飲食業界で独立・開業を目指す起業家に授業と演習・ロールプレイングによって「経営の追体験」を提供ししている「テナントプラス・アカデミー」。ここでは、リアルな課題に立ち向かう知識とノウハウを教授し、独立開業を成功へ導く羅針盤となる実践講座を実施している。飲食店起業家を成功に導きたいとの想いを「テナントプラス・アカデミー」事務局長の高野賢一氏に伺った。
- 飲食店のビジネススクール 「 テナントプラス・アカデミー 」 開業のいきさつをお教え下さい。
独立・開業する知人の多くが、その数年後に閉店や倒産に追い込まれ、夢半ばで破れてしまうことを目の当たりにしてきました。
何故そうなってしまうのか?と考えた末に、自分なりに導き出した答えが、みんな 「 経営をきっちりと理解せずに起業をしている 」 ということでした。独立開業者の多くが、自らの経験値のみを背景とした経営を行なおうとしています。そのベンチマーク先が間違っていたり、事業構造が違う業態を模倣するなどしたりと、なるべくして事業が頓挫してしまう結果になっていると感じています。
また、飲食業は、「 社会的地位が低い 」 と思っている事業者の方々に誇りを持って生きていって頂きたいという思いもあったのです。「 誇り 」 を持つ、そのためには、先ずはビジョンメイクから入らないといけません。加えて、経営のイロハを知らないといけません。その思いから、それらを体系的に学べるカリキュラムの作成を思い立ったのです。そこで、繰返しになりますが、これから飲食業で起業する方々や起業後のアーリーステージの段階で試行錯誤している方々に対して 「 テナントプラス・アカデミー 」 という講座を立ち上げたのです。
- 「 テナントプラス・アカデミー 」 の概要をお教え下さい。
開校にあたって、「 テナントプラス 」 というWEBサイトで、不動産会社と出店希望者のマッチングを諮っているアンテナ社とアライアンスを組みました。アンテナ社の顧客には、飲食店の出店希望者が少なくありません。同社としては、ただ単に不動産を紹介するだけでなく、クライアントである不動産賃借人が、開業後に成功、つまり経営を継続できなければ、家主にとっても、賃借人にとっても不幸なことであり、それを仲介する同社としては社会的役割を果たしたとはいえないことになります。そこで、開業のイロハ、経営の知識などを伝えるスクールを開校し、開業者の支援を行なうという方針が打ち出されたのです。
そこで、飲食店勤務とマネジメントの両方を経験した知人に声をかけ、カリキュラム開発やテキスト作成に協力してもらいました。
- 講座にもあると思いますが、起業家やアーリーステージの経営者が持つべき知識は何ですか?
まずは、ビジョンとミッションですね。大手企業は、「 経営理念 」 や 「 事業理念 」、「 ミッションステートメント 」 や 「 行動指針 」 などを掲げていますよね。まずは、何のために飲食事業を行うのか、その結果どのような姿になるのかを明確化しておくことが最も重要なことです。次に数字に強くなること。経理や財務の知識ですね。これは何も深いことまでやる必要はなく、管理会計程度の知識を持てば良いのです。その次に来るのがマネジメントとリーダーシップ。飲食業は、人が全てですから、どの様に人材を管理するのか、どの様にメンバーを惹き付けるのかなどを知っておかなければなりません。もちろんマネジメントとリーダーシップの違いを理解することも必要です。その他、マーケティング戦略や事業戦略、営業戦略などの各種戦略の立案方法なども必要ですね。
つまり、飲食店経営者は、経営スキルの全てに精通している必要がある訳です。 しかし、これから起業しようという方で、その経営スキルを全て身に付けている人は ほとんどいないでしょう。そこで、当スクールでその修得機会を提供しています。
高野賢一氏
1964年 長野県松本市生まれ
1986年 信州大学経済学部卒
1986年 株式会社ワイズフォーメン ヤマモト入社
1990年 株式会社ジャパンライフデザインシステムズ入社
1997年 株式会社ひらまつ入社
1998年 同社マーケティング担当取締役に就任
2008年 株式会社コンプリートコネクション創業
2010年 飲食店のビジネススクール「プラウディッシュ」開講
2012年 起業家育成講座「テナントプラス・アカデミー」開講