店頭による販促活動について、前回は、店頭における食品サンプルの持つ力について述べさせていただいた。第2回となる今回は、“離れたところからでも既に販促は始まっている”との観点から、「30メートル集客」についてご紹介したいと思う。これは、通行人目線での看板やPOPの改善を行うことで、入店率を向上させ、新顧客を獲得するサービスである。「30メートル集客」の概要について シュウイチ デザイングループ の高橋秀一氏、事例について「花びし」を運営する有限会社勝馬 代表取締役の宮川壮介氏に話を伺った。
- 「 30メートル集客 」 を導入された実感についてお教え下さい。
効果は出ていると実感しています。特にランチタイムに効果が顕著に現れています。
「 30メートル集客 」 の導入を決めたのが、今年の1月で、導入は2月の下旬でした。昨年と今年の3月・4月・5月のランチタイムを比較します。
まず、客数の比較(グラフ①)です。これを見ますと3月と5月は順調に伸びていますが、4月は若干減っています。これには理由があります。市ヶ谷は靖国神社、千鳥ヶ淵という花見のメッカを抱えていますので、この時期は花見客の動向により左右されます。例年は4月上旬が花見の時期なのですが、今年は3月下旬にはシーズンが終わっていました。これを考えますと4月は逆に一般のお客様が増えていると判断できます。逆に3月はもう少し伸びて欲しいところですが、まあ導入してから1ヶ月経つかどうかということですので仕方ないでしょう(笑)。
顕著なのが客単価(グラフ②)です。4月、5月と客単価が150円ほど伸びました。これは間違いなく「30メートル集客」の効果だと実感できます。この結果として、全ての月で売上高(グラフ③)が伸びることができました。実は、昨年の4月に過去最高売上を達成したのですが、今年の4月にはこれをあっさり抜いて過去最高売上を塗り替えました。しかもお花見シーズンが終わった時期での達成ですから、「30メートル集客」の効果は絶大だと思います(笑)。
最後に、女性客数の比較(グラフ④)ですが、ここも花見による影響を受けて、4月は若干減少していますが、3月と5月は伸ばすことができました。ただし、全体客数の伸びに比べるとまだ満足できる状況ではありませんので、今後の課題の一つと認識しています。
-最後に今後「30メートル集客」に期待することをお教え下さい。
新規のお客様が今後どれだけ増えて頂けるかということですね。ただ、常連様からも 「 入りづらい 」 という声を、最近は全く聞かなくなったことからも、当初の課題は解決されてきていると判断しています。
次に期待するのは、POPやタペストリーをうまく使って、客単価向上に結び付けたいということになります。まあ、これは 「 30メートル集客 」 ではなく、「 1メートル集客 」 かもしれませんが(笑)。
ランチメニューでは、前述の通り、既に効果が出てきています。今までは、イーゼルに載せたメニューブックのみを店頭に置いていたのですが、今回POPとタペストリーにメニューの写真と金額を大きく載せたのです。そうすると、今までは一番安い 「 日替わり膳 」 が圧倒的に出数としては多かったのですが、最近では、目に付きやすい 「 ざる蕎麦小丼膳 」 や 「 てんぷら膳 」 など高めのメニューが出るようになりました。客単価で言うと、昨年の3月が1,081円、4月が1,227円、5月が1,061円に対し、今年の3月が1,100円、4月が1,362円、5月が1,200円といずれも伸びています(グラフ②)。更に、小丼は、主に海鮮丼で中身は日替わりで変わるのです。そうすると夜のメニューにも持っていくことができますので、仕入も楽になるというメリットがあります。
もともと 「 ざる蕎麦小丼膳 」 と 「 てんぷら膳 」 は、食べて頂ければお客様の満足度は高いということはわかっていたのですが、今までは打ち出し方が非常に弱かったのです。それを全面にわかりやすく打ち出すことによって本当に売れるようになりました。これからは、工夫をすることによってディナーの客単価増に結び付けて行きたいと考えています。
30メートル集客 × Shuichi Design Group
design producer
髙橋 秀一(Shuichi Takahashi)
飲食・小売店のFC加盟店企業時代に、看板POPの威力に気付き、チェーン中ほぼ最下位だった店舗を4ヶ月連続で、売上伸び率全国1位まで押し上げた。これが30メートル集客の原点となる。その後IT企業入社。新規事業で飲食店がメイン顧客となったため30メートル集客を復活提供すると、導入店舗で売上昨年対比115%やランチ3回転するなど効果実績を出した。
現在は、顧客の強い要望によりShuichi Design Groupを設立し、支援店舗は400店に達した。徹底した歩行者視点での店舗検証を行い、見込み客から店舗がどう思われているのか、どうすればもっと安心して入店してもらえるのか 「 30メートル集客 」 でその店舗の良さを引き出す手法は好評を博している。