「すべては飲食店の盛業のため」 飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術

消費者動向を精緻に分析したマーケティングで、昨今ヒット商品を立て続けにリリースしているサントリーグループ。商品力だけではなく、おいしい作り方など効果的な情報発信で、角ハイボールの大きなムーヴメントも創出している。おいしさや品質を正しく伝えて顧客の琴線に触れるという手法は、業務用製品や飲食店向けの運営サポート業務にも反映されている。今回は、2010年のヒット商品であるノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」や「トリスハイボール」を例に、業務用製品での取り組みや飲食店サポートの実態をレポートするとともに、飲食店向けソリューションの活用方法を探っていく。

第5回 公式キャンペーン活用から、自店を強化するソリューション活用へ

第5回 公式キャンペーン活用から、自店を強化するソリューション活用へ

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術サントリーのマーケティング戦略には、提供品質・飲用時品質が高くなければ普及はないという基本的な考えがある。味の上での顧客満足度を重視しているのであり、それがサントリーの飲食店支援策における強み 「 メニュー開発力 」 につながっている。製品ブランド担当者やグルメ開発チームという部署には、もともとバーテンダーや飲食店の店長をやっていたというスタッフがいて、実際にテストキッチンでメニューバリエーションを検討しているのである。

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術「 トリスハイボール 」 の場合であれば、メインターゲットである20代・30代から高年齢層まで、いろいろな世代の顧客が楽しめる飲み方を豊富に用意している。具体的な手法は、トリスハイボールを基準にカテゴリー化していくというもので、若い世代のエントリーユーザーの受け皿とし、ジンジャーハイボールやゆずハイボール等のバリエーションを提供している。発売から数ヶ月が経過した時点では 「 少し濃いめのハイボール 」 をおすすめメニューとして提供しているとのこと。「 昔ながらのハイボールをお好みの世代に適したメニューですが、昨今はハイボールの飲用経験が上がってきているため、“ よりアルコール感があるハイボールを飲みたい ” というニーズが若い人にも出てきています。そのため、通常よりも少し濃いめのハイボールを 『 元祖トリハイ 』 『 トリハイクラシック 』 といった名称でメニューに載せるよう提案しています 」(サントリービア&スピリッツ株式会社 営業推進第1部 グルメ開発チーム部長 武藤多賀志氏)

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術ハイボールのバリエーションを研究開発するだけではなく、飲食店によっては、カテゴリー化したセットメニューを作って提供する場合もあるほか、さらに具体的な料理メニューを開発することもある。完成したメニューは、各営業マン経由で飲食店に配られる体制が確立されている。

メニューブック作成支援のWEBサービスもスタートへ

無料メニュー作成サービスメニューそのものを開発する他、サントリーでは飲食店向けにメニューブックの作成を支援する各種サービスもある。トリハイ導入店舗で同じようなデザインになってしまわないように160種類のひな形を用意、これらを組み合わせながら作成できるようになっている。

この他、WEB上では 「 繁盛メニューの作り方 」 というコンテンツも用意。店舗が自らメニューをカスタマイズできるように、「 トリス〈エクストラ〉 」 のボトルやハイボールの画像といったデジタルコンテンツが無料でダウンロードできる。

また、2月16日からは、WEBを介してのメニュー作成支援が開始される。応募フォームで飲食店が登録したデータをもとに、A4サイズの飲み放題メニューを制作して無料で配布するというサービス。店舗側の申し込み作業は、デザインやドリンクメニューなど掲載したい内容を選択肢から選ぶだけ。制作作業、掲載内容の確認工程を含め、2~3週間程度で届けられる。期間限定ではなく常設コンテンツとなる予定なので、飲食店の利用価値は非常に高いのではないだろうか。

ハイボールスターターキットの無料配布などネット上で実施されているキャンペーンは、飲食店にとって非常にありがたく役立つものだ。しかし、それ以上に有益なのは、キャンペーンへの応募をきっかけにサントリーとの接点を強化できるということ。サントリー側もキャンペーン応募店舗への営業的フォローを強化する意図を持っている。画一的なキャンペーンを活用する段階から一歩踏み込んで、自店の状況に合わせた施策が打てるようなソリューションが用意されているのである。

※ 当初の掲載時には「メニュー作成支援」の開始日が2/1からと記載いたしましたが、 2/16からの誤りでした。誠に申し訳ございませんでした。

無料メニュー作成サービス



サントリーグループ
武藤多賀志氏

サントリーグループ

http://www.suntory.co.jp/

1899年(明治32年)に鳥井信治郎氏が、葡萄酒の製造販売のために鳥井商店を開設して創業。
1921年(大正10年)に株式会社寿屋を設立。
1929年(昭和4年)に、日本最初の本格ウイスキー「サントリーウイスキー白札」発売。
1963年(昭和38年)にサントリー株式会社に商号変更。
1967年(昭和42年)、「サントリービール〈純生〉」発売。
以降は、清涼飲料・健康食品・外食事業もスタート、いずれも実績を残している。
2009年(平成21年)に持株会社制へ移行、新たなサントリーグループを形成している。

代表者 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長 佐治信忠

取材協力 サントリービア&スピリッツ株式会社 営業推進第1部部長 武藤多賀志氏

文: 貝田知明

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