携帯電話の普及、高機能化に伴いこれを使用した販売促進策、いわゆるケータイ販促が多くのベンダーから提案されている。レストラン・オーダーエントリーシステム(OES)の老舗 セイコーインスツル株式会社(SII)の100%出資会社「エスアイアイ・データサービス(SDS)」も今冬、ケータイ販促にサービスインすることになった。この新たな取り組みをレポートする。
効果的な販促とスピーディーな店舗オペレーションの実現のために 「 Scute × しゃとるん 」 の採用を決めた 『 ザ・どん 』。検討開始から導入まで要した期間はわずか3ヶ月足らずだったという。導入から4ヶ月経った今、その効果はどうであったのか、引き続き田川正司社長にお話をお伺いした。
- Scute × しゃとるんを導入されて課題は解決されましたか?
Scuteを導入することで明らかに店舗オペレーションのスピードアップがはかれました。まず、オーダー伝票をキッチンに持っていく動線が短くなりました。会計伝票には金額が表示されているので、お客様はあらかじめお金をご用意できるようになりました。レジに慣れていなくても伝票番号を押せば精算ができるようになりました。このように提供スピードを上げる、お客様をお待たせしない、滞留時間を短くすることで当初の課題は解決できたと考えております。特に江坂店はダスキン本社の下にありますのでランチ時には 「 遅い!」 とよくお叱りをいただいていたのですが、最近はそのようなお声はめっきりと聞かなくなりました(笑)。
しゃとるんに関しましては、導入前の2010年11月に全店でお客様アンケートを取ったのですが、約半分のお客様が 「 通りすがりでご来店 」 で頻度も 「 月に1回以下 」 だったのです。しゃとるん導入後には明らかに、数字に変化が見られました。また、スタンプカードや紙のクーポンから電子クーポンに替えることにより、私どもは紙代や印刷代のコストダウンをはかれましたし、お客様はお忘れになったり財布に入れなくてもよくなったりと今の時代にあっているのかなと思います。
- Scute × しゃとるんに今後期待をされることをお教え下さい。
Scuteもしゃとるんも導入前に期待していた効果は良い感じで来ています(笑)。社内での評価も高いので、今後は加盟店さんへも広げて行きたいと考えております。コストがかかってしまいますが、具体的な実績数値をお出ししたり、メリットをご説明したりして導入推進をしていきたいと考えております。
特にしゃとるんは同じネタを一斉配信するのではなく、お客様の属性に合わせたOne to Oneマーケティングに近い形で攻めの営業活動に使って行きたいと考えております。例えば、とろがお好きな方には 「 とろの日 」 の案内、少々高めでも期間限定を好まれる方には 「 まぐろ祭 」 のご案内をと言ったお客様に合わせた販促をやって行きたいと考えています。しゃとるんの 『 QRコード 』 はお客様にとって簡便なだけでなく、我々に必要な情報を持っていますのでそのような販促手法の拡がりといった今後の可能性がものすごくあるのではないかと期待しています。
SIIデータサービスさんは好意的に色々とやっていただいています。一方的なご提案ではなく、参加型というのでしょうか、「 これからもっと良くしていきましょう 」 と一緒にシステムをつくれる面白みが良いですね。私どもにも大変良い勉強にもなりますからね。
(取材日時:2011年5月2日)
株式会社どん
1991年5月 株式会社ダスキン(※1) と日本水産株式会社(※2) が共同開発事業として設立
1991年12月1号店「ザ・どん 江坂店」オープン
2011年5月現在、関西圏を中心に49店舗展開
※1 本社:大阪府吹田市 現社長:山村輝治氏
※2 本社:東京都千代田区 現社長:垣添直也氏
代表取締役 田川正司氏
1989年 株式会社ダスキン入社。
主にレストラン事業に従事、店舗での責任者、経理の業務を経て
2008年 株式会社どんに出向 現職
エスアイアイ・データサービス株式会社
http://www.siidataservice.co.jp/
本社:千葉市美浜区中瀬1-8
代表者:小林良夫
設立:1998年10月
事業内容:オーダーエントリシステム、決済端末の開発・製造・販売、情報処理センターの開発・運営、保守サービス全般
取材協力:
セイコーインスツル株式会社 企画部 マーケティングコミュニケーション課長 加納千穂氏
エスアイアイ・データサービス株式会社 企画部 センター・サービス企画SE課長 石崎進一氏
営業部 次長 坪内淳一氏
文: 齋藤栄紀