寺岡精工の今年のテーマは 「 ブルー・オーシャンへの船出 」 である。競争のない未開拓市場へ乗り出して行くという意味を持つこの言葉は、飲食店向けソリューションベンダーとしては後発であると自ら認める寺岡精工の強い意気込みを物語っている。9月1日にブルー・オーシャンへの船出を体現した飲食店向けソリューションが発売される。今回はその商品についてレポートする。
これから会社を大きくしていきたいと考える経営者にとっての高付加価値とは?
その大きなポイントは拡張性であろう。1店舗だけの経営に必要な情報システムと多店舗の経営あるいは上場後に必要な情報システムでは大きく違ってくる。
多店舗経営の場合、単店ごとの損益管理に加えて、全店をあわせた損益管理が必要となってくる。これが上場となると、J-SOX法に代表される内部統制など更に複雑なシステムに対応していく必要がでてくる。
店舗数の増加や企業規模の増大ごとに情報システムを再構築していくのでは、膨大なコストと手間隙がかかってしまうことになる。そのためにはOFSC研究会が提唱する標準化されたシステムを利用したり、寺岡精工の拡張性を保持したシステムを導入したりすることが必要となってくる。
では具体的にシステムの拡張性とは。例えばOES(Order Entry System)の場合、低価格版だと使用機器の台数制限を設けたり、機器自体を簡易的な物にすることにより、上位版との差別化を図ってきた。これに対し、寺岡精工は上位版である ” Delious ” と同じハンディターミナルを採用、台数制限の撤廃、セルフオーダー端末の増設可能、上位本部システムの使用可能と拡張性を最大限生かすといった高付加価値対応を取っている。
【 鹿野氏 】 「 Delious solo 」 はエントリーモデルという位置付けでお考えいただければ良いと思っています。初めて店舗を始められる方、初めて店舗システムを導入される方には極力設備投資を抑えた形でお使いいただく。しかもただ安いだけではなく、店舗経営に不可欠な損益管理機能もお使いいただけるシステムを。そして2店舗、3店舗とお店が増えてきたら多店舗管理ができる本部システムが必要となります。従業員の方も増えるでしょうからハンディターミナルも増やさなくてはならない。業態によってはお客様自身がオーダーテイクできるようにセルフオーダー端末が必要になるかもしれません。その様な時に新しいシステムに買い直してくださいとか、高い機器の方を買ってくださいとは言いたくないですよね。
飲食店の経営者の方には是非成功していただきたいですし、大きくなっていただきたい。そのためには、私たちは可能な限りお手伝いをさせていただきたいとの思いから拡張性を重要視しました。
大手飲食店に向けたIT関連商品の販売は、確かに競合が激しく、熾烈な戦いが繰り広げられている。まさしくレッド・オーシャン状態なのである。そして多くの飲食業向けITベンダーがターゲットとしてきた市場なのである。
それに対し、寺岡精工はこれから飲食店を開業したり、開業後でもシステムに無関心な経営者層を新たなるマーケットと位置付け、低価格と拡張性といった高付加価値の両立をキーワードに船出を始めようとしている。
ブルー・オーシャンへの船出。新たなる市場を開拓し、低価格と高付加価値を両立させる新たなるソリューションを提供していく。寺岡精工の新たな取り組みに注目していくとともに、厳しい状況が続く飲食業界においても取り組んでいくべき戦略ではないだろうか。
株式会社寺岡精工
http://hospitality.teraoka.biz/
会社概要 1934年11月(昭和9年)に、「はかり」メーカーとして創業、一貫して先進技術を追求する姿勢で、計量機器から情報機器へとはかりを進化させ、業界のリーディングカンパニーとなる。80年代からはスーパーなど流通業界向けのPOS事業を展開、90年代には高度情報化時代に対応すべく、POSや計量包装機、電子棚札などすべての製品をインターネットでつなぐシステムを開発するなど画期的な製品を市場に投入してきた。近年になって外食産業に参入、ASP型フードサービス統合システム「Delious(デリオス)」やペン型オーダー端末など最新技術を駆使した商品やソリューションを提案している。
代表者 代表取締役社長 寺岡和治
経営理念 経営革新と新技術により、世界市場における新しい価値の創造を企業活動の基本理念とし、もって顧客、取引先、社員ともども真の繁栄を期する。
対応者 ホスピタリティソリューション事業部 ソリューション営業部 次長 鹿野浩二氏