寺岡精工の今年のテーマは 「 ブルー・オーシャンへの船出 」 である。競争のない未開拓市場へ乗り出して行くという意味を持つこの言葉は、飲食店向けソリューションベンダーとしては後発であると自ら認める寺岡精工の強い意気込みを物語っている。9月1日にブルー・オーシャンへの船出を体現した飲食店向けソリューションが発売される。今回はその商品についてレポートする。
W・チャン・キム レネ・モボルニュ共著の 「 ブルー・オーシャン戦略 」 によると 「 レッド・オーシャン 」 を競争の激しい既存市場、「 ブルー・オーシャン 」 を競争のない未開拓市場と定義している。「 ブルー・オーシャン 」 では、従来の考え方とは違い、“ 低価格 ” と “ 高付加価値 ” は両立できると説く。なぜなら顧客にとってあまり重要ではない機能を減らしたり、取り除いたりすることによりサプライヤーと顧客双方にとって新しい価値(バリュー・イノベーション)を生み出すことができるからである。
このバリュー・イノベーションを体現する飲食店向け店舗システムが、寺岡精工より発売される。
従来の店舗システムでは、販売管理機能、POS(Point Of Sales)や OES(Order Entry System)を含めると定価ベースで300~400万円※2 ほどかかり、大手チェーン店を中心とした一部の飲食店でしか導入できない商品であった。
寺岡精工は、より多くの飲食店の方々に使って頂きたいとの思いから、998,000円※1(税込)という今まででは考えられない価格で販売することになった。
寺岡精工は、Delious(デリオス)と呼ばれる飲食店向け統合システムを販売している。これは、飲食店は接客、調理といった本来の仕事に専念できるように、情報システムに関わる雑務を寺岡精工が引き受けたいとの思いから、POS、OESなどの機器のみならず、本部システム、ヘルプデスクなどをフルラインアップで提供してきた商品である。しかし、フルラインナップでの提供となると当然高コストになり、ある程度チェーン化された飲食店でしか導入が進まないことになる。確かに、販売コストを考えると一気に多くの台数の導入が見込めるチェーン化された飲食店への販売の方が効率的である。しかし、「 ブルー・オーシャンへの船出 」 を標榜する寺岡精工は、新しい市場開拓に目を向けた。
【 鹿野氏 】 はかりの世界では、確かに知名度は高くなりましたが、飲食店様に向けたソリューションの世界では後発メーカーであることを認識しています。その様な会社が先駆者の方々と同じ土俵で戦うのは難しいと考えています。それなら、私どもで新しい市場を創り出そうということで、これから大きくなろうとされている飲食店様に向けた商品を作ることにしました。
これから大きくなろうとしている飲食店にとっては、設備投資は限り無く少なくすべきである。そのためには低コストの商品を提供する必要がある。寺岡精工は “ 低価格 ” と “ 高付加価値 ” の実現という、相反する命題に取り組んだ。その結果、メーカーが考える付加価値にはオーバスペック的な要素があり、顧客にとってあまり重要ではない機能を削ることにより低価格化と顧客にとっての高付加価値を実現することができたという。
【 鹿野氏 】 低価格ということだけに主眼をおけば、販売管理機能も削ればいいということになります。しかし、これから会社を大きくしたいと考えられている経営者の方々にとっては、損益をきちんと把握されるといった数値管理ができないと困られるであろうと考えて残すことにしました。それに対して、最初は従業員の人数は多くはないでしょうから、ハンディターミナルやキッチンプリンタといった機器の数量を必要最小限にとどめたり、勤怠管理や受発注といった機能を簡易化したり、削ったりしました。
※1 POS1台、HT(ハンディターミナル)2台、KP(キッチンプリンタ)1台、ノートブックPC1台、無線アクセスポイント1台、スイッチングハブ1台
※2 販売管理システム、POSシステム、OESシステムの合計金額を外食ドットビズで試算
株式会社寺岡精工
http://hospitality.teraoka.biz/
会社概要 1934年11月(昭和9年)に、「はかり」メーカーとして創業、一貫して先進技術を追求する姿勢で、計量機器から情報機器へとはかりを進化させ、業界のリーディングカンパニーとなる。80年代からはスーパーなど流通業界向けのPOS事業を展開、90年代には高度情報化時代に対応すべく、POSや計量包装機、電子棚札などすべての製品をインターネットでつなぐシステムを開発するなど画期的な製品を市場に投入してきた。近年になって外食産業に参入、ASP型フードサービス統合システム「Delious(デリオス)」やペン型オーダー端末など最新技術を駆使した商品やソリューションを提案している。
代表者 代表取締役社長 寺岡和治
経営理念 経営革新と新技術により、世界市場における新しい価値の創造を企業活動の基本理念とし、もって顧客、取引先、社員ともども真の繁栄を期する。
対応者 ホスピタリティソリューション事業部 ソリューション営業部 次長 鹿野浩二氏