご提供でると考えました。
- 数ある作家の中で、なぜ歌麿を選ばれたのですか?
【相澤】 浮世絵をあまりご存じない方でも、わりと喜多川歌麿の名前は知っていらっしゃる方がいます。また、浮世絵の中でも歌麿の美人画と言うのは非常に人気が高く、作品的にも素晴しいものです。さらに、今まで露出されている作品と比べてもスポルディング・コレクションの作品は品質が高くかなりできの良い作品だったからです。
- 飲食店でこの歌麿の作品を活かす見せ方はどのような方法がありますか?
【相澤】 今回は 8点を1セットとして販売しています。ニユートーキヨーさんでは、お店の入口と言う目立つ場所で、日にちを限定して8点を順番にお掛けになっていますが、このように季節や天候、ご宴会などでお使いになるお客様の客層などに合わせて順番に替えてお掛けになる方法がありますね。また、8点ありますので、個室をお持ちのお店では個室ごとの個性に合わせてお掛けいただくとより一層存在感がでるのではないかと思っております。
また、歌麿の絵は鮮やかと申しますか、艶やかさがありますから和食のお店に関わらず色々な業態のお店でもご活用いただけるのではないかとも思っております。
今回、実物をお見せいただいたが、非常に美しく心引かれる歌麿の美人画の作品であった。今まで見てきた浮世絵も綺麗な作品があったが、今回のスポルディング・コレクションは更に綺麗であったので、制作された時代にはこの様な色彩の作品であったのかとあらためて勉強になった。
また、お忙しい時間を割いて、取材にご協力いただいたニユートーキヨー高尾の東店長や女性従業員の方からお伺いした話からもこの様な芸術品によってお店の雰囲気が変り、サービス向上に役立つことがあることもわかった。
『ステキなお店には、お客様が来ていただける。』
皆様のお店でも、何かをすることによって更に素敵なお店作りをしていただきたいと思う。
高尾 ニュートーキヨー数寄屋橋本店8階店
http://www.newtokyo.co.jp/honten/honten_8/8f.htm
所在地 千代田区有楽町2-2-3
電話 03-3575-4800
取材協力:芸術新聞社
ニュートーキヨー高尾本店
文: 齋藤栄紀