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お酒の楽しみ方を検証する Vol.3 差別化戦略でアルコール商材の利益向上を図る ~特徴のある梅酒&本格焼酎商品の提案が出数アップに繋がる

お酒の楽しみ方を検証する Vol.3 差別化戦略でアルコール商材の利益向上を図る 特徴のある梅酒&本格焼酎商品の提案が出数アップに繋がる

アベノミクス効果により、景気の回復基調が見られる反面、食材価格の高止まりや水光熱費の上昇などがコストアップ要因となり、飲食店にとって利益を確保するのが難しい状況にもある。今回は、冬の宴会シーズンを前に、「差別化戦略によるアルコール商材の利益向上」をテーマに、梅酒と本格焼酎を題材とし、コストパフォーマンスが高いスタンダードな価格帯のアルコール商材使用による利益向上策について、サッポロビール株式会社スピリッツ戦略部 マネージャーの津久浦氏と末田氏の協力のもと考察を進めていく。

第2回 特徴の強調でスタンダードな「焼酎」を差別化

第2回 特徴の強調でスタンダードな「焼酎」を差別化焼酎の市場は厳しい傾向が続き、今年の上半期も前年比で90%半ばから後半と前年を割っている。焼酎ブームもひと段落した中で、例えばメジャーブランドに絞り込み過ぎたりして、他店との差別化や利益の確保が図れない飲食店も少なくないと推察する。

今回は、プレミアムな本格焼酎ではなく、リーズナブルながらも特徴があり、コストパフォーマンスの高い本格焼酎での差別化の方法について、同じくサッポロビール社の商品を例に考察をしていく。

特徴の強調でスタンダードな「焼酎」を差別化同社は、業務用本格焼酎として、芋焼酎 「 からり芋 」 と麦焼酎 「 和ら麦 」 というメイン商品を持つ。厳しい焼酎市場の中、両商品とも上半期の実績は100%超えと一定の評価を得ている。

その様な中、両商品のエクステンション(拡張)商品として、「 黒和ら麦 」 に続き、今年は 「 芋100からり芋 」 を世に送り出した。エクステンション商品ということもあり、「 芋100からり芋 」 、 「 黒和ら麦 」 とも特徴が際立った商品となっている。

「 芋100からり芋 」 は、「 小正醸造による醸造 」、「 黄金千貫の全量芋仕込 」、「 黒麹使用 」 と3つの特徴を併せ持った商品である。

芋100からり芋 小正醸造は、明治 16 年に鹿児島県で創業した歴史ある醸造所で、 ISO9001 を取得するなど品質の高さには定評がある。また、全量芋仕込とは、芋本来の旨さを引き出すために、麹まで芋を使用することである。この製法は非常に難しく、日本広しといえども全国で 10 蔵ほどしか手掛けられていない。芋は全て小正醸造の契約農家から仕入れた黄金千貫を使用。麹を作るためのダイス芋も一旦契約農家から仕入れてから出荷し、再度、芋麹として仕入れ直す。正に“生産者の顔が見える”という安全・安心の提供と品質管理の徹底を実現しているのである。これは、サッポロビール社がビールの製造にこだわる「協働契約栽培」に合い通じるものがある。更に、「からり芋」白麹と黒麹をブレンドしているが、「芋 100 からり芋」は黒麹のみを使用しているため、よりコクのある味わいを楽しめるのである。

黒和ら麦 「黒和ら麦」は、黒麹のみを使用し、北海道産の「りょうふう」をメインに 100 %国産大麦を使っているという点が特徴の本格麦焼酎である。製造は、福岡県の楽丸酒造。楽丸酒造では、土地の名水でもある耳納連山の伏流水を使用し、大麦は熟練の蔵人たちが選びぬいた北海道産の契約栽培大麦を使用と、原料と物づくりへのこだわりを結集した商品を作っている。「和ら麦」と比べて、よりコクがあり、より深い味わいで、麦本来の香ばしさが楽しめる焼酎に仕上がっている。

「 からり芋 」 と 「 和ら麦 」 は、後味がすっきりとした飲みやすさを重視しているが、「 芋100からり芋 」 と 「 黒和ら麦 」 は、より原料の味と香りを前面に押し出した特徴のある焼酎に仕立てている。

メニュー化にあたっては、同じ原料を使いながらも違った味わいを楽しめることを強調して、「からり芋」と「芋 100 からり芋」、「和ら麦」と「黒和ら麦」の“飲み比べセット”での提供が考えられる。或いは、料理との相性からの提案も考えられる。例えば、刺身など淡白な料理には、すっきりタイプの「からり芋」と「和ら麦」を、煮つけなど味が濃い料理には、より味と香りが強い「芋 100 からり芋」と「黒和ら麦」を薦めるといった提案である。また、全量芋仕込などの“希少価値感”を全面に出し、「麹まで芋の 100 %芋焼酎」などとネーミングでの提案も考えられる。更に、「からり芋」と「芋 100 からり芋」は同額であるので、“希少価値感”を活かし、「芋 100 からり芋」を 10 ~ 20 円高い値付けにすることにより店舗利益の源泉にすることも考えられる。

ラインアップとバリエーションで「梅酒」を差別化これからのクリスマスや忘年会などのイベント・宴会シーズンに向けて、プレミアム商品で他店との差別化を図る方法もあるが、リーズナブルな価格帯の商材の中でも、特徴がありコストパフォーマンスの高い商品を活用することにより、 来店客の満足度を上げつつ、少しでもサイフの口を開けやすくする提案が必要であろう。

また、同社では、「 ごぶごぶ 」 割りという飲み方を推奨している。「 からり芋 」 も 「 和ら麦 」 も焼酎と水を五対五で割ると、本格焼酎の旨味と香りはそのままにすっと美味しい水割りになる。この飲み方も来店客の満足度を上げるとともに、店の利益を上げることができる飲み方ではないであろうか。

差別化のポイント -本格焼酎-

①産地や生産者を前面に出した提案
例:「鹿児島県産黄金千貫100%使用」、「鹿児島の伝統酒蔵で醸造した芋焼酎」

②特徴を前面に出したメニュー提案
例:「淡白な料理に合うすっきり系麦焼酎」、「黒麹使用でコクのある芋焼酎」

③希少性を全面に出した提案
例:「芋麹使用 100%芋を使った全量芋仕込」

最後に、10月31日まで展開している 「 秋の焼酎・梅酒 ご拡販感謝キャンペーン 」 についてお知らせさせて頂く。

このキャンペーンは、飲食店のみが対象となっており、10月31日までに対象商品を発注すると、抽選で合計535店に 「 JTB旅行券5万円分 」(5店)などがあたるもの。一般的にはグラスセットやPOPセットがもらえるキャンペーンが多いが、少々毛色の変わった企画となっている。オーソドックスな商材である焼酎や梅酒類の中でも、特徴ある商品で差別化を図ると共に、顧客満足度を上げる。更に、従業員旅行でスタッフのモチベーションアップを目指されては如何であろうか。



取材協力 サッポロビール株式会社 営業本部 スピリッツ戦略部 商品ブランドグループ マネージャー 末田朋大氏

サッポロビール株式会社

http://www.sapporobeer.jp/

1876年(明治9年)設立の開拓使麦酒醸造所で醸造された、北極星をマークとする冷製 「札幌ビール」 が社名の由来とされる。
1949年に大日本麦酒が分割された日本麦酒としてスタート。

1964年からは、会社名もサッポロビール株式会社に変更。

2003年の持株会社制導入に伴い、新たにサッポロビール株式会社として設立。

代表者 代表取締役社長 尾賀真城氏

文:齋藤栄紀
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