携帯電話の普及、高機能化に伴いこれを使用した販売促進策、いわゆるケータイ販促が多くのベンダーから提案されている。レストラン・オーダーエントリーシステム(OES)の老舗 セイコーインスツル株式会社(SII)の100%出資会社「エスアイアイ・データサービス(SDS)」も今冬、ケータイ販促にサービスインすることになった。この新たな取り組みをレポートする。
まず、「 しゃとるん 」 が実現するサービスを列挙したいと思う。
機能だけを列挙すると 「 普通じゃないの?」 と思われる方も多いことであろう。ここでは、機能の詳細について記述することにより新たな付加価値を生み出す「しゃとるん」の実態をみて行きたいと思う。
i-modeやezwebなど携帯電話のweb利用が一般的になってくると携帯電話上のホームページ(ケータイサイト)が販促ツールの一つになる。
しかし、忙しい飲食店の方々にとってケータイサイト作成の労力は馬鹿にならない。
「 しゃとるん 」 は非常に簡便にケータイサイトが作成できるようにしている。携帯電話の高機能化に伴い、かなり高画質な写真が撮れるようになった。この写真をトップ画像やメニュー画像に使えば、専用のカメラも必要がない。
ケータイで撮ったメニューを登録し、店名やお店の売り文句や商品情報を入力するだけで自分のお店のケータイサイトができあがる。
飲食店のケータイ販促として一番良く使われているのが「メルマガ」であろう。確かにお客様のメールアドレスだけわかれば一番手軽に利用できる手段である。しかし、手軽さゆえに毎日のように配信すると、” うざい ” となってしまう危険性が高い。確かに毎日毎日同じ料理を食べたいと思う人間は少ないであろう。ここにタイムリーさやターゲット層に合致した決め細やかな配信ができれば全く違った結果になるであろう。
OESは、お客様が何月何日の何時に何を食べたのか、何を飲んだのか、いくら払ってくれたのかなどの情報を持っている。「 Scute(エスキュート)×しゃとるん 」 の最大の強みはまさにここにある。例えば新鮮な魚が市場から入荷されたら、1週間前にお刺身の盛合わせを注文されたお客様に対して 「 旬の魚が入荷しました!」 とメルマガ配信することにより、タイムリーなターゲット層に合致した情報を流すことができるのである。さらにそのお客様がビール好きであれば ” ビール1杯無料 ” といったクーポンや、日本酒好きであれば ” 今日の魚は地酒の・・・に合います!” などのようなミニ情報を付加したらさらに効果が上がるのではないだろうか。
ケータイ販促で成功している外食企業に話をきくと、その理由の一つがクーポンの活用方法であるという。
つまりクーポンが集客のために有効な手段ということであろう。OESと連動した 「 しゃとるん 」 であれば、クーポンにもタイムリーさやターゲット層を合致させることが可能となる。前述のようにビール好きなお客様には ” ビール1杯無料 ” クーポンを、客足の鈍る雨の日には ” 雨の日限定20%OFF ” クーポンなどTPOに合わせたクーポンの発行が可能となるのである。
飲食店の安定的な経営のためには “ 常連さん ” つまりリピーターをつくることが肝要である。リピーターになってもらう一つの手法がポイント制度である。航空会社のマイレージサービスや量販電気店のポイントサービスなどポイントサービスはかなり普及している。飲食業でも大手企業であれば独自につくったり、TSUTAYAのTカードのような他社のポイント制度に加入したりすることができるが、その他の企業にとっては非常に敷居が高いに違いない。
「 しゃとるん 」 は、ポイント機能も準備している。店舗ごとに、ポイントの数によってサービス内容を決定できるので、再来店を促すことができるのである。
エスアイアイ・データサービス株式会社
http://www.siidataservice.co.jp/
本社 千葉市美浜区中瀬1-8
代表者 小林良夫
設立 1998年10月
事業内容 オーダーエントリシステム、決済端末の開発・製造・販売、情報処理センターの開発・運営、保守サービス全般
取材協力 セイコーインスツル株式会社 企画部 マーケティングコミュニケーション課長 加納千穂氏
エスアイアイ・データサービス株式会社 企画部 センター・サービス企画SE課長 石崎進一氏
営業部 次長 坪内淳一氏
文: 齋藤栄紀