「すべては飲食店の盛業のため」 飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術

消費者動向を精緻に分析したマーケティングで、昨今ヒット商品を立て続けにリリースしているサントリーグループ。商品力だけではなく、おいしい作り方など効果的な情報発信で、角ハイボールの大きなムーヴメントも創出している。おいしさや品質を正しく伝えて顧客の琴線に触れるという手法は、業務用製品や飲食店向けの運営サポート業務にも反映されている。今回は、2010年のヒット商品であるノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」や「トリスハイボール」を例に、業務用製品での取り組みや飲食店サポートの実態をレポートするとともに、飲食店向けソリューションの活用方法を探っていく。

第2回 「オールフリー」はソフトドリンクメニューを塗り替える!?

第2回 「オールフリー」はソフトドリンクメニューを塗り替える!?

オールフリー モニターキャンペーンサイトサントリー酒類株式会社が扱うのはワインを除くアルコール商品だが、ノンアルコールビールテイスト飲料の 「 オールフリー 」 は特例として同社が扱っている。ノンアルコール飲料市場は、消費者の志向も増えてビジネスチャンスの目がある。特に、アルコールを飲むようなシーンでの利用が広がっているので、酒類として扱っているのである。

アルコールフリーのビールテイスト飲料は、ドライバーや妊婦のための代替飲料として人気が高まっていたが、「 オールフリー 」 に関する消費者調査をしてみると、「 “仕事” や “昼間” というキーワードが出てくるようになった 」(サントリービア&スピリッツ株式会社 営業推進第1部部長 武藤多賀志氏)という。30代男女を中心に、日常的に昼間の仕事中でも気楽に飲むような状況が広がりつつあるのだ。

これは、「 オールフリー 」 が持っているアルコール分ゼロ、カロリーゼロ、糖質ゼロという世界初のベネフィットが大きく影響している。ビールの代替としてビールユーザーが飲んでいるだけではなく、非ビール飲用ユーザーも取り込んでおり、ソフトドリンクの代替として飲まれる傾向が強いのである。「 非ビール飲用ユーザーというのは、宴会の席でウーロン茶等を飲んでいる人々です。カロリーや糖質など健康を気にする人に適したノンアルコールドリンクが非常に少なかったのです。さらに、“ やっぱりビールっぽいものを飲んで、宴会の雰囲気を味わいたい ” というニーズも取り込んだと分析しています 」(武藤氏)

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術糖質ゼロ・カロリーゼロは、女性はもちろんのことメタボを気にする多くの男性ユーザーにも響くファクターである。実際に、若い女性をはじめ、30代の男性や50・60代の女性ユーザーが主要客層となっているそうだ。発売直後、一時品薄となるほどの人気となったが、これによって製品自体および市場のポテンシャルも秘められているとサントリーグループは感じている。

ビールだけでなくソフトドリンクの代替にもなるのなら、飲食店でのニーズは大きいだろう。ソフトドリンクよりは単価も取れるだろうし、ひとりだけお茶を飲んでいるという状況がなくなり、宴席の雰囲気が盛り上がれば、単価が上がるといった相乗効果も期待できる。「 オールフリー 」 をきっかけに幅広いニーズが現出する可能性がある。

「オールフリー」を使った新しいノンアルコールカクテルを提案

「すべては飲食店の盛業のため」飲食体験の価値向上を目指す、サントリーのソリューション活用術3つのゼロ以外の特性は、味がビールに似ているのはもちろん、ほのかな苦味と旨味、香り高いところもポイントとなっている。冷やして飲むだけで充分に味わいを楽しめるが、「 オールフリー 」 を飲食店に広げていくためには、「 どのようなニーズにも対応できる提案をしていくことが重要 」 (武藤氏)という。

オールフリー モニター募集キャンペーン ホームページへ単に 「 ノンアルコールビールテイスト飲料 」 と謳うだけでは、飲食店にいる顧客の注目を集めにくい。そのため、サントリービア&スピリッツでは、飲食店に向けたさまざまなメニュー提案を行っている。例えば、ノンアルコールカクテルのニーズが高まっている市場を踏まえて、「 オールフリー 」 を使ったカクテルメニューをカテゴリー化。「 オールフリー 」 とトマトジュースでレッドアイ、ジンジャエールと混ぜてシャンディガフなど、アルコール抜きで低カロリー・低糖質の新たなカクテルによって今までにない需要を掘り起こすことができるだろう。「 オールフリーの味の特性からすると、グレープフルーツジュース割やライムを落とす飲み方もよく合います。ノンアルコールドリンクをお酒っぽく飲むことができるので、いままでアルコールを飲めなかった人でも、カクテルの雰囲気を楽しむことができるでしょう。どのようなニーズにも商品を出していくのがメーカーとしての使命。いろいろなシチュエーションでの可能性を感じているので広げていきたいと思っています 」 (武藤氏)

オールフリー スターターキット募集キャンペーン ホームページへ飲食店のソフトドリンクメニューは、どこも横並びの感があるが、「 オールフリー 」 をはじめとするノンアルコールドリンクの活用次第では飛躍的にバリエーションが増える。飲食店にとっても、一番安いソフトドリンクを羅列しておくよりも売上アップになることは間違いないはずなので、導入を検討する価値はあるだろう。やはり、ノンアルコールビールテイスト飲料はビールではないので、その味わいがどの程度のものか気になるという飲食店関係者の意見は多い。そこで、サントリーグループでは、飲食店向け情報サイト 「 サントリーご繁盛店サポートサイト 」 で、取り扱いを検討している店舗を対象にモニター募集キャンペーンを行っている。「 オールフリー 」 の味を実際に確かめて検討してもらうことを狙ったサンプリング企画であるが、店舗側にとっては無料で製品を試せることはもちろん、メーカーとの接点をつくれるというメリットもある。また、短冊ポスターや差込メニュー、メニュー用シールなどオリジナル販促ツールをセットにした、「 オールフリー 」 スターターキットの無料配布もサイト上で受け付けている。飲食店にとって厳しい経営状況が続くなか、少しでも設備投資を削減できるのだから、試してはいかがだろうか。

 

オールフリー モニターキャンペーンサイト



サントリーグループ
武藤多賀志氏

サントリーグループ

http://www.suntory.co.jp/

1899年(明治32年)に鳥井信治郎氏が、葡萄酒の製造販売のために鳥井商店を開設して創業。
1921年(大正10年)に株式会社寿屋を設立。
1929年(昭和4年)に、日本最初の本格ウイスキー「サントリーウイスキー白札」発売。
1963年(昭和38年)にサントリー株式会社に商号変更。
1967年(昭和42年)、「サントリービール〈純生〉」発売。
以降は、清涼飲料・健康食品・外食事業もスタート、いずれも実績を残している。
2009年(平成21年)に持株会社制へ移行、新たなサントリーグループを形成している。

代表者 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長 佐治信忠

取材協力 サントリービア&スピリッツ株式会社 営業推進第1部部長 武藤多賀志氏

文: 貝田知明

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