ペン型オーダー端末やタッチパネル式券売機など、外食産業向けに新たなシステムを提案している株式会社寺岡精工。フードサービスソリューションの企業としては後発参入となるが、独自の視点と切口によって誕生した商品やシステムは斬新なもので、飲食店の新サービスになるという声も多く聞かれている。
今回は、代表取締役社長・寺岡和治氏へのインタビューを通して、外食産業の活性化に貢献する“ホスピタリティ・ソリューション”を考察してみる。
1934年(昭和9年)に創業した寺岡精工は、同年から日本初となる 「 自動バネ秤 」 の量産を開始するなど、“ はかりの寺岡 ” として成長してきた会社である。創業以来、一貫して先進技術を追求する姿勢を持っており、1965年(昭和40年)の東京国際見本市においては世界に先駆けてデジタル電子秤を発表したほか、1978年(昭和53年)に開発した 「 ロードセル式電子料金秤 」 は、はかりの機能を単なる計量器から情報機器へ進化させたという評価を獲得して、業界リーディングカンパニーの地位を不動のものにした。
80年代に入ると、流通業界向けの SA (Store Automation) 総合企業をめざして POS事業を展開。並行して、プリンター、自動包装機、POP ( Point of Purchase ) 作製機、物流センターのピッキングシステムなどを次々と開発して市場と顧客を満足させてきた。ITが急激に発達した90年代には、高度情報化時代に対応するため、POS、計量包装機、POPマシンなどすべての製品をインターネットで結ぶという画期的なシステムを開発、流通業界のソリューション提供企業として成長してきた。こういった背景から、百貨店やスーパーなど流通小売店の顧客動向や販売状況を分析する総合型店舗情報システムが生まれ、この技術とノウハウをさらに応用し、飲食店のホスピタリティ向上をめざしたフードサービス統合システム 「 Delious 」 が誕生したのである。
「 Delious 」 は、いわゆる ASP(Application Service Provider)型と呼ばれるシステムで、利用者はパソコンのブラウザソフトから事業者のサーバにアクセスして各種アプリケーションソフトを使用するというものである。4種類のオーダーエントリー端末と、本部・店舗間を結ぶ情報システムが連動する構造によって、顧客満足度の向上と店舗経営の効率化を図る仕組みとなっている。代表的なオーダーエントリー端末の 「 DeliTouch 」 は、店舗に来たお客さん自身がペン型端末でメニュー表をタッチすればオーダーできるようになっていて、さらにメニュー名を読み上げる “ しゃべるペン ” という機能もある。また、導入後のサポート体制は、24時間365日稼働のヘルプデスクと全国をカバーするオンサイト(技術者が現地へ向かうこと)で対応している。店舗のサービスレベルを向上し、ハイレベルに保つ体制を整えていることから、一歩進んだシステムとして高く評価されている。
新しい常識と価値の創造を基本理念としている寺岡精工は、いかなる考えでフードサービスへ参入して、どのような価値をつくり出そうとしているのだろうか。寺岡和治社長へのインタビューで探っていきたいと思う。
株式会社寺岡精工
会社概要 1934年11月(昭和9年)に、「はかり」メーカーとして創業、一貫して先進技術を追求する姿勢で、計量機器から情報機器へとはかりを進化させ、業界のリーディングカンパニーとなる。80年代からはスーパーなど流通業界向けのPOS事業を展開、90年代には高度情報化時代に対応すべく、POSや計量包装機、電子棚札などすべての製品をインターネットでつなぐシステムを開発するなど画期的な製品を市場に投入してきた。近年になって外食産業に参入、ASP型フードサービス統合システム「Delious(デリオス)」やペン型オーダー端末など最新技術を駆使した商品やソリューションを提案している。
代表者 代表取締役社長 寺岡和治
経営理念 経営革新と新技術により、世界市場における新しい価値の創造を企業活動の基本理念とし、もって顧客、取引先、社員ともども真の繁栄を期する。
取材協力 ホスピタリティソリューション事業部 ソリューション営業部 次長 鹿野浩二氏