携帯電話の普及、高機能化に伴いこれを使用した販売促進策、いわゆるケータイ販促が多くのベンダーから提案されている。レストラン・オーダーエントリーシステム(OES)の老舗 セイコーインスツル株式会社(SII)の100%出資会社「エスアイアイ・データサービス(SDS)」も今冬、ケータイ販促にサービスインすることになった。この新たな取り組みをレポートする。
「 固定客がつかない 」 「 お客様のニーズが読み切れない 」 「 有効な販促手段が見つからない 」 「 良いスタッフが集まらない 」 「 売上はあるのに何故か儲からない 」・・・。などと飲食店経営者の方々の悩みは尽きないのではないだろうか。飲食店経営にとって売上管理と集客ができないことは死活問題に直結する。
SIIデータサービス(SDS)の提供する 「 Scute(エスキュート)×しゃとるん 」 は “ 売上管理と集客に関わる課題を解決する ” 仕組みとして開発されたことは前回触れた。
レストラン向けオーダーエントリーシステム(OES)をご存知の方は多いと思うが、Scuteについて若干触れたいと思う。OESは1985(昭和60)年にSIIから発売後、POSメーカーを中心に数多の製品が市場に投入された。年次を重ねるごとに機能が拡張し、それにつれ高価格化の傾向にあった。それに一石を投じたのがScuteである。大手チェーン企業には高機能化は必然の方向性であったが、中小飲食企業にとっては高機能より低価格が望まれる。
『 今までは大手のお客様を中心に商品の開発を行ってきました。価格の問題でお使いいただけなかったお客様にも売上管理などの店舗運営の効率化やミスや不正の低減といったOESの良さを実感していただきたいと考え、機能を若干抑え、低価格化をはかったScuteを開発したのです。これによりOESのご利用の裾野が広がったと実感しています。』 (企画部マーケティングコミュニケーション課長加納千穂氏)
一方、集客のための販売促進策はテレビ広告、雑誌広告、web広告など媒体を使ったものや店頭POP、チラシ、DMなど多岐に渡る。その様な中で近年注目されているのがケータイ販促である。携帯電話利用の拡大と高機能化、そしてパケット通信定額制の導入により通話のみならずデータによる情報の双方向通信が実現できるようになり、それを販促活動に利用する企業が増えてきている。飲食業界も例外ではなく、メルマガ、電子クーポンなど、近年ではTwitter(ツイッター)と呼ばれるコミュニケーションツールを利用している企業がみられる。しかし、マクドナルドのようにモバイルサイト会員数が1900万人以上と成功をおさめている企業の一方、うまく活用できていない企業もあるのが現実である。
うまく活用できない理由は、会員数が伸びない、同じような内容が同じ人に毎日のように届き、いわゆる ” うざい ” と思われてしまうなどが考えられる。
『 「 しゃとるん 」 は今までのケータイ販促のサービスではなく、「 Scute 」 というOESを組合せることによって新しい付加価値を創造できたと考えております。』 (加納氏)
次項では、新しい付加価値を生み出したという 「 しゃとるん 」 の具体的な内容について述べたいと思う。
エスアイアイ・データサービス株式会社
http://www.siidataservice.co.jp/
本社 千葉市美浜区中瀬1-8
代表者 小林良夫
設立 1998年10月
事業内容 オーダーエントリシステム、決済端末の開発・製造・販売、情報処理センターの開発・運営、保守サービス全般
取材協力 セイコーインスツル株式会社 企画部 マーケティングコミュニケーション課長 加納千穂氏
エスアイアイ・データサービス株式会社 企画部 センター・サービス企画SE課長 石崎進一氏
営業部 次長 坪内淳一氏
文: 齋藤栄紀