「料理も飲み物も全品270円!」「牛丼一杯280円!」と居酒屋業態を中心に低価格を売りにした店舗が増えている。飲食業界も本格的な価格競争の時代に突入した。このような状況下で健全な経営を行うための施策の一つとして、情報技術を駆使して乗り越えることが必要であろう。外食ドットビズでは株式会社寺岡精工の協力のもと現場の実態をみてみる。
「 街に元気を!」 を事業コンセプトに創業から7年間で60店舗を数える飲食チェーンに成長した株式会社RETOWN。主力の焼鳥業態 「 炭火焼鳥ちんどん 」 をはじめ天然活け〆生マグロの 「 ほんまや 」、黒毛和牛焼肉 「 犇屋(ひしめきや)」 など素材にこだわった料理をリーズナブルに提供する業態を開発し展開している。「 情報システムの活用で業務の効率化を図る 」 ために今年(2011年)の6月に初めてオーダーエントリーシステム(OES)を導入した。同社代表取締役松本篤氏にOES導入のいきさつと情報システムに対する考えを伺った。
- まずは 「 ちんどん 」 業態の開発の経緯をお教え下さい。
起業時からチェーン展開を視野に入れていました。そのためにはFCのパッケージ化が必要と考えていましたので、調理オペレーションがそれほど難しくないこと、流行り廃りがあまりないことが決め手で焼鳥業態にしました。
店名の由来は、ちんどん屋さんが通ると人がたくさん集まって来ますよね。そうするとその街自体が活気づきます。これは我々が目指す方向と同じだと考え 「 ちんどん 」 と命名しました。
- 「 ちんどん 」 業態の概要についてお教え下さい。
内外装には昭和のレトロ感を取り入れて、落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しんでいただけるように心がけています。料理もドリンクも全品280円の均一居酒屋です。特長としては国産のフレッシュ鶏肉を使用するなどこだわりの素材を使用しつつも280円というリーズナブルな価格でご提供していることです。
目指すところは日本の食文化としての焼鳥を深堀しながら今の時流に合った形にしていくことです。焼鳥の専門店として本物を提供して行きたいと思っています。そのためにもメインメニューだけでなくサイドメニューも軸からぶれずに必然性のあるものを展開して行きたいと考えています。
お勧めのお料理は宮崎の日南どりを使った 「 浪花手羽先唐揚 」 や炭火で炙った 「 名物炙り焼 」。フレッシュ肉だからこそ味わえる 「 お刺身盛合わせ 」 などもお勧めできます。
- 今回初めてOESを導入されましたが、その経緯をお教え下さい。
開業以来POSだけを導入していましたが、今年(2011年)の6月から大型店を中心にOESの導入も始めました。もちろんそれ以前からOESのことは知っていましたが、どうもOESはファミリーレストラン色が強いように思えて、僕らがやっているような “べたな” 居酒屋にはそぐわないのではないかと考えていました。けれども時代の流れというんですかね、どの店でも最近はOESを使っているところが多くなってきて、お客様側もあまり気にされないようになってきましたので、使うことのメリットの方が多いだろうと考えて導入を決めました。
-OES導入後に改善されたことをお教え下さい。
当初期待していたことが、提供スピード、人件費の抑制、不正の防止の3点でした。一番の課題と考えていた提供スピードに関しましては、かなり早くなったと感じています。客席でオーダーしたらすぐに厨房に調理指示伝票が出るなどホール側の動線がかなり短縮できた点が大きいと思います。人件費に関しても導入してからまだ間もないのですが、実績として1ポイントくらいは削減できています。その他にも手書き伝票の時には字が汚くてオーダーミスがあったり、経理処理の時に 「 何が書いてあるのかわからない 」 ということがあったりしたのですが、そういったことも無くなり、期待以上の効果だと受け止めています。スタッフサイドからも煩雑さが減ったと言う声も聞こえてきますので評価は高いと思います。
- 最後に今後の取組についてお教え下さい。
「 ちんどん 」 業態に関しては、もともと客単価が安い業態ですので、これ以上価格を下げるというのは難しいと考えています。我々は値段を変えずにクオリティを上げることでお客様に還元して行きたいと考えています。例えば当初のブラジル産の冷凍肉から国産の冷凍肉に変え、現在では国産のフレッシュ肉を使っています。それを一歩進めて朝引きのフレッシュ肉にしていくなど食材のグレードをさらに上げて行きたいと考えています。
情報システムに関しては、クラウド型本部システム「 Delios( デリオス ) クラウド」を使っています。店舗数の増加に伴い煩雑になってきた売上管理などもこれを利用することでかなり楽になりました。今後は会計などの基幹システムと連動することにより更なる効率化を図って行きたいと考えています。寺岡精工さんは我々のようなアーリーステージの飲食企業とも情報システムを経営の武器にするためのカスタマイズを一緒に進めてくれますので本当にありがたく感じています。しかもバージョンアップしたシステムがパッケージ化されれば、自社での開発が難しいアーリーステージの飲食企業の皆様にも大きな武器になるに違いありません。こういったことからも寺岡精工さんにはとても期待をしています。
(取材日:2011年11月4日)
担当営業マンからの一言
株式会社テラオカ 本部営業部 大阪飲食ソリューション部 リーダー 目賀慎一氏
RETOWN様とのお付き合いは6年程になりますが、松本社長の“食”に対する考え方や企画力と実行力には強く感銘を受けております。特に箕面の自社農場をはじめとする産地活性化の考えは外食企業を超えた行動力であると感動しています。
今年の 6 月からコンパクト POS 「 A4 ( エーフォー ) 」 に加えて OES もご導入いただきました。オーダーミスの低減や提供スピードの向上などの効果が見られましたので、「 導入してよかった 」との声を社長ならびに幹部の皆様からいただけて本当に良かったと感じております。
RETOWN 様は今後もチェーン展開や事業拡大など進めていかれますが、私たちもニーズを的確に把握して、タイムリーなご提案ができる事業パートナーとして末永くお付き合いさせていただきたいと考えております。
株式会社RETOWN
代表取締役 松本 篤氏
大阪市西区北堀江1-2-17 四ツ橋川崎ビル8F
※2012年2月に大阪シティエアターミナル(OCAT)内へ移転予定
「 炭火焼肉ちんどん 天三店 」
住所:大阪市北区天神橋3丁目8-24
電話番号:06-6881-0055
営業時間:
月~土 17:00~26:00 (LO 0:00)
日・祝 17:00~0:00 (LO 23:00)
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文: 齋藤栄紀