飲食店のローコスト･オペレーション支えるIT技術を紐解く -新参者！寺岡精工の取組

「料理も飲み物も全品270円！｣｢牛丼一杯280円！｣と居酒屋業態を中心に低価格を売りにした店舗が増えている。飲食業界も本格的な価格競争の時代に突入した。このような状況下で健全な経営を行うための施策の一つとして、情報技術を駆使して乗り越えることが必要であろう。外食ドットビズでは株式会社寺岡精工の協力のもと現場の実態をみてみる。

第3回セルフオーダーシステム-Delitouch-導入でオペレーションを改善 -本家楽丸

第3回セルフオーダーシステム-Delitouch-導入でオペレーションを改善－本家楽丸

ふわっとした食感が特長のお好み焼き「ふわとろ本舗」、昭和の酒場を思い起こさせる「復活酒場」などを神戸を中心に展開する有限会社アール.アンド.ビー守破離。守破離は「会社を守り、自分の殻を破る、そして会社から離れてもオリジナリティーを出して行けるように」との思いから名付けられた。確かな素材をリーズナブルな価格で提供してきた同社が、さらに一歩進めて本年（2011年）7月に「本家楽丸」を290円の均一居酒屋業態にリニューアルオープンをした。業態変更を期に寺岡精工のセルフオーダリングシステム「デリタッチ」を導入した。その経緯を同社代表取締役の増田昭氏にお話をお伺いした。

－まずは起業のきっかけについてをお教え下さい。

飲食店のローコスト･オペレーション支えるIT技術を紐解く新参者寺岡精工の取組まず根本にあったのが食べることが非常に好きだったのです。これに加えて若い頃に飲食店でアルバイトした際に、お客様との接点のところの面白さとか、自分がつくった料理を食べて喜んでいただけるところの面白さを感じ、さらにその中で利潤を追求して行くことの醍醐味を経験したことから自分に合った商売じゃないかなということで25歳の時に出店したのが “ リトリート ” という焼鳥バー業態の店でした。その後に「ブルースアレー」と言うバーを出店し、この2店の頭文字と音楽をしていましたのでそれに引っ掛けてR&Bという社名にしました（笑）。

－「本家楽丸」の概要についてお教え下さい。

10年ほど前に寿司ロールがメインの居酒屋「三好食堂」としてオープンしたのが始めです。5年前に立地やお客様層を見据えて、サラリーマンの方がお好きな食べ物を提供しようということで、寿司に加えて串かつをメインにした業態に変更して、併せて店名も「本家楽丸」としました。

こだわりの食材をリーズナブルなお値段で提供してきましたが、それにわかりやすさを加えて、この7月にコンセプトを「サラリーマンが好きな食事を安く」とした均一居酒屋に業態変更いたしました。この店の特長は均一酒場にも関わらずちゃんとした新鮮な魚介類などこだわった素材を使った料理を提供しているところです。特にお勧めなのが海鮮丼です。新鮮な魚介類を290円で食べられる海鮮丼は本当にお値打ちがあります。

－業態変更に伴いセルフオーダリング「デリタッチ」を導入されましたが、その経緯をお教え下さい。

飲食店のローコスト･オペレーション支えるIT技術を紐解く新参者寺岡精工の取組均一業態にしたからといって、食材の質は守りたかったので食材以外のいろいろなコストを削減したいということがありました。最近はセルフオーダリングを使っている店も増えてきましたので便利で良いのではないかと思いました。そこで実際に使っている店を回ったり、展示会に行ったりして出合ったのが寺岡精工さんの「デリタッチ」だったわけです。

とはいえども最初はお客様が本当に使えるかどうか不安でした。でも実際に導入してみると皆さん楽しんでお使いいただいているようです。もちろん中には「こんなん嫌や」と言うお客様もいらっしゃいますが（笑）、「デリタッチ」はお客様に受け入れられているのが現実です。

－「デリタッチ」導入後に改善されたことをお教え下さい。

まだ導入したばかりなので人件費はそれほど大きく変わっていませんが、徐々にセルフオーダリングに合わせてオペレーションも変えていっていますので、これから忘年会や新年会で忙しくなる状況の中で人件費削減を想定しています。

お客様サービスの面では、注文をお待たせしないとか料理の提供が早くなったなどと少しずつ良くなっているかなという実感があります。

－最後に今後の取組についてお教え下さい。

飲食店のローコスト･オペレーション支えるIT技術を紐解く新参者寺岡精工の取組「楽丸」は炭水化物の料理がメインの均一酒場ではなく、新鮮な魚を使っているので満腹感という観点からいくと若干量が少なく感じるんです。炭水化物の料理だと3品食べて少し飲んだらお腹が一杯になる感じですが、刺身を3品食べてもお腹が一杯になりませんよね。使っている素材のわりに290円は安いと喜んでいただいているお客様はもちろんいらっしゃいますが、均一によく行かれるお客様にとっては2～3品多くなりますので少々割高に感じてしまわれる。そこを解決していくことが今後必要だと実感しています。

また、メニュー開発力が「楽丸」の強みの一つです。極端に言えば、均一酒場なのに毎日違う旬なお勧めメニューをお出しすることができます。これとホール側のオペレーションをうまく合致させるためには寺岡精工さんの力添えが欠かせません。「デリタッチ」は仕組み自体良くできていて便利なシステムだと感じています。さらに効果的に使っていくために頑張っていただきたいと考えております。

（取材日：2011年11月4日）

担当営業マンからの一言
株式会社テラオカ　本部営業部　大阪飲食ソリューション部　泉道宏氏

R&B守破離様は神戸の有名な外食企業で、今年の7月に「楽丸」を均一料金の業態にするにあたって「デリタッチ」をご導入いただきました。

株式会社寺岡精工　ホスピタリティ営業部　九州ブロック　又村俊治氏増田社長からはいろいろなアイディアをいただくことがあります。これには「デリタッチ」を更に有効に使っていこう、私どもにとっても売りやすくなるにちがいない、そのために一緒に改善して行こうという期待が感じられます。

「楽丸」は均一料金の居酒屋ですが、この業態とは思えない良い食材を使って美味しい料理を提供されています。「デリタッチ」を活用していただくことで、店舗オペレーションの効率化に役立たせていただき、更なる繁盛の一助になれれば幸いと考えております。そしてこれからも素晴らしい業態のお店をたくさん出店していただきたいと願っております。