外食ビジネスをトータルでサポートする ~食のディストリビューター トーホー~

外食ビジネスをトータルでサポートする 食のディストリビューター トーホー

昨今ほど、「食の安心・安全」に対して数多くの報道がなされ、消費者が関心を持つような時代はなかったのではなかろうか。その様な社会環境において「食」を届ける企業の責任は重い。「食材」を外食産業に供給する業界側について考察することは重要であろう。
今回は、いち早く「食の安心・安全」を標榜し、更に「健康」「環境」と言った社会問題を見据えて活動を行っている株式会社トーホーの取り組みについて、同社代表取締役社長の上野裕一氏へのインタビューを交えてお届けする。

第5回 外食産業の立場にたった事業を~ディストリビューター事業~

第5回 外食産業の立場にたった事業を~ディストリビューター事業~

外食ビジネスをトータルでサポートする 食のディストリビューター トーホー外食産業に対する業務用食品卸部門であるディストリビューター事業は、創業からの伝統部門であるとともに、現在でもトーホーの中核部門として位置づけられている。

今回は、ディストリビューター事業の外食産業に対する取り組みを中心に見て行きたいと思う。


【上野社長】 元々、当社が業務用食品のディストリビューターとして大きくなれたのは、冷凍食品に対する取り組みが非常に早かったことが挙げられます。冷凍食品を外食企業や外食店舗にデリバリーするためには冷凍庫や冷凍車などの設備やそのランニングのために多大なる投資が必要なのです。しかし当社では外食産業界での冷凍食品取扱の伸びを見込んでいち早く取り組みました。

外食ビジネスをトータルでサポートする 食のディストリビューター トーホー冷凍食品を取り扱うには、先ほど申し上げたように設備投資やランニングコストがかかるとともに温度管理についてのノウハウが必要なのです。このノウハウというものは一朝一夕で身に付くものではありません。食品を高品質で美味しくお届けするには多温度帯での管理が必要なのですが、当社の大部分の事業所では、7~6温度帯で管理をしています。商品特性に応じて温度管理をするノウハウが当社の強味でもあり、特長でもあるといえます。

- 冷凍庫で管理ができていても、冷凍車に載せかえる時に問題が起きやすいと聞いたことがありますが…。

外食ビジネスをトータルでサポートする 食のディストリビューター トーホー【上野社長】 その点も抜かりはありません(笑)。
ディストリビューター事業部の各営業所を見ていただくと一目瞭然ですが、当社では密閉式のドックシェルターを設置しています。ドックシェルターは、車をぴたっとつけて外気を一切遮断できるのです。これをほとんどの営業所に設けてあるのは、ディストリビューターをやっている会社でもそれほど無いでしょうね。

- 外食企業は、ドックシェルターのある無しを結構気にするのですか?

【上野社長】 そうですね。外気に触れるとやはり食品というのは劣化してしまいますからね。某外資系ホテルが中部地方に出す時に、当時、当社の支店が古い支店だったんですね。当然、まだドックシェルターは無い。それを見られたら当然アウトですよね。これはいけないという事でそれからまもなく移転してドックシェルターを設けました(笑)。

外食ビジネスをトータルでサポートする 食のディストリビューター トーホーそれから、物凄く品質に対するこだわりを持たれている某企業さんがお付き合いを始めるにあたって、全部事業所を見ると言われたのですよ(笑)。最初に福岡支店を見られて、「 凄い、こんなの見たことが無い 」 と感心されて、次に広島に行かれて、またこれも凄いと、岡山に行かれた時に、「 凄い、他も一緒だろうから後はもう見なくても良い、全部同じやり方なら安心しました、お任せします 」 と仰ってそこで終わりにされました。

ここまで、冷凍食品の取り扱いに取り組んでいる企業は、本当にそれほど無いと思います。

- 冷凍食品で品質問題というと、今年になって中国産冷凍餃子が大きな問題となりましたが、貴社の品質に対する取り組みをお教えください。

外食ビジネスをトータルでサポートする 食のディストリビューター トーホー【上野社長】 残留農薬に対しては、いち早く取組んでいます。平成18年(2006年)に残留農薬等ポジティブリスト制度(※) が施行されましたが、それを見据えて平成16年(2004年)にガスクロマトグラフ質量分析計という残留農薬を検査する機械を導入したのです。これが高額でね、当時私もそんなお金をかけてやる必要があるのかと、正直思ったのです。検査のためには、前作業が結構かかるのです。それに熟練した検査官も育成しなければならない。いくら機械が高性能だといっても、検査官にノウハウが無ければ、結局高いおもちゃになってしまいますからね(笑)。

(※)残留農薬等ポジティブリスト制度:一定量以上の農薬や飼料添加物等が残留する食品の販売などを原則として禁止する制度のこと。

- 当然のことながら検査をアウトソーシングすると言う選択肢もあったわけですよね。それを社内に取り込んだ理由は何ですか?

【上野社長】 うーん。やっぱり企業としてのこだわりですかね。食の安全に対してはこだわりを持って取り組んでいますからね。でも結果的にガスクロマトグラフを取り込んで良かったなと今では思っています。中国産冷凍餃子事件の時には、アウトソーシング先の検査機関に殺到して、追いつかずになかなか検査結果が出てこないという問題が起きていたようです。

外食ビジネスをトータルでサポートする 食のディストリビューター トーホー今後は、当社としてこの部分をもっと磨いて、逆にお客様の検査を請け負うアウトソーシング先に成れればいいなと思っているのです。今年の8月1日に分社化するのですが、その中に管理部門のトーホービジネスサービスという会社を作るのですが、この会社はグループ内の仕事ばかりでは無く、外販にも力を入れてもらいたいと思っていますから。


次回は、いよいよ最終回になるが、トーホーの外食産業に対する取り組みについて、そして今後の展開についてみて行きたい



株式会社トーホー

株式会社トーホー

http://www.to-ho.co.jp/

事業内容:外食産業に対する業務用食材の卸売業務等
設立 昭和22年(1947年)10月
所在地 神戸市東灘区向洋町西 5丁目9番
資本金 53億4,477万円(平成20年1月現在)
売上高 1,594億円(単体・平成20年1月期)

上野裕一氏

同社代表取締役社長 上野裕一氏

福岡県出身。九州大学経済学部中退。
1974年 全国加除法令出版入社。九州支社長・雑誌編集長を歴任。
1984年 トーホー入社。経営企画室長兼情報システム部長を歴任。
1999年 同社取締役、2003年取締役常務執行役員を歴任後、2007年に代表取締役社長就任。

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