お客様を知ることで繁盛店をつくる -集客に活かす顧客管理の手法を知る シナジーマーケティング

お客様を知ることで繁盛店をつくる 集客に活かす顧客管理の手法を知るシナジーマーケティング

現在の日本に覆いかぶさる景気の低迷やデフレ経済などの社会情勢は飲食業界にも暗い影を落としている。各社ともコスト削減、低価格対応など努力をしているがそれにも限度がある。外食ドットビズでは、集客面に注目し、顧客管理(CRM)を活用したリピーターづくりに実績のあるシナジーマーケティング株式会社 に協力いただき、販売促進の実状と今後取組むべき施策について報告する。

第1回 家業の経験で顧客管理の重要性を実感

第1回 家業の経験で顧客管理の重要性を実感

今回の取材では同社代表取締役社長兼CEOの谷井等氏に協力をいただいた。谷井氏の経歴を記述するにあたり、飲食業で起業を目指す方々にも有用な情報と考え、特集記事ながら初回は 『 起業のためのネット講義 』 風に記載させていただく。

お客様を知ることで繁盛店をつくる -集客に活かす顧客管理の手法を知る シナジーマーケティング起業の前は、家業の洋服店の店員として働いていました。喫緊の課題である売上向上のために試行錯誤しました。例えば、接客技術を磨くためのロールプレイングをしたり、目新しさを追求するためにディスプレイを頻繁に変更してみたり、価格帯の理解促進のためにPOPをたくさんつけたりと。しかし、どれも売上向上にはあまり繋がりませんでした。

お客様を知ることで繁盛店をつくる -集客に活かす顧客管理の手法を知る シナジーマーケティングしかし、スーツを売る際にお客様に書いていただいていた “ 顧客カード ” に e-mail アドレス欄を追加して、「 明日スーツが仕上がりますのでお越し下さい 」 と言うような案内メールをお出しするようにしたところ、お客様から、「 了解です。取りに行きます 」 といったご返信を結構いただけるようになったのです。それまでも新商品の入荷やセールのご案内といったDMを打っていたのですが、それに対するレスポンスはほとんど無かったのです。e-mail なら One-to-One(1対1) のやり取りができますので、ちょっと色気を出して 「 お買いいただいたスーツに合うシャツもございます 」 と送ってみると、「 どんなもの?」 とか 「 とりあえず取って置いて 」 などとご返信いただいて、来店時にかなりの確率でお買い上げいただき、売上も二割位伸びました。「 これはいける 」 と思いました(笑)。この時、顧客データを活用した販売促進サービスはビジネスになると確信して事業化を考えるようになったのです。

そこでまず手がけたのが1997年に始めた B to C のインターネットサービスでした。これはメーリングリストを無料で使っていただく代わりに、メール内に広告を掲載するサービスでした。昼間は洋服屋、夜中はインターネット屋と二足の草鞋を履いた生活を2年半続けました。寝る間もなく我武者羅に働きましたが、インターネットの方はなかなか赤字から脱却できない、けれど楽しくて仕方がない時代でした。それでも99年にはユーザー数も30万件を突破して、国内最大規模のメーリングリスト事業に育ちました。

お客様を知ることで繁盛店をつくる -集客に活かす顧客管理の手法を知る シナジーマーケティング当時は、“ インターネットバブル ” と呼ばれていた時代で、ベンチャーキャピタルからも注目されるようになり出資を受けて株式会社インフォキャストを設立しました。ご多分に漏れず上場を目指していたのですが、「 ん?待てよ、ちょっと違うな 」 と思えてきたのです。それまでは勢いでやっていましたが、冷静に世の中を見渡すと、競合企業が大手IT企業に買収されたりと風向きが変わっていたのです。2000年には80万人を超えるユーザー数を確保しながらも、自社だけで大手IT企業を相手に競争に勝つのは難しいと判断し、ちょうどお声掛けをいただいていた楽天さんに売却することにしました。

そこで、満を持して顧客データを活用した販売促進サービス事業のリスタートをしたのです。最初に手がけたのが顧客データを管理して、企業様がお客様にメールで情報を届けるサービスで、「 POEM 」 と名付けて販売をしました。当時はまだ CRM(Customer Relationship Management=次回詳報) という言葉が一般的ではなかったのですが、いわゆるCRMサービスの一つでした。

お客様を知ることで繁盛店をつくる -集客に活かす顧客管理の手法を知る シナジーマーケティング2005年には黒字化を果たし、機能を強化した大規模な開発が必要になりました。ここで壁に突き当たったのが開発人員の確保でした。慢性的な人材不足で採用もままならず苦慮しました。しかし会社のエンジンとなる商品の開発を外注に頼ることも出来ません。結局行き着いた結論は “ 志を同じくする ” 会社と手を組むことでした。そこで京都の四次元データと経営を統合することにしました。 同年、「 Synergy! (シナジー) 」 という商品を発売し、翌 2006 年にシナジーマーケティング株式会社と商号変更を行いました。



谷井等氏

シナジーマーケティング株式会社

http://www.synergy-marketing.co.jp/

本社 〒530-0003 大阪市北区堂島1-6-20 堂島アバンザ21F
事業 顧客情報の管理・運用ソフトをクラウド方式で提供。
設立 2005年6月1日
上場市場 JASDAQ

代表取締役社長 兼 CEO 谷井 等氏

1972年 大阪府生まれ。
1996年 神戸大学 経営学部 経営学科卒業
1997年 合資会社デジタルネットワークサービス設立
2005年 株式会社四次元グループ設立
2006年 シナジーマーケティング株式会社に商号変更

  • 国際的な起業家表彰制度「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」2007日本大会 セミファイナリスト
  • 経済産業省「迷惑メール規制に関する技術的論点ワーキンググループ」委員
  • 総務省「迷惑メール対策推進協議会」委員
文:齋藤栄紀
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