飲食店に求められることは、売上高を増やすことはもちろんのこと、無駄な出費を減らしコストダウンを行うことである。特に個店の経営に際して、スケールメリットを享受してコストダウンを行うことは難しい。飲食店商店街は、個店を連合体としてスケールメリットを出し、コストダウンを実現することを目指している。今回は、飲食店商店街を運営する有限会社勝馬の代表取締役 宮川壮介氏に飲食店商店街の取組みを中心に話を伺った。
私は、昭和52(1977)年8月に、東京・荻窪で生まれたのですが、祖父が飲食店を経営していましたので、飲食一家に生まれたことになります。当時祖父が経営していたのは100店舗以上ある居酒屋チェーンで、既にフランチャイズ方式を取り入れていました。父も最初は祖父の会社に入社したのですが、その後独立をして最盛期には12~13店舗展開する飲食店を経営していました。その様な環境下で育ちましたので、幼少期から飲食店で働くことに何の疑問を持たずに調理師学校に進みました。
ただ、卒業後直ぐに父の会社を継ぐ気はなく、まずは、外の空気を吸ってみようと考えました。最初に入ったのが、居酒屋を展開する楽グループの六本木の店舗でした。当時の楽グループは、今以上に勢いがあり、ここで働けたことは本当に勉強になりましたし、自信にもなりました。
しかし、すんなりと行かないのが人生の面白いところです(笑)。当時、「 進め!電波少年 」 というテレビ番組の中で猿岩石がヒッチハイクで世界を旅するというコーナーがあったのですが、これにはまってしまいました(笑)。更に、沢木耕太郎さんの 「 深夜特急 」 という本の影響を大きく受けて、人生経験を積むために一人旅に出かけようと、バックパッカーになって、世界放浪の旅に出たのです(笑)。イタリア・イギリス・アメリカ・カナダなどに行ったり来たりしていました。3ヶ月の観光ビザで出かけて、お金がなくなると戻って来て1~2ヶ月 「 楽 」 でバイトして、また出かけるといった生活でした。20代前半の一番感受性の強い年代での経験ですから面白かったですね。
そんな生活を1年ほど送っていたのですが、そろそろ真剣に働こうと思い、父の会社に入社しました。ここで転機が訪れたのです。前述の通り、物凄く勢いがあった 「 楽 」 での経験で、私もかなり自信過剰になっていたのですね。父の経営方針では物足りなく、自ら色々と改革を試みたのです。それが父にとっては疎ましい存在に映ったようで、「 もう一度修行し直して来い! 」 となったのです。
私は、調理師学校を出ていたので、「 楽 」 でも父の店でも厨房だけで、ホールの経験が無かったのです。将来を考えるとホールの経験も必要だと考え、これも初めてとなるレストラン業態の 「 赤坂離宮 」 という高級中華店にお世話になることにしたのです。この時に考えていたのは、お客様と直に接するのはホール担当者で、ここで上手くお客様と接することが売上に繋がる、だから飲食店をやって行くためにはホールに力を注がなくてはならないということでした。どうせやるならトップクラスのサービスを学びたいと考え、「 赤坂離宮 」 の門をたたいたのです。「 赤坂離宮 」 で1年ほどアルバイトとして修行し、それから青山の高級広東料理店 「 海鮮酒家 葵 」 で社員となりホールリーダーとして2年ほど修行を積みました。特に 「 葵 」 では、ホールでのサービスのみならず、店舗のマネージメントも勉強させてもらいました。
「 楽 」 と父の店では厨房側、「 赤坂離宮 」 と 「 葵 」 ではホール側及び店舗マネージメントと飲食店運営に関する一通りのことをを学べましたので、父の会社を継ぐのではなく自ら飲食店を経営しようと考え、平成14(2002)年12月、25歳の時に有限会社勝馬を立ち上げたのです。 ちなみに現在父の店は、私の弟が継いでいます。市ヶ谷の 「 武蔵乃 」 という店ですので、お近くに来られた際には是非お立ち寄り下さい(笑)。
飲食店商店街
http://www.katsuma-support.com/
運営企業有限会社勝馬
本社東京都千代田区九段北4-2-11 第2星光ビル102
代表者代表取締役 宮川 壮介氏
事業内容コストダウン支援事業並びに飲食店の経営